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八丁味噌のこくと甘み、各具材からの旨味が煮返すほどに美味しさを増す愛知県の郷土料理「煮味噌」

味噌煮込みうどんや味噌カツが好きだ。なめこや豆腐の赤だしも。
つまり八丁味噌の味が好きで、家には常に赤味噌があるのだが、田楽味噌や赤だしをつくる以外に今ひとつ活躍の場がなかった。

なぜなら、料理本やレシピ通りにつくっても、なぜか期待ほど美味しくできない。選ぶ味噌が良くないのか、或いは舌がよくないのかと半ば諦めていた私の目に、ある日「煮味噌」という未知の料理名が飛び込んできた。

「味噌煮」ではなく「煮味噌」。
しかもどて煮や味噌おでんの本場、愛知県の郷土料理だという。いったいどんな料理か興味がわき、早速調べていくつかのネット記事やレシピを見比べていると、ある一点に気が付いた。
複数のレシピに「甘くすること」とある。「甘くないと美味しくないから」と。
はっとした。

特に参考にさせていただいたのがこちらの記事。現地の方の舌による表現は、郷土料理をつくる際に何より参考になる。ありがたい。

――そう。
これまでつくった味噌煮込みや味噌おでんが今ひとつ美味しくならなかった理由もおそらくそれだ。つくる際、元レシピより砂糖をかなり控えた。甘い味付けが元々好きでなく、砂糖を多用することに抵抗があるから。
漬物をつくるようになって多少抵抗は和らいだものの、1〜2人分の料理に砂糖を大さじで使うレシピには「本当に必要?」とつい考えてしまう。

でも「煮味噌」の作り方には「甘く」とわざわざ明記されている。「煮込む(煮返す)ほどに美味しい」とも。ならばポイントはその二点だろうと覚悟の上で、普段の私の味付けに比べてかなり大胆に甘くしてつくった。

それがこちら。

具材の種類が多いので鍋いっぱいにできますね(嬉しい)

これがまあ、びっくりするほど美味しかった。
「どて煮かな?」とひと口すすった夫が「なにこれ!すごく美味しい」と目を見開いた。私もおそらく同じ顔をしていたと思う。

驚愕だった。味噌煮に砂糖を多めに加えただけで、こんなにも美味しくなるとは。
感じるコクが段違いで、各具材の旨味や八丁味噌の濃厚さも際立ってくる。そうか、砂糖を加えることで味の輪郭がはっきりするんですね…。なるほど。

それと普段米味噌を使っている私は「味噌を煮込む」ことにも抵抗があったようで、何度も煮返すことで八丁味噌はさらに美味しくなるとも理解。同じ「味噌」でも、原料が違えば特徴はこんなにも異なるのですね。

郷土料理のレシピや手順には必ず理由があり、まずはその通りにつくってみるのが一番だと改めて感じた初めての「煮味噌」。
ああ美味しかった。また食べたい。

《甘めの味付けと煮込むのがポイント、愛知県の郷土料理「煮味噌」》レシピ:多めの2人分(おかわりできる程度)
<具材>
・大根(厚めのいちょう切り):1/4本
・人参(いちょう切り):1/3本
・里芋(大きいものは2~4つ割り):6個
・こんにゃく(一口大の薄切りで下茹で):1/3枚
・ちくわ(薄すぎない程度の小口切り):2本
・うずらの玉子水煮:1パック(6個)
・厚揚げ:1枚
・白菜:適量(ざく切り。水が出て味が薄まらない程度に)
・長ねぎ:10㎝~半本程度(斜め切り)

<調味料>
・炒め油:少々
・ほんだし:少々
・八丁味噌:50g
・砂糖:大さじ2

もつ煮も仕込んで茶色い食卓でしたが「味噌かぶり」という感じはしない、全く違った味わいでした

<作り方>
1)材料を切り揃え、煮込み用の鍋に油を敷いて根菜類と下茹でしたこんにゃくを炒める。全体に油がまわってつやが出るくらいまで。

2)材料がかぶるくらいの水またはだし汁を加えて煮立たせ、食べやすく切った厚揚げ、7〜8mm厚さに切ったちくわ、うずらの玉子とほんだし適量を加え、蓋をして弱火で根菜類が柔らかくなるまで10~15分煮る。

3)八丁味噌を煮汁に溶きながら加え、砂糖も加えて(白菜を入れる場合はここで加える)さらに10分程度煮込み、水分を確認。具材から出る水分で煮汁が多すぎる場合は蓋を開けて煮込み、ちょうどよい濃さにする。

4)最後にねぎを加えてひと煮立ちさせて完成。食べる際はお好みで七味を。

今回参考にさせていただいたレシピは上の記事に加え、主にこちら。

調べてみると、愛知だけでなく鳥羽の郷土料理でもあることがわかった。その辺りではとれたての魚を入れるらしい。これも美味しそう。
また、鶏肉や豚肉を使うレシピもあったが、今回はより愛知っぽいイメージでちくわとうずらの玉子を選択。

ちくわはちょうど良い甘さもあり、だしも出るのでこの料理には殊に合っていると思う。煮返して味が染みるほどに美味しくなるという点では厚揚げも必須。
いやー美味しくできました!大満足!

芋類はじゃがいもやさつまいもでも良さそう

これまで「好きだけど美味しくできない」片思い的苦手意識が少々あった八丁味噌。これからは臆せず甘くして、美味しく調理して行きたい。

そして「煮味噌」、とっても美味しくて簡単なのでぜひつくってみてください!味噌煮込みが好きな方なら必ずはまる美味しさです。
まだ花冷えもありそうなこの頃の天候にも合う煮味噌、私も来週あたりまたつくろうかな…。

今回たいへん参考にさせていただいた「のみち」さん、ありがとうございました。

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