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All Aboutパンガイドという正客

January 15, 2019

20年近くもAll Aboutパンガイドの仕事をしてきて、茶道の稽古もしていたのに、先日まで意識していなかった大事なことがあった。それは「正客」とパンガイドの仕事の関連性だ。それを、昔、All Aboutでお世話になった新城健一さんの記事、さらにそこで紹介されていた若宮和男さんという方のすごくおもしろい記事で、気づかされた。

お茶事において正客は、招かれた客の代表として、亭主(茶事を開催したひと)が何日も前から準備した心づくしのおもてなし(道具やしつらえ、茶や菓子など)について、亭主と問答をするなかで、その場の全員がその意味や価値を認識し、「なるほど」と読み解き、存分に味わい、愉しめるようにする役割を担う。

亭主をパン職人や店主にたとえるなら、パンガイドあるいはブレッドジャーナリストは正客だ。よい正客だったかは亭主(取材されたひと)やほかの客(読者)が判断するとして、その店や商品の背景や愉しみ方を、その職人の想いのこもったパンの価値を、客の立場から光をあてようと努めてきたのだった。IT革命以来20年近くも、試行錯誤しながら。

All Aboutではコンテンツの見直しがあり、2019年1月から無期限でパンの新規の記事は書くことができないという。雑誌からの依頼も、情報提供やコメントばかりで、書かせてもらうことは容易ではない。しかし、媒体が決まっていなくても、わたしだからこそできる取材があるのならば、その活動は続けていたいと思う。正客の立場を、もう少しの間、貯金が続く限り、究めてみたいと思う。記事は、このnoteに書く予定にしている。

サポートしていただいたら、noteに書く記事の取材経費にしたいと思います。よろしくお願いいたします。