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フランスにおけるJ Popのイメージ

音楽学大学院生の週一アウトプット*42

今回は、少し体験記のような内容を書いておこうと思う。フランスの「ヲタク」たちによるJPOPについての話である。

私は現在フランスでアルバイトをしているのだがその同僚たちはもちろんフランス人である。やはり一緒に仕事をしているともちろんみんな人間なのでコンディションの悪い日もあり口数が少ないことも多々ある。しかし、そんな彼らがタガが外れたかのようによく喋るところを目撃できた。

それは、夜にその同僚のうちの一人の家で数人で飲み会をした時のことだった。ちなみにその同僚のお家が高そうなお犬さまと猫さまのいるとんでもない豪邸だったので私はかなりビビっていた。

最初はフランスで人気のラップをスピーカで流しながら、ウォッカをみんなで飲み日頃の愚痴などを喋り始める。だがしかし、15分くらい経過したあたりから、一人がアニメと漫画の話を少し早口で始める。そうしたら、それに呼応したかのようにそこにいた数人が今までの口調の2倍速くらいでアニソンについて熱く語り始めたのだ。

隣に座っていた私の同僚は私に
「私たちはヲタクなんだ。これは日本でいうヲタクとは少し違うかもしれない。フランスでは日本文化全般が好きな人のことをヲタクというんだ。」
と説明してくれた。
だがしかし、その話っぷりと普段の様子と話題が変わった時の話し方の変化など、十分に日本でいうヲタクに相当するではないか、と私は思った。たまたまなのかもしれないが。

ついで、彼らは、その場にいる唯一の日本人である私にJPOPのBGMを流すように頼んできたので、私はさまざまな曲を次から次へと流してみた。(Mrs. GREEN APPLE、Natori、 King Gnu、米津玄師、嵐、Perfume…などなど)そうしたら、彼らは圧倒的に「アニソン」として起用されているJPOPに対して日本っぽいというイメージを抱いているということがわかった。そしてもちろんアニソンの方が、そうでない曲よりも知名度が高い。

彼らは、イントロがかかってすぐに
"Ah, c'est très très japonaise"(=すごく日本っぽい)
と頷くのだった。

具体的にどういうところがそう思うのかしら、と飲みの席にて無粋ながら尋ねたところ、やはりイントロから序奏なしに始まる低音と早めのビートだそうだ。確かにフランスのPOPsやラップにそのような特徴をもった曲は少ない。

なんだかんだ言って「アニソン」は海外のヲタクを惹きつける一種の強いアイデンティティをすでに形成してきたようだ。そして彼らにとってのJpopのイメージはこの特徴に起因するとも言えるだろう。

ちなみに、これはボーカロイドとは少し別のポジションになるようだ。というのもボーカロイドについては、彼らは「知識として」「少し昔のものとして」知っている、というのだ。そのため、曲自体の知名度はアニソンほど高いとはいえないだろう。しかし、実際YouTube上のボカロPたちのチャンネル内の各動画コメント欄は外国語で溢れている。つまりハイパースペースにおいては日本の音楽プロダクションはまた異なる領域/側面を持っているのだ。

なんだかまとまりのない文章になってしまったが、今回のアウトプットはこれで筆を一旦おこうと思う。
Joyeux Noël!

FALL

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