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映画「逆転のトライアングル」

幸楽でいちいちラーメン食べなくても渡る世間は鬼ばかりだし大晦日の特番がなくなってしまった今でも絶対に笑ってはいけないとか言われるとついつい笑ってしまう。昔、ジャリズムが、お通夜のお焼香をDJ風に紹介するコントをやってるのを初めて観た時、泣くほど笑うぐらい好きだったなあ。今、観ても面白いかなあ?

モデルでインフルエンサーとしても注目を集めているヤヤと、人気が落ち目のモデルのカール。美男美女カップルの2人は、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る。船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんなムチャブリでも叶える客室乗務員が満面の笑顔を振りまいている。しかし、ある夜に船が難破し、海賊に襲われ、一行は無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態のなか、人々のあいだには生き残りをかけた弱肉強食のヒエラルキーが生まれる。そしてその頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係だった。

ハイブランドとファストファッション
落ち目のモデルと新進気鋭のインフルエンサー
乗客と乗組員
穏やかで仲睦まじい老夫婦と巨大軍事産業
食欲と排泄
民主主義と恐怖政治
資本主義と共産主義
虚飾と実像…
べた凪と大時化

様々な対比を見せ続け、コントラストの妙のオンパレード。
笑いと狂気は正に紙一重であり、ピラミッドのヒエラルキーが
一瞬で上下さかさまになる様が痛快であり恐怖でもある。
これって、笑っていいのかな?とついつい周りを意識してしまう。

なんともいたたまれない事ばっかり映画にすることに定評があるスウェーデン人のリューベン・オストルンド監督の最新作。
今作でカンヌ国際映画祭で2作連続のパルムドール受賞という快挙をなしとげた。

劇中で素晴らしい演技を披露していたヤヤ役のチャールビ・ディーンの遺作。
昨年、32歳で謎の死を遂げたとニュースにもなっていた人。(のちに交通事故で内臓を摘出したことが原因で感染症で亡くなったとのこと)

キム・ジュヒョクの「毒戦~BELIEVER」やポール・ウォーカーの「ワイルドスピード・スカイミッション」など不慮の事故で亡くなった遺作はついつい感傷的な気持ちで見てしまう。

チャールビもモデルでインフルエンサーといういまどきの役を飄々とコケティッシュに演じていて今後の活躍も期待されていただけに残念。

映画「逆転のトライアングル」は2月23日祝日の木曜日から公開

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