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「大企業も倒産!」金利を見誤ると国をも滅ぼす?!

前回、「国が年金の金利(割引率)を
高く設定し過ぎたために、
年金制度が崩壊の危機に直面している」

というお話をしました。

これは、公的年金制度だけではありません。
企業年金の積み立て不足も深刻な状況にあります。
たとえば上場企業の企業年金の積み立て不足は、
2020年3月末時点で計16兆7446億円にも
上っています。

実際に、企業年金の積み立て不足によって
経営破綻も起きています。
2010年に起きたJAL(日本航空)の倒産です。

JALは、元国営という長年続いた放漫経営に
リーマン・ショックが重なり、一時は
「明日にでも飛行機が止まるかもしれない」
という状況に陥りました。

日本を代表するトップ企業の
屋台骨を揺るがしたのが企業年金であり、
その大きな要因ともなったのが、
割引率(金利)の低下だったのです。

JALの企業年金は、年利4.5%で
運用することを前提にしていました。
しかしバブル崩壊後のデフレ下で
低金利に喘いでいた日本では、
そのような高い利回りを出せるはずもなく、
年金の不足分は会社が負担し続けていました。

JALが倒産したのは、2010年1月19日のこと。
しかし、実際は2009年3月期には
600億円を超える純損失を出し、
この時、すでに破綻していました。

表面化したJALの企業年金の
積み立て不足は、およそ3300億円。

本来、年金は財産権化されており、
企業が破綻しても受給できることになっています。
しかし、年金が大幅にカットされることを恐れた
OBたちは、会社に公的資金が注入されることと
引き換えに、減額提案に同意したのです。

JALの事例は、たとえ法律に守られていようとも、
「最終的に国が動けば、約束は反故にされる」
ことを示しています。

今のところ、日本の年金制度は維持され、
約束された金額で支払われてはいます。
けれど、破綻したJALとの共通点の多さに、
胸騒ぎを覚えずにいられません。

・高過ぎる金利設定と保険料不足
・保険料を穴埋めするための資金投入
・ついには資金不足に陥り破綻…

国の老齢年金も、JALの破綻も、
スタート時の誤った金利設定が原因であることが、
ご理解いただけたのではないでしょうか。

【参考文献】
厚生労働省HP、日経新聞Web版:2020年9月3日、朝日新聞デジタル:2020年1月20日、21日、22日、『JAL再建の真実』(町田徹著、2012年、講談社)、東洋経済ONLINE:2010年1月19日、他


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