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月の落とし子・かぐや(仮) 一話プロット 「髑髏の身請け」  (ひとまず、叩き台としてひと段落です。でも、ストーリーの変化に伴い、ひとまず没)

緑に囲まれた風景。現実の、本来の風景よりも大分薄い、白みがかった色合いの世界。

その世界に一人の黒髪の少年が立っている。

少年は向こう側を向いていて、後ろ姿しかみえない。

少年の足元には一本の参道が伸びていて、向う側には大きな山がある。

少年は、少し困惑したように辺りを見回した。少年は少し笑って、参道を歩き出した。

参道の右側には鳥居が立っていて、少年は鳥居をくぐった。

少年が鳥居の先の道を進み、木々に囲まれた石段を登ると、さらに鳥居があり、神社があった。

少年は鳥居をくぐり、そして神社の階段に座る。

今、自分が通った道、くぐった鳥居を眺めながら。




降り注ぐ太陽の光。

太陽の光に照らされた骸骨。

骸骨は神社の階段に腰掛け、後ろ姿しかみえない。


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     真っ白な壁。

そこには、大きな横長の額縁が掛かっている。

しかし、中に絵は入っていない。

額縁の下には、これから飾られるのであろう絵のタイトルが書かれたプレートが貼られていた。

     

「髑髏の身請け」



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現代の朝の駅のホーム

ホームは通勤者や学生でいっぱいだ。

その中を歩く一人の高校生。

イヤホンを耳につけて、気だるげにあくびをかいている。

ぼーっとしながら進む高校生の目に、ホームに張られた一枚のチラシが目に入る。


その瞬間、チラシに描かれた絵に高校生はくぎ付けになる。

高校生は無意識に立ち止まってしまう。

後ろをあるいていたおじさんは、ぶつかってしまいそうになりながらも、すんでの所で回避し、高校生を迷惑そうな目をむける。

おじさんは高校生の視線の先に目を向けるも、たいした関心ももたずに、ホームを再び進み始める。

高校生は、チラシから視線を外さず、その場にジッとたっている。

チラシに描かれた絵はみえない。

チラシの絵にくぎ付けになっている高校生の横を、電車が走り去る。



高校。

教室のホームルーム。その中で、だれも座っていない席が一つ。



高校生は美術館の前に立っている。

高校生は自分と美術館の場違い感を感じ、緊張している。

しかし、高校生は美術館に入館する。

高校生は受付の女性に少し不審げな顔をされながらも、なんの後ろめたさも感じていないフリをして、入館料を支払う。

平日、会館直後という事もあり、高校生の他に客は見当たらない。

美術館には多くの浮世絵が飾られている。

高校生は美術館の空気に緊張しながらも、足早にお目当ての作品、駅のホームのチラシに掲載されていた作品を探す。

そして、高校生は探していた浮世絵を見つける。

駅のホームで見たチラシよりもずっと大きな紙に描かれた、一枚の浮世絵。

誘われるように、絵に近づいていき、高校生の目はくぎ付けになる。

浮世絵の下のプレートには「髑髏の身請け」とかかれている。

高校生はその場に根が張ったかのように、じっと立つ。



突然、高校生の肩に手が置かれる。

突然の事に高校生は驚いてしまい、大げさな動作で後ろを振り向くと、そこには白髭を蓄え、和服に身を包んだ老人が立っていた。

老人は何度か声をかけたらしいのだが、高校生は絵に夢中になっていて、気付かなかったようだ。

老人は高校生がその場にいる事が珍しかった様で、興味をひかれ、声をかけたのだった。

老人は、声をかけた事にも気付かない程、その浮世絵に夢中になっている高校生に関心を抱き、その浮世絵に何か思い入れでもあるのかい?と尋ねる。

しかし、高校生は困ってしまう。

ただ、駅のホームで見かけて、その足で衝動的に来てしまっただけだから。

その絵について知っている事もない。

高校生が美術館に来た過程を聞いた老人は、面白がり、良かったら浮世絵「髑髏の身請け」について自分が知っている事を教えようか?と提案してくれる。

高校生は、是非にとお願いする。


老人は高校生に

・浮世絵「髑髏の身請け」の舞台は江戸時代の吉原遊郭という場所である事

・吉原遊郭は男が遊女との疑似恋愛に浸り、浮世から離れた別世界で非日常を楽しむための場所だった事

・身請けというのは、遊女にその勤めから身を引かせる事で、その絵には髑髏の男に、遊女が吉原から連れ出されている様子が描かれている

・その絵は、現実離れした光景が描かれているが、伝えられる所によると、絵師が実際に目にした光景が描かれているらしい。とても信じられないことであるが

・その浮世絵を描いた絵師は、美人画で名をはせた絵師で、吉原遊郭を拠点にして活動していた。浮世絵「髑髏の身請け」以外にも多くの美人画が現代に残されている

・吉原遊郭を拠点として、遊女を題材にした美人画を数多く描いた絵師だったが、「髑髏の身請け」を描くにあたり、吉原遊郭を離れ、以後、二度と吉原に近づく事はなかった


といった事を高校生は老人から教えてもらう。



夕方。ホームに帰ってくる電車。

電車から降りてくる高校生。

高校生は、再び、美術館のチラシの前にやってきて、そこにプリントされた浮世絵「髑髏の身請け」に見入る。



夜。静かで、誰もいない駅のホーム。

チラシの前にいた高校生ももういない。

チラシを、そして駅のホームを淡く照らす光。

夜空を見上げると、大きな満月が浮かび、駅のホームを見下ろしている。


大きな満月。





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夜空に浮かぶ満月が見下ろす江戸の町。

町の一角では大きな火の手が上がっていて、夜空を朱く染めていた。

立ち昇る炎、放水したり建物を壊したりして火事を収めようとしている火消達、そしてわらわらとあつまっている野次馬達の熱気で現場は異様な空気に包まれていた。

そんな場所とは対照的に、静かな裏長屋。そこからは、火事の現場は遠くの空が薄く赤みがかっている程度にしか見えず、現場の様子はうかがい知れない。

裏長屋の一室。その部屋は閉め切られている。満月の淡い光も入らない。

閉め切られた部屋の中を照らすのは、ゆらゆらと揺らめく蝋燭の火。

部屋の中にはあちらこちらに丸められた紙、引き裂かれた紙が散らかっている。

部屋の真ん中で、一人の男が、一枚の紙と向き合っている。

男は容姿に恵まれている様であるにもかかわらず、髪は乱れ、何日もまともに食事をとっていないのか、顔はこけ、目には隈が出来ている。

男は脇に置いてあった酒をあおる。

口元からは酒が漏れ、男は口元を袖で拭う。

荒々しくおかれる酒壺。

荒い呼吸をして、顔を伏せている。

瞼をぎゅっと閉じ、男は自分の見た光景、記憶を鮮明に思い出そうとする。

 

断片的に映し出される男の記憶


夜の吉原遊郭

男の眼前を歩く、白髪の遊女

そして、着流し姿の男らしき者の袖から出ている、白骨の手  白骨の顎



カッと目を見開いた男は筆をとり、鬼気迫る様子で男は紙に向かい、絵は描き入れられていく


提灯の明かりで照らされる、夜の吉原遊郭

なんとも不可思議で、神秘的な白い髪と、青い目をもった遊女


そんな遊女の前を歩く、着流し姿の骸骨の者・・・。



そして、一枚の絵が完成する。

 夜の吉原遊郭を背景に、白髪碧眼の遊女を連れて歩く、着流し姿の骸骨の者の絵が。








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