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「soco kitchen & bar」with FASTNER.

市バス河原町丸太町から徒歩5分にある「soco kitchen & bar」。
昼はkitchen(カレー)、夜はbarという二つの顔をもつsocoは、ジャンルを超えたいろんな人が集う空間。
さまざまな人や文化が出会い、新しいものは価値を生み出し、それを発信する「場」がsocoにある。
FASTNER.メンバーがsocoの魅力を聞いてみた。


「場」としてのsoco


「さまざまな人や文化が出会い、新しいものや価値を生み出し、それを発信する。そんな『場』がsocoです。」

ちょうど始めたのがコロナの最中だったし、人とう機会なんかも制約されてたんだけど、やっぱり「場」って大事だなと思って。
もともとは、宿をやることがメインで 。以前から、伏見の方でゲストハウスをやってたんですね。3年間で500人くらいの人が…35カ国くらいかな。一緒にご飯を食べたり、近くのお寺に行ったり、飲んだり、いろんなことをやって。お互い自分の知らない世界に相手を通じて触れ合えるし、それがものすごく楽しかった。「あ、これは面白いな。」と思って。そこで、もうちょっと街中でもなんかやろうかなって思った時に偶然この建物を見つけて。でも買った途端にコロナでぱたっと来なくなっちゃったから、宿をすぐにやってもしょうがないと思ってとりあえず下のスペース使ってなんかやろうと思ってカレー屋を始めた、というのが元々のきっかけだったんです。

2年前、ちょうどここに集まってきた仲間と食品会社を一緒に作っていて。ちょっとアフリカの面白いものを今仕入れてて、それを売り出すアンテナショップ的なレストランに模様替えをしようかなと。でも、それは単に買って売るだけじゃなくて、「本当にいいことだけをする会社」を実現しようと。 

ー なるほど。もともと宿が根幹にあって、コロナの影響を受けて、最初はカレーの店として始めることにしたんですね。

そうです。ただ単に「泊まってください」っていうだけじゃなくて、大学関係者が滞在する数ヶ月間とかって、なかなか宿を探すのが難しいんで。どの大学もそうだろうけど、そういう人たちを受け入れる施設を持っているところが少なくて…
だから、そういう人たちが1週間でも1、2ヶ月でも手ぶらで住めるように、かつ、そういうサポートを一手に引き受けますよと。まあ実際やってみて、どういう人が来るかとかは分からないけどね。だから別にそっち向けに制限してるとか、長期のみとか、観光客を断るとかはしてないんだけど。でも、不思議と普通の予約サイトで予約してくる人も、長期で「しばらく大学に研究で行きます」とか「医大で1ヶ月検診を受けます」とか、そういう人が多かった。

ー本当に助かると思います。僕も地方から一人暮らしでこっちに来て、いろんな手続きを一人でやってたんですけど、日本人の僕でも、もう本当に面倒臭かったです (笑)

「開かれた」空間づくりとは

ー 取材に当たってインスタグラムなども拝見したのですが、「レストランやバーの域を飛び越えているな」という印象でした。僕たち学生を含め、誰に対しても開かれた空間であるというのはすごく助かります。

まあ、それが取り柄というか、「何でもあり」というのが信条なので。
(店ができて) もう間もなく3年になりますけど、営業自粛とかでピリピリしながらだったけれども、それでも不思議といろんな人が集まってきて。この場所を使って展示やりたいとか、ライブやりたいとか、上映会やりたいとか。それで「あ、どうぞ自由に」って、PAの機器とかピアノとかそういうのを貸して。あのピアノも300円で買ったのかな。そういうことをやっていくうちにミュージシャンたちの間で「ここは結構自由にやらせてくれる」みたいな感じで、定期的にライブやる人が出てきて。
もうジャンルも何も縛りもこだわりもないので、楽しければ何でもいいよと。
ジャズとかコンテンポラリーとか、ピアノ、コントラバス、シタールの即興演奏に合わせて、女性のダンサーが裸に金粉塗って踊るとかっていうのも(笑)
まあ、そんな感じで、昼はカレー屋で夜はバー、時折ライブみたいなのでやってきたんですけど。

迷いや葛藤

ー 「よし、自分がビジネスをしよう」となるまでに迷いや葛藤はありましたか。

ビジネスにすること自体は、僕が元々やろうとしていたことではなくて。普通にここでカレー屋をやりながら、いろんな人に出会えたらいいなくらいに思っていたんだけれども。共同創業者の人が色々面白いことを手がけている人で、彼はやっぱりビジネスで儲けていく感じで。「ビジネスにしていこう」っていうのは、完全に共同創業者のアイデアです。僕は商売には疎いから何の知識もなかったし、どうやって会社を作ったらいいかもなにひとつも知らなくて。でも、彼は公認会計士で自分の会社もあるし、それ含め色んな会社のこともやってきたから全部分かってるから経営のことは任せても大丈夫だなと。だから、僕はひたすら現場というか、いいものをちゃんと仕入れることに注力すれば会社として成り立つんじゃないかと。だから彼がいなかったら、会社にしようとは絶対に思わなかったと思う。

挑戦の根幹には?

ービジネスを始めることはとても大きな挑戦だと思いますが、そういった挑戦の根本の部分には何がありますか?

まず、チャレンジするっていう意識があまり僕にはなくて。自分に課題を与えるとか、偉大な目標を掲げてとかも。たまたま出会ったものが面白かったら食いつくっていうだけの話で。もちろんそれはチャレンジでもあるし、乗り越えなきゃいけないハードルもたくさんあるんだけどね。「あ、こんなことができたらいいな」と思ってることを地道にやってるだけの話なんで。飲食店を始めること自体も、趣味で料理は作ってたけど、全く素人だったんで、やってできるかどうかも分かんなかったけど、できる範囲でやってみたらいいかなぐらいの感じで。負担とかハードルには思ってないですね、今までやってきたことは。


ー「挑戦」っていう仰々しいものではないってことですね。

掛け軸にかけるようなそういう信念とか、もう一切ないですね(笑)
本当にもう「そのうち いい風が吹くかな」みたいな感じで面白いから乗っかろうみたいな。


ー「そのうちいい風が吹く」っていう考えとビジネスを掛け合わせることってできるんですか?

今は社長以下は全員無給でやってるから、いわゆる責任って感じのものはないですね。今必要なのは、むしろそのビジネスをやっていくパートナーに対して。それは現地の生産者であったり、卸し先のお客さんであったり、そういう人たちと信頼関係を作っていくっていうことだけなんで。これもたまたまなんだけど僕らの会社に出資をしてくれた人たちが、ものすごいネットワークを持っていて。食品業や飲食業界からメディアから、どこでも繋がっている人たちだったんで。他にも、株主の一人がギニア駐日本大使とすごい仲のいい人だったり。なので、そういうところ含めてつくづく運がいいなと思って。
たまたまこんな場所でこんなことができて、そこに素晴らしい人たちが来て。それで、こんなことを思いついて形になりつつあるっていうのは、本当に流れに乗っかってやっていくうちにこうなったっていう感じなんで。

基本的に「他力本願」というか、色んな人たちの力を借りながら本筋は絶対外さないようにやっていけたらな、という感じです。

ーお話からも要所要所で「たまたま」とか「偶然」って言葉が出るように、「流れ」を大切 にされてるなってことがお話を聞いて改めて感じました。

それは本当にそう。意識してできるもんでもないし、本当にたまたま人と出会うっていうことが、不思議と繋がっていく。それが、この場所の持つ力かもしれない。たまたまフォニオを知って調べたら、西アフリカのギニアが最大の産地だったんですね。でも僕はギニア人の 知り合いはいないなと思ってたら、次の日にギニア人がここに飲みに来たんですよ。本当にたまたま。それで、ちょっと僕らは売りたいから手伝ってよっていうような感じで、すごい運命レベルでしたね。そんなことが自然にぽつぽつ起きるんで、もうそういう意味で「場」としてsocoが持つ力ですね。

"集まる"場所

ー食品会社の設立のメンバーの方も、socoで集まってるんですね。

もう開店初日から毎日来てた。その時すぐ隣の街に住んでて。
色々話してるうちに、「やっぱり食べ物って大事だよね」ってなって。それで、「食品ビジネスやろう」っていうようなことになっ た。
で、会社作って(socoが入る建物の)一部屋をオフィスにして、共同創業者もそこに住んでみたいな感じで。その人を通じて、またいろんな方面の投資家だったり、デザイナーだったり、色んな人と繋がってて助けてもらってます。

ーここを拠点にいろんな人が集まって繋がっていくような感じなんですね。

いろんな人が自然に集う空間。
誰かと繋がり、何かがはじまる不思議な力がsocoにはあった。



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