作者の出身地で日本一周の旅(関東編)


初めに

今回は作者の出身地で日本一周の旅、関東編です。
関東は結構いるんじゃないか?と思いつつ、東京や神奈川に密集していたらどうしようと思っています。

茨城県:チーム/堂場瞬一

堂場瞬一の作品はスポーツ系とミステリ系とありますが、今回はスポーツの方を。堂場瞬一の作品を読み始めるきっかけになったのがチームだった記憶があります。
箱根駅伝を題材にした小説はたくさんありますが、学連選抜にスポットを当てるのは珍しいと思います。学連選抜は予選落ちして出場できなかった大学の選手を集めたチームです。同じ釜の飯を食ってきたメンバー、というわけではない、いわば寄せ集めのチームですが、やはりドラマはあるのだなと思います。年末年始に読むとさらに胸が熱くなってしまいます。
ミステリ系でいえばアナザーフェイスシリーズも面白いのでぜひ。

栃木県:キズナキス/梨屋アリエ

珍しくYA(ヤングアダルト。ティーンズ向けの小説)ものも紹介してみます。おそらく梨屋アリエの中で一番有名な本ではないのですが、直近で読んだものがこれだったので。
大人になってから中学生のころを思い出すと、なんであんな思考回路だったのだろう?と疑問に思うことがあります。小学校は小学校の、中学は中学の、独特の思考があり、なぜか同年代の人とはその感覚を分かち合えていた気がします。不思議なことに年をとって社会性を身に着けていくと、自然と抜けていくものがあると思います。その感覚をうまく表現しているなと思いました。大人になっても当時の思考を思い出せる小説家の方々はすごいと思います。

群馬県:蒲団/田山花袋

最近の作家ではなく、時代がそろわず不本意なのですが、個人的にゆかりがありよく読んでいたので田山花袋を取り上げます。
蒲団はそんなに長い話ではないので、日本語が古く読みづらい部分もあるかと思いますが、そんなに苦も無く読めるかと思います。妻子持ちの中年作家のもとに弟子として女学生が入ってきて下宿する、という話です。オチは有名なので読んだことがなくとも知っている方もいるかもしれません。
幼いころに読み、うーん分からん!となったのですが、大人になって読み返しても、完全な共感はできておりません。時代が今とは違うということもありますが、みんなそんなに思い詰めずに…と思ってしまいます。

埼玉県:水平線/滝口悠生

コロナの時期をまたがって連載されていた小説で、あったはずの東京オリンピックとなくなった東京オリンピックの世界が交錯する不思議な話です。2020年のオリンピックは開催されず、2021年に開催された、という現実を知っている私たちは、話がだんだんずれて、ねじれていくことに気が付きます。登場人物たちもねじれに気が付きながらも、その中を生きて行きます。あったはず、なかったはずのものに思いをはせる本です。

千葉県:アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎の著作で一番を選ぶことはできないのですが、迷ったときにお勧めするのはいつもアヒルと鴨のコインロッカーです。私が伊坂幸太郎に出会った最初の本でもあります。当時は本屋でジャケ買いをしていたころで、なんだか面白そう、映画化されているし、という理由で買いました。それからは伊坂幸太郎の作品をたくさん集める日々になりました。かなり時間が経ってから映画も見ましたが、こちらもとてもよかったです。
作中で登場する仙台駅のコインロッカーは、映画の撮影後に工事されたらしく今はピカピカのきれいなものですが、今でもどこかではボブディランが流れていると信じています。

東京都:ナラタージュ/島本理生

島本理生の作品はたくさん読んでいますが、複数回読んで印象に残っているのはナラタージュです。映画化されたときにはまだ読んだことがなく、少し時間が経ってから手に取りました。同じ人に執着してしまうことはよいことなのか悪いことなのか、一概には言えないですが、少なくとも相手が自分に心を奪われていることを利用してはならないな…と学習しました。もしこれから自分が同じ立場に立っても、誠意ある態度をとれますように、と祈るように思いました。

神奈川県:八日目の蝉/角田光代

角田光代の作品もたくさん読んでいるので選ぶのは難しいですが、思い出深いので八日目の蝉を。
私が就活をしていた時に、とある会社の最終面接で趣味を聞かれたので読書と答えました。
ある面接官に、最近読んだ本は?と聞かれ、咄嗟に八日目の蝉と答えました。どんなところが印象に残ったか一言コメントを言ったのですが、緊張でうまく答えられず、ああ適当なことを言ってしまった…もし読んだことがある人がいたら落とされる…と後悔しましたが、その会社からは内定をもらえました。後日人事に言われたのは、本を読める、文章を読むのが苦でない人材が欲しかった、とのこと。結局内定辞退しましたが、あの時八日目の蝉に救われたのだな、と今でも思っています。

終わりに

関東は人口が多いおかげか調べたら大量に出てくる出てくる…とても書きやすかったです。選ぶのに困るほどでしたので、関東だけは2周できるかもしれません。
次回は中部地方を書きます。

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