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42歳一独身公務員の旅行記(インド編)③「インディラ・ガンディー国際空港へ」

 何が好きかっていったら、やはり飛行機から降りて、初めてその国に降り立つ瞬間だ。その国の空気を、においを、雰囲気を身体全体で受け止める。この瞬間、自分はスターになったような、無敵になれたような気になる。

 大学時代、レゲエダンサーみたいな髪型をしたシュウちゃんはタバコを吸いながら言った。
「旅してると、生きてるって実感するっちゃんね」
その時は「ふーん」くらいに思っていたけど、今ならわかる気がする。

 今、僕は上海にいる。北京から飛行機に乗り、上海浦東国際空港に降り立った。どんな空港なのかと思っていたが、とてつもなく広い空港だった‼️

上海浦東国際空港 広さが、、伝わらない・・

 通路は先がわからなくなるまで伸びている。吸い込まれてしまいそう。床はメタリックで、近未来の空港にきたみたい。
 なんかすごい遠いところまできてしまった、と今更ながらに思う。
 5歳くらいの頃、デパートで迷って親がどこにいるのかわからなくなって、怖くて仕方なくて、ワンワン泣いた記憶が思い出された。飛行機の搭乗ゲートもたくさんありすぎて、ほんまにインドにいって、日本に帰れるんかと不安が押し寄せてくる。
「えっ、いやちょっと怖いんやけど・・・」
気弱な自分が顔を出し始める。

「落ち着け、落ち着くんだ」

 目を瞑り、深呼吸して自分に言い聞かせる。
僕は冷静に搭乗券に記載されている乗り場ナンバーを確認し、インド行きの搭乗ゲートに向かった。
よし!

飛行機の様子

 インディラ・ガンディー空港に向かう飛行機に乗る。機内の雰囲気がこれまでとガラッと変わった。

 上海まではアジア系の方が圧倒的に多かったが、この飛行機はインド人らしき方が見渡す限りたくさんいる。日頃インド人の方はあまり見ないから、異質な空間に萎縮してしまう。
 席に着くと左横から熱い視線を感じ、恐る恐る見てみると、眉毛が太く、目がギョロリとして、口髭を蓄えているインドの方とバチッ!と目が合った!       ヒャッ!
彼は「ハロー」と野太い声でいった。「ハ、ハロー」僕もそう返したが、どう接して良いかわからない。必死で目を逸らした。今から約7時間もフライトがあるのだ。変に話したら間がもたなくなる!僕は「深夜特急」の本を取り出し、読みふけるふりをした。
 飛行機はインドへと飛び立った・・・。

機内食 サンドイッチ
機内食 チキンカレー 

 機内食のチキンカレー。配られる時僕は爆睡していたが、先ほどのインドの方が代わりに受け取ってくれ、僕を起こしてくれた。米が細長くてパサパサで、機内食からもインドを実感。いよいよだ。

 そして出発から7時間。ようやく飛行機はインディラ・ガンディー空港に降り立った。

 飛行機から降りた瞬間。乗客待合室に向かう誘導通路に足を踏み入れた、その瞬間。
「ブワッ」
インドの空気を感じた。ムワッとした熱気。スパイスみたいな香り。これまでの人生で感じたことのない空気感!ゾワッと、全身に鳥肌が立った。さあもうここからはボンヤリできないぞ!!わけのわからないパワーが自分の中から湧き上がってくる。足早に歩く!

 乗客待合室に着いた時、「ヒロさん!」僕を呼ぶ声がする。「誰?」振り返ると、さっきのヤング3人組じゃないか!

空港で大学生のヤングたちと再会
空港の壁に掲げられていた絵

「うわー再会!マジでヤバいッスね!」「ビックリした!同じ飛行機だったんですね!!」
彼らと握手する。日本人に会えてすごく安心した。
「タバコ吸いましょう!」
 僕はタバコは吸わないけど一緒に喫煙ルームに入って、これからどこいくのか、とか、どこの大学いってるのか、とか話をした。彼らは近畿大学の学生で、将来は海外での起業を考えており今回インドを視察にきた、とのこと。
 ヤングの、ヤングだけが持っている、ヤング特有のギラギラした目で、語ってくれた。

 僕は地下鉄に乗って空港近くのホリデイインに向かう。彼らはリキシャに乗ってデリーに向かう、と言う。お別れの時だ。

リョータくん。ええやん。さわやかやん。
お互いの旅へ

 別れた後地下鉄にどう乗って良いか分からず迷いに迷い、約1時間は空港近辺を彷徨うことになる。やっぱりインドで迷うと、焦る。

 しかし何とかはなるもんで、何とか地下鉄を見つけてホリデイインのある駅に着いた。

 地下鉄からでて外に出ると、けたたましいクラクションの音がする!街灯だけが灯り、真っ暗な闇の中で絶え間なく車が、リキシャが、バイクが走り続けている。信号が、、ないのか? いやあるか!
ともかくはやくホリデイインを見つけなければ!とあたりを見渡す。

地下鉄の駅からでた時の風景

 だいぶ先に、ホリデイインらしき建物が見えて、良かった!と走り出そうとした時。

 道路に野犬が5,6匹うろついているのが視界に飛び込んできた。しかも、なんかメッチャ凶暴そうなのだ。「ハラヘッタ」みたいな感じがプンプンでている。
「オワッタ」僕は絶望でヘタリ、と崩れ落ちそうになった。いや、頼むから普通にホテルに入らせてくれよ!

「なんでやねん!もうそういうのいいから!」

僕はインドの夜空に向かって、まるで駄々をこねる3歳児の様に絶叫するのだった。

ホリデイイン

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