彼女は映画館からそっと出ていった
はつ子さんと連絡が取れなくなったのは、先々月のことだった。
メッセージを入れても既読にならなかった。店が忙しいのだろうと思っていた。
年上の友人のはつ子さんとは、仕事で知り合った。彼女の夢を一緒に追い続けてきた。いや、そうではない。人生を賭けて店をつくりあげてきた彼女を、傍からずっと、ワクワクしながら眺めてきた。
プライベートでは年に2、3回会う。通っている病院で同じ医師にかかっているので、診察日を合わせて、帰りに一緒に食事をするのが、ここのところの習慣だった。そんなときでも