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公務員試験 政策課題論文(小論文)対策総論

 公務員試験では、小論文や政策課題式論文が出題されることがよくあります。その際、各論については参考書籍が多く市場に出回っていますが、根本的な書き方について述べているものは多くない印象です。しかし、実際に合否を分けるのは細かな知識というよりも、問題の意図を理解できるか、それに対して(多少現実味に乏しくとも)それなりに一貫した答案が書けるかどうかということだと思います(もちろん合格者の中でも上位答案を目指すなら知識は必須です)。特に資料が示され、政策課題について聞かれる形式の問題では、このことが決定的に重要になります。
 大切なことは「何を聞かれているか」を強く意識することです。何が課題(論点)となっているのか、ということを外すと答案の評価は大きく下がります。その手掛かりは問題文だけでなく、資料にも示されています。資料は、単に論述をする際のヒントではなく、書くべき課題(問題設定)を規定するものであるということです。例を挙げると、国家総合職教養区分2016年の問題は、「現代社会の個人情報をめぐる諸問題を挙げたうえで、これらに対してあなたが必要だと思う政策について論じなさい。」でした。これだけ見ると、個人情報の保護について論じればよいのでは?と思うかもしれませんが、資料は全体として情報技術の進化する現代における情報活用の有用性について論じたものでした。そうすると、論述の大きな方向性は、(国際的な競争に負けないために)個人情報をいかに活用するのか、ということになります。ここで、保護を前面に押し出してしまうと、問題の意図が理解できていないことになり、低い評価になってしまうでしょう。
 課題が定まったらその課題が表出するに至った背景を分析するのが王道です(もちろんケースバイケースですが…)。この背景が対策への繋がるように設定する必要があります。例えば、津波発生時の高齢者の避難が課題→問題の原因は当然高齢化だが、表出するに至った原因は他者に対する無関心→様々な世代を巻き込んだ防災教育が不可欠などです。ここをキチンと書くことで、その課題を検討しなければならない必然性(なぜ今その問題に取り組まなければならないのか)をアピールすることができます。また、対策論にスムーズに移行するためにも重要です。
 背景分析が終わったら、いよいよ対策論に移ります。課題と背景分析は問題文と資料によってほとんど書くべきことが決まってきてしまいますが、ここからはかなり裁量幅があがります。自分が思うより良い対策について論理性(説得性)があれば割と自由に書いてよいと思います。ただし、問題文からはあまり制約がかからないのですが、行政の施策という現実的な制約がかかることは留意しておく必要があります。検討の視点の例は以下のとおりです。なお、以下は互いに排反ではありませんし、持つべき視点をすべて網羅しているわけでもないことに注意してください。

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