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私の旅論と知られざる北海道の魅力 土地の「雰囲気」を感じ、「日常」を過ごす

観光業界で働いてきた、私の職歴

「旅行する人の、楽しい思い出作りのお手伝いがしたい」

10年以上観光業界で働いてきた。いつだって働く動機は、これひとつしかなかった。

中学生のときにアメリカ映画を見て、そこに映し出される、日本とは違う生活様式に興味がわいた。外国ではどんな暮らしをしているのだろう。

外国に行ってみたいという想いがやっと実現したのは、大学の卒業旅行。行き先はシンガポールだ。

初めて目にする、さまざまな日本との違い。覚えていないほど小さなことまで、日本の様式と比べては、その違いを考えた。

この旅でいろいろな人と出会った。タクシーの運転手さんや、レストランで対応してくれたお姉さん。彼らと交流しているうちに、芽生えた想い。

「旅行する人の楽しい思い出作りのお手伝いがしたい」

卒業後はこの想いを満たせる職業を探し、国内旅行添乗員になった。

北海道の添乗員は、道内の空港でお客様をお迎えし、一緒に観光地を回る。そして帰りの空港に送り届けるまでが仕事だ。私が現役の添乗員だった時代は、お客様と一緒に飛行機に乗って道外に行くことはあまりなかった。

はっきりと数えたことはないが、5月〜10月の半年間、月に平均20日添乗に出ると、120日になる。だから1年に1/3程度はバスの中で過ごし、北海道中を回っていたことになるだろう。

旅行者と接するこの仕事は、私の希望にぴったりだったが、労働条件は良いとはいえず、長く続けていけないと判断。途中に別の仕事を挟んだ時期もあるが、添乗員をやめたあとも、観光業界を転々としてきた。

タイはバンコクのホテルでフロントとして働き、帰国後は旅行会社で海外航空券の手配を担当。そしてオンラインホテル予約サイトの営業に。

新千歳空港でアルバイトもしていた時期もある。アジア系航空会社のチェックインカウンターに立ってお客様を誘導、チェックインカウンターの中に入り、チェックイン担当者の後ろで預ける荷物にタグを貼る。飛行機から降ろされた荷物を、空港のターンテーブルに乗せる、なんて業務もあった。

知られざる北海道の魅力

いつも魅力的な観光地として、上位にランクインする北海道に、持っていますか。

熊が鮭をくわえている映像や、一面の銀世界、広大な牧草地?
札幌時計台、小樽運河、函館の夜景、ニセコのパウダースノー、富良野のラベンダー?

「北海道」と検索すると、こういう画像が出てくるし、実際に自分の目で見たという人もいるでしょう。もちろんこれらはすべてすばらしい景色だし、すばらしくなければ、こんなに有名にもなっていないでしょう。

でも北海道の魅力はこれだけではありません。一年の1/3は北海道を回っていたので、もっとたくさんの顔があると知っています。


「毎日のようにバスに乗って、北海道の観光地を周っていても、車窓から景色を眺めるといつも『北海道好きだ』って思うんだよね」

添乗員の新人研修で、講師が言っていたことを今でも忘れられない。私にもこの気持ちが分かるから。

何度も何度も仕事で訪れた場所なのに、あの景色が見たくて、プライベートでも足を運んでしまう。

旅をするときは、一度でいいので、ぜひ大型バスを利用してみてほしい。貸切バスでも、路線バスでも、なんでもいい。バスは一般車よりも車高が高いので、車窓から見える景色が全然違う。

バスの車窓から見た景色が忘れられず、一般車で向かったのに、同じ景色を見れなくてがっかりしたことは数えきれない。

あまり知られていない北海道の魅力を、たくさんの人に知ってほしい。きっかけは些細なことだったが、一度思い始めると、その想いはどんどん大きくなっていく。

北海道の旅情報なんて無数に存在しているから、紹介する場所がかぶるなんて、よくあることだろう。それでも私が発信する意味はあるんじゃないかな。

同じものを見てもどう感じるかは人によって違うし、同じ感想を持ったとしても、伝え方ひとつで、受け手の印象は変わるから。

私の旅論

私は自分のことを旅好きだとは思っていない。有名な観光地や世界遺産には全然興味がない。(マチュピチュには行きたいし、オーロラを見たいという願望はあるが)

私が旅に望むのは、その土地独特の雰囲気を、肌で感じること。観光地という、雰囲気が作られている場所ではなく、できるだけ地元の人の生活を感じられるような場所がいい。

だから1年もタイに住んでいたのに、ほとんど遠出をしないで、休みのたびに同じ場所(セントラルワールドとビッグCの前の大通り)を歩き回っていた。「日常」を体験したいだけなので、特別なことをする必要がなかった。

タイから2泊3日の日程で訪れた、ベトナムのハノイでも、目的もなくホアンキエム湖の周りをひたすら歩き回っていた(水上人形劇だけはちゃんと見た)。街中にはハロン湾ツアーの案内であふれていたのに、見向きもしなかった。

現地の雰囲気を味わうだけなら、実際に足を運ぶ必要はないのかもしれない。『世界の車窓から』や『世界ふれあい街歩き』といった番組を見ていると、現地の人の生活ぶりを垣間見られる。

旅とは、その土地の雰囲気を肌で感じること。

これが私の旅論。私が発信する内容は、多くの人が読んで楽しいものになるとは思っていない。でもこの持論に共感して、私の目を通した景色を楽しんでくれる人がいたとしたら、それは意味あるものになるだろう。

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