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十分作文✏️負けない

我が集合住宅のエントランスで
平日の夕方から夜にかけての
少しの時間に
住民の、父一人、娘一人が
よく遊んでいる姿を目撃する。

たいてい
二人は縄跳びを
している事が多かったのだが
先日は家の前でグリコをやっていた。

グリコはじゃんけんをして
グーで勝ったら「グリコ」の3文字分、
チョキで勝ったならば
「チヨコレイト」の6文字分、
パーならば「パイナツプル」の6文字分、
歩数でカウントして3歩なり6歩なり進み
スタート地点から目的地まで
どちらが早く到達できるかを競う遊び。

それが、娘っこよ。
私が認識してから
全くその場から動けないでいる。
負けが混んでいる。

反対に、父親は苦笑しながら
普段の歩数を大幅に減らしつつも
どんどん どんどん
娘っこから遠ざかって行く。

もはや父は
デンジャラスゾーン、
車道にまでさしかかっていた。
住宅街だから、めったに車は
来ないけれども。

それでも娘は
じゃんけんぽんの掛け声のかわりの
「グーリーコ!」をやめずに
父とジャンケンしまくっている。

もう、薄暗いし
父ちゃんが何を出しているのかも
わからないから、
「今、何出したの!?」と
大声で聞いている。

ヒャヒャヒャヒャと
私は笑いを堪えきれず
その親子を置き去りにして
部屋に入った。

でも、子供は負けず嫌いなのに
よくヘソを曲げずにやっていたものだ。
オトンと遊ぶの
すごくたのしいんだろうな。
よき物を見た。

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