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乙女ゲームが売れないって本当?なぜ? な話

今回この話題はいつか書こうと思っていたのですが、なかなか腰が重くて書いてなかった話題。
何年か前に「乙女ゲームが今マジで売れていない」と話題に。
それに関してあまり具体的なことを書かれている記事がないと思ったので、書いています。
と言っても、もちろん素人調べです。それでも乙女ゲーブーム時代を見ていた人間なので参考程度にはなると思います。
よかったらお付き合いください。

まず

今、乙女ゲームはほんの一部の作品を除いて売れません。移植作品も完全新作もです。
具体的な数字を言うと、発表されているもので2000~5000本です。
この数字はパッケージ版のみなので、ダウンロードも含めたらもう少し売れていると思います。
1万本売れたら「売れた方だね」「頑張ったね」と言われる世界です。


最初の乙女ゲーム

1994年
「日本最初で最古の乙女ゲーム」と言われているのが、SFC(スーパーファミコン)で発売されたコーエーの『アンジェリーク』。
この時はまだ“乙女ゲーム”という言葉はありませんでした。

転換期

2002年
コナミから発売された『ときめきメモリアルGirls side』、ギャルゲーの金字塔と呼ばれたときメモの男女逆バージョン。
ここからそれまで女性向けゲームは女児向けや、ペットと仲良くなるようなもの程度しかなかったが、ここら辺で女性向け恋愛ゲームが注目され、雑誌に“乙女ゲーム”という単語が生まれました。

乙女ゲームブームへ

2002年を皮切りに、乙女ゲームはブーム化され、様々なジャンル、会社から乙女ゲームが発売されました。
題材も未来、過去、偉人、ファンタジー、擬人化、おとぎ話etc.……。もうやり尽くしたってぐらいテーマがありました。

ブーム衰退へ

さて、そんな人気があった乙女ゲームが何故衰退したのか。
言ってしまえば皆さんお察しの通り、無料ゲーム、ソシャゲの登場です。
携帯電話で無料でゲームが遊べるようになったからですね。
以上です。


いやいや、待って。本当にそれだけ?
ソシャゲがとどめを刺したのは間違いないのですが、実はその前から徐々に売れなくなっていった予兆がありました。

移植ブーム

メーカーから、最初にPS2で出したソフトをPSP版として移植して売る、ということが増えました。
乙女ゲームブームの頃はPS2がほとんどだったんですね、当時PS2が世界的にもめちゃくちゃ売れていたんです。
そして2004年にPSPが登場します。TVと代り映えしない綺麗な画質のゲームが携帯ゲーム機として登場しました。

ところで乙女ゲームはアドベンチャーゲーム(以下ADV)が多いのです。というかほとんどです。
ADVの移植作品は大抵新しいキャラクター1~2人追加、既存キャラクターのスチル&エピソード追加、が多い印象。
新たに1本作るよりコスパが良いのです。
なので最初にPS2で出して、約1年後に『ちょっと追加要素のあるPSP版を出す』ということが増えました。

コスパを考えるのはメーカー側だけではありません、当然ユーザーも考えます。
当然乙女ゲームにも“微妙なゲーム”は存在します。なんなら当時半分以上がそうだった状態です。
乙女ゲームというものが新しいジャンルであったことから、手探り状態だったことや、明らかに乙女心がわかっていないひどいものなど色々です。

すると、ユーザーが「様子見」「評判が良かったら買う」と、早期購入を控えるユーザーが増えたのです。
そりゃそうです、沢山ある乙女ゲーの中からお金やプレイする時間を考えると微妙な作品を掴まされて失敗したくないもの。
時間が経つにつれて、最初から移植版が決まっていて「どうせすぐに移植版出すんでしょ?」ということが分かってきてしまったんです。
要は「先に買ったら損」と思う人が徐々に増えていったんです。

念の為、移植自体は“悪”ではないです。昔出た名作が最新機種で遊べることはファンには嬉しいことです。ただちょっと追加要素がある程度のものをすぐ出したことがユーザーの機嫌を損ねたって話です。
会社も商売ですから多少はしょうがないことなんですけどね…。今ならDLCがあるのでソフトをもう1本買うより安いのがいいですね。勿論本編が面白かったら前提の話ですが。

ソシャゲの登場

そして無料ゲーム、ソシャゲの登場。これでとどめでした。
これが登場したことにより、あの任天堂ですら苦戦を強いられた時代でした。
こうして乙女ゲーは売れない→メーカーも作らなくなる、となっていきました。

近年は

じゃあ近年売れない理由はなに? という疑問なのですが。
乙女ゲームは実はギャンブルでして、
新品の乙女ゲー買うとすると、ジャンルはたいていADV、値段は6000~8000円程度。
そして買っても気に入るキャラが1~2人となると、やはり躊躇してしまう人が多いんです。

もちろん、ADVでも名作良作はあります。ですが、ゲームをやりたいユーザーは「ただ話を読むだけのゲーム」を避ける傾向にあります。
一見ADVはゲームの腕があるない関係なく、誰でもクリアできるハードルの低いジャンルと思いきや、実はADVってハードルが高いのです。
当然ですが、読み物は買って読むまで内容が面白いかどうか分からないのです。
そうすると、面白いかどうかわからないフルプライスの読み物を買うより
「映画でよくない?」「漫画でよくない?」「小説でよくない?」しいては「無料のソシャゲでいいのでは?」となってしまうんです。
ADVにはライバルがとても多いのです。

そもそも乙女ゲーに限らず、ADVで売れることが難しいです。ヒット作にはなんらかの“仕掛け”が必要だったりします。おまけに面白くてもネタバレを言うわけにもいかず、広めにくいんですよね。

映画や漫画と違い、選択肢でEDが変わるという特徴もあるんですけどね。それでもなかなか響かないのが残念です。


じゃあゲーム性がある乙女ゲー作ればいいじゃん?
と思う人もいると思いますが、ADV作るのと、ゲーム性があるゲームを作ることはかかるコストが全然違います。
凝ったものを作っても売れないから……となかなかメーカー側も躊躇していると思います。

おわりに

と、売れなくなった理由について今回は書かせていただきました。
書いていてだんだん切ない気持ちになってきましたが、乙女ゲーがこれから衰退する一方とは私は考えていません。
令和に入ってから、switchが売れていること、
大手からの『ときメモGS』新作が売れたこと(これ書いている時点で過去作移植がランキングに入っている)、新規IP『ジャックジャンヌ』が好評だったこと。
多様性が認められてきていることで女性向け恋愛ゲーム(敢えてこういう言い方をします)もいろんな変化をして世に登場することを願います。

どのジャンル作品も、大ヒット前提じゃないと出しにくい状況ですが、
もっと低製作費、ミニゲーム的な「こういうのでいいんだよ」作品が出てもいいのよ!!

おわり。

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