十分作文✏️負けない
我が集合住宅のエントランスで
平日の夕方から夜にかけての
少しの時間に
住民の、父一人、娘一人が
よく遊んでいる姿を目撃する。
*
たいてい
二人は縄跳びを
している事が多かったのだが
先日は家の前でグリコをやっていた。
グリコはじゃんけんをして
グーで勝ったら「グリコ」の3文字分、
チョキで勝ったならば
「チヨコレイト」の6文字分、
パーならば「パイナツプル」の6文字分、
歩数でカウントして3歩なり6歩なり進み
スタート地点から目的地まで
どちらが早く到達できるかを競う遊び。
*
それが、娘っこよ。
私が認識してから
全くその場から動けないでいる。
負けが混んでいる。
反対に、父親は苦笑しながら
普段の歩数を大幅に減らしつつも
どんどん どんどん
娘っこから遠ざかって行く。
もはや父は
デンジャラスゾーン、
車道にまでさしかかっていた。
住宅街だから、めったに車は
来ないけれども。
それでも娘は
じゃんけんぽんの掛け声のかわりの
「グーリーコ!」をやめずに
父とジャンケンしまくっている。
もう、薄暗いし
父ちゃんが何を出しているのかも
わからないから、
「今、何出したの!?」と
大声で聞いている。
*
ヒャヒャヒャヒャと
私は笑いを堪えきれず
その親子を置き去りにして
部屋に入った。
でも、子供は負けず嫌いなのに
よくヘソを曲げずにやっていたものだ。
オトンと遊ぶの
すごくたのしいんだろうな。
よき物を見た。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?