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隊長のいない夏

 道端に小さな穴が開いている。バスを待つ私はヒマ潰しに足で穴を防ぐ。
砂地なので簡単だ。草むらと歩道の隙間に、よく見るとたくさん穴が
開いていた。アリたちは忙しそうに歩いている。悪いことをした。アリの巣をひとつ防いでしまったのだ。夏の暑い日にもアリはせっせと働く。王もいない種族なのに、隊長もいないのに一列となって物資を運ぶさまに驚きを隠せない。遠い昔、ハノイのホテルの3階に泊まっていて、部屋に戻ると、テーブルに置いた飲みかけのコーラ目当てにアリたちが列をなしている様子に、アリの仕事ぶりに驚いた。律儀に列をはみ出ることもなくホテルのドアの隙間を潜り抜け、登り詰め生きることに懸命なのだ。
 ルソーは、命がけで、一部の者が支配する社会は終わらせようとして
来るべき社会の設計図を描きました。「社会契約論」です。
今日の民主主義の理論書です。この夏もおかしな隊長の出ない
未来社会の設計を書いている人はいるのだろうか?


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