ストレッチの是非(0)---プロローグ---

これからしばらくの間、ストレッチの考察をしていこうと思います。

本来ならば、考察の順序はDoug Richards氏の「Stretching: the Truth(ストレッチの真実)」から始めるべきですが、http://podbay.fm/show/336356622/e/1236549600?autostart=1(ここから動画がダウンロードできます)、先日Eyal Lederman先生の「Functional Stretching」の講習にでて、いろいろと刺激をうけましたので、セミナーで得た興味深かった事柄を羅列してから、基本的な情報に立ち戻り、いろいろと詳しく考察していく予定です。

Lederman先生が伝統的なストレッチ(特にこの場合静的ストレッチ)に異議を唱えているのはいろいろと理由があり、それらを羅列していくと

・ストレッチをやる理由として、「柔軟性向上」のためと言うが、仮にそうだとしたら、ストレッチしていない筋や関節は、ストレッチを定期的にしないことによって、どんどん硬くなっていくのか?

・最近の研究でストレッチが関節可動域向上に役に立たないという確固としたリサーチがある

・スポーツパフォーマンス向上にもなんら影響がないし

・スポーツ障害(怪我)の予防にもならないというデータがある

・ROM(関節可動域)を決めるのは、関節の構造(解剖学)と組織の”痛みの度合い”、そしてさまざまな社会心理的要素できまる

・その”痛み”とは、痛みの反応(pain responce)であるから、それ以上伸ばすと痛いという脳からの信号。なので、急性痛にストレッチは逆効果。

・慢性痛、つまり”凝っている”感じがするとき、その凝っている部分に筋の収縮はおこっていないので、その凝っている部分を”伸ばす”という発想は間違い。

・そもそも何を基準に”正常な”ROMといえるのかが疑問

・今流行りの「パンディキュレーション・ストレッチ」も怪我の予防、パフォーマンス向上、柔軟性の向上にも役に立たない。おそらく心理的に必要だから、動物や人はやるだけ。(気分的な問題)

・能動的なストレッチと受動的なストレッチでは、ROMが変わる。その意味は?その意味を考えると臨床的によく行われる(治療として行われる)受動的なストレッチは、逆効果の可能性が高い。

・仮に臨床的ストレッチが効果的と主張するのであっても、その刺激量は組織の変化(適応)に必要な刺激量に全く足りていない。

・Lederman先生の考える伝統的ストレッチにかわる「FUNCTIONAL STRETCHING」の紹介と実践(練習)

など。

以上のことをセミナーの資料を元に、詳しく紹介していくつもりです。

おそらくほとんどの徒手療法家はストレッチを患者さんに勧めていると思います。そういう方々にはかなり苦々しい内容になるかと思います(笑)。

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