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【鋭い刃を隠しながら】カタールW杯 ラウンド16 オランダ×アメリカ|マッチレビュー

始まりましたノックアウトステージ!さぁここからさらにギアを上げた、国の威信をかけた本気の中の本気の戦いの幕開けです!

それではオランダ×アメリカの試合を振り返っていきましょう!

▪️2人の列落ち

序盤ペースを掴んだのはアメリカ。試合開始からアメリカがミラー気味にオランダへ積極的にプレスに出た。

オランダを押し込みシュートまで持ち込むことに成功したアメリカ。ここでオランダの出鼻を挫くゴールが奪えればまた結果は変わったかもしれない。

アメリカの噛み合わせる陣形にオランダはなかなかボールを保持することが出来ない。しかし2人の列を降りる動きでアメリカのプレスを緩和させて、見事な崩しで先制ゴールを奪ってみせた。

まずは最終ラインにCHのフレンキー・デ・ヨングが列を降りてビルドアップに関与。

アメリカは3トップでオランダの3バックへ出てプレスを噛み合わせにきたので中盤のデ・ヨングが列を降りることでファーストプレスのズレを作り出した(4vs3の状況作り出したオランダ)

デ・ヨングを中心に後方でボールを動かせるようになったオランダは、左WBのブリントへボールを届ける。

アメリカは配置を噛み合わせてプレスに出たとは言え、唯一プレスが届くのに時間がかかるエリアがある。それはオランダのWBだ。

ここにはアメリカのSBが出る構造になっていた。しかしオランダのWBにべったりマークにつくと背後にスペースが生まれてしまい裏を取られる危険性がもちろんある。

その為最終ラインをケアすることを第一優先にしながら、幅をとるオランダのWBへ縦のスライドで圧力をかけにいく。

しかしオランダのビルドアップ時左WBブリントは3バックラインの斜め左に立つ。高い位置を取らないことで、反対にアメリカのSBのプレスが届くまでの距離ができ、オランダのビルドアップの一つの抜け道となっていた。

前向きでボールを持つブリントから再三斜めのパスがオランダの前線に送り込まれて前進する。

そしてここで2人目の列を降りる選手の登場。それは2トップの一角メンフィス・デパイだ。

彼が前線から中盤に落ちることで僅かだがフリーになり、後方からボールを受け取り前線との繋ぎ目となった。

そして生まれた先制点。

アメリカのプレスの構造をしっかり把握した、見事な崩しだった。

▪️アメリカ.ボールは持てるが…

プレッシングをいなされて先制点を許したアメリカ。しかしゲームを通してボールを握っていたのはアメリカだった。

オランダはアメリカにボールを持たれると、後方3バックにWBを加えて5バックを最終ラインに形成。

中盤3人はアメリカの中盤3人をマンマーク気味に捕まえて、2トップがファーストプレスとなりアメリカのビルドアップの入口に圧力をかけにいった。

しかしオランダ同様に、アメリカのSBにはプレスが届くまでに時間がかかる構造。アメリカは時間とスペースの猶予ができるSBを使って、オランダのプレスを逃れていった。

またオランダの中盤マンマークで人を捕まえる守備を逆手に、ポジションチェンジやサイドに流れる動きでオランダの中盤にズレと迷いを与えていった。

その為オランダの前からのプレスはかからずに、アメリカがボールを保持する時間が長くなった。

しかしアメリカが向かえた最大の課題はここから。

陣形を下げたオランダの分厚い5バックの前に何度も攻撃を跳ね返される展開に。

最後はファン・ダイク。そしてそりたつ2m超のGKノベルトの大きな分厚い壁を越えることがなかなか出来なかった。

鋭い刃を隠しながら

オランダはアメリカにボールを保持される時間が続き、ラインを下げて5バックで攻撃を待ち構える時間が続いた。

しかし決して慌てることはなかった。いくらアメリカにボールを動かされても冷静に。そして虎視眈々と何かを狙うように、アメリカの攻撃を受けてたった。

そしてボールをアメリカから取り上げると、隠しもった刃を振りかざした。

オランダのカウンターは凄まじい威力を発揮した。

メンフィス・デパイは身体は大きくないが持ち前のボールスキルで前線でボールをキープ。右WBのドゥンフリースは188cmの長いストライド活かしたスプリント力で、最終ラインから一気に相手のDFラインまで快速を飛ばす。フレンキー・デ・ヨングの常識離れしたボールタッチとプレス耐性。

ボールを奪うや否や、隠しもったい刃(個人の力)を出し、分厚いカウンターを炸裂させた。

おわり

前半終了間際に再び右WBドゥンフリースのアシストから左WBブリントが合わせてオランダが2点を追加。

後半アメリカも一点を返すも、再びドゥンフリースがゴールの起点に。左からのクロスを今度は合わせる側でオランダの3点目をゲット。

ドゥンフリースの1G2Aの大活躍でオランダがラウンド8へ駒を進めた。

敗れてしまったアメリカも非常に個人能力も高い上に、チームとステに完成度も高く非常に素晴らしいフットボールを今大会見せてくれた。

カタールW杯の次は、2026年アメリカ、カナダ、メキシコの3ヵ国合同開催。アメリカはまだまだ若いチーム!次回の自国開催が楽しみだ!

オランダは本当にしたたかというか、トーナメントに強いチームという印象。ボールもしっかり持てるし、撤退守備も非常に固い。

苦しい時の飛び道具(個の力)もあるのでこのまま手堅くトーナメントを勝ち上がりそうな予感がああるね!

気になった選手

ティム・リーム(アメリカ代表)

ユリエン・ティンバー(オランダ代表)

オランダ代表3バックの右を担う21歳。アヤックス所属。

あれ?オランダにはデ・リフトやデ・フライトとベンチに実力者がいるのに?と思っていたが、試合で彼のパフォーマンスを見たら納得。

(左のナタン・アケ同様に、SBも出来る選手をファン・ハール監督は3バックの左右に置きたい意図を感じる)

持ち前の身体能力と速さで、決して世界を見たら大きくないが体格(179cm)をカバーするように、広範囲守れる選手だ(ナタン・アケは180cm。こちらも大きくない)。

3バックのど真ん中にファン・ダイクさんがいてくれるのも大きいだろう。

そうは言っても高さやフィジカルが必要な時もある。そんなときはベンチに控えるデ・リフト、デ・フライトの登場。

オランダが先制して、守りに徹したときが1番厄介かもしれない。

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