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完璧主義をやめ、想定外の旅を楽しむ

私は超完璧主義者だ。

旅に出るときは出発前に起こりうる最悪の事態を想像し、どんなに小さくても気になることがあれば、ホームページや関係機関への電話で徹底的に調べる。

出発前に計画したことは完璧にやりとげなければらない。道に迷って何分もロスするなんて、最高にイライラする事態だ。

電車やバスなど時間が決められているものは、遅れるといけないので15分前には駅やバス停に到着するようにする。

観光地に着いても次の行程が気になって、何度も時計を見てしまう。

自分がひどい完璧主義者であることに気づいたのは数年前。

今でも無意識に完璧を求め、あとからそれに気づいて驚くことが多いが、できるだけ完璧を求めすぎないように、気をつけて生活している。

旅もそうだ。旅なんて日常生活よりも想定外に出くわす可能性は高い。予定通りにいかなくても良しとする、気持ちの余裕を持っていた方が旅を楽しめるだろう。

先月増毛町へ旅に出た。

子連れの旅だったので、早朝出発・深夜到着の行程は選べない。日中に行き来できる便を選ぶと、現地に滞在できる時間はわずか1時間半。

増毛でやりたいことは、たった2つ。ランチを食べることと、国稀酒造の見学。

食べることが非常に遅い私はランチにかかる時間を1時間とみる。そうすると、どう考えても両方の予定をこなすのは難しそうだ。

何度も交通機関を調べ、最終的にはこのような想定に落ち着いた。

お昼頃に到着するし子供にご飯を食べさせなければならないので、ランチを優先。想定より早く食べ終わり、タクシーで国稀酒造に移動すれば酒造見学もできるかもしれない。

ランチはちょうど1時間ほどで食べ終わった。想定通りだ。レストランのお兄さんにタクシーを呼んでもらえないか聞いてみると、驚きの回答。

「増毛にはタクシーが2台しか走ってなくて、いつもお客さんを乗せているので電話してもむだですよ。歩いている途中に運良く空いているタクシーが見つかれば乗せてもらえます。」

ちょっと待って。ここで想定外かよ。だめ元で電話してよと思ったけれど、地元民がそう言うのならそうなんだろう。

この日はカラッと晴れ、青空が広がっていた。それに猛暑と言われるほどの暑さ。つまり炎天の中子供を抱っこして歩くことに。暑いのと重いので死ぬかと思った。

どうにか国稀酒造にたどり着き、建物の中には入ったけれど、あいにく酒造見学の時間は残されていなかった。フリースペースで休憩しながら、動き回って暴れようとする子供を追いかけただけ。

全然予定通りに進まなかったけれど、街中を歩けたので雰囲気を直接味わうことができた。酒造見学をあきらめた代わりに増毛駅で写真をとれた。

総じて楽しい旅になった。

予定していた便に乗れなくても、次があるさ。それに知らない土地で道に迷うなんてありがちなこと。

旅が始まる前から予定通りに進むはずがないと割り切ったら、心が軽くなって想定外のできごとも必要以上にイライラしないどころか、楽しめるようになった。

目的を全部達成できなければ、それはまた来る理由になる。

それに悪いハプニングだけではない。ときには良いハプニングも起こるのだ。

旅に完璧主義はいらない。必要なのはハプニングを楽しむ心だけ。

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