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【攻め続けた両チームに感動!】カタールW杯 ラウンド16 アルゼンチン×オーストラリア|マッチレビュー

両チーム共に、試合終了のホイッスルがなるまで攻めることをやめなかった。その姿勢にサッカーの面白さ、醍醐味、そして感動を与えてくれた両チームに大きな拍手をおくりたい。

それではアルゼンチン×オーストラリアのカタールW杯ラウンド16の試合を振り返っていきましょう!

◾️締め出したオーストラリア

アルゼンチンがボール保持をしオーストラリアがブロックを形成してカウンターを狙う構図があっという間に完成。

オーストラリアはボールを保持されるとラインを自陣まで下げて、4-4-2のブロックを形成してアルゼンチン自慢の攻撃を待ち構えた。

オーストラリアが準備した4-4-2ブロックは非常にコンパクト。ライン間、ギャップといった中央のエリアを消し去り、アルゼンチンは中へ入れない。

段々とアルゼンチンのボール回しは外へ外へ。オーストラリアの思惑通り外へ締め出されたアルゼンチンが窮屈そうにプレーするシーンが前半中盤までよく見られた。

◾️配置を修正したアルゼンチン

外へ外へ締め出されたアルゼンチンだったが1つの糸口を見つける。

アルゼンチンはボールを保持した時の、全体のバランスがやや悪かった。特に左サイド。

ボールを保持した時右サイドは、右WGに入ったアルバレスが中へ入り、右SBモリーナと右IHデ・パウルがサイドに上がったり、下がったりとトライアングルが好循環していた。

問題は左サイド。左SBのアクーニャと左WGに入ったパプ・ゴメスがサイドでポジションが被ってしまい、中の選択が少なくより外への選択が多くなり、オーストラリアの思惑通りとなってしまった。

前半中盤アルゼンチンが配置を調整する。アルバレスとパプ・ゴメスのサイドをチャンジャ。これによりより中の選択を増やしたアルゼンチンが段々と、コンパクトなオーストラリアの陣形の中へボールを入れられるようになった。

アルバレスは右サイド同様に、左サイドに立ち位置を移ってもボールを保持すると中へ中へ。これにより左SBアクーニャはお得意のサイドの高い位置へ。

右サイドへ移ったパプ・ゴメスもより中でプレーする様に。

後方はアンカーのエンソ・フェルナンデスでが2CBの間に落ちて後方3バックに。

オーストラリアのファーストプレス2トップに対して数的優位を作りビルドアップの入口を安定させてボール保持の時間も増やしていった。

そして前半35分均衡破ったのはやはりあの男だった。

ゴールを奪ったことで余裕も生まれたアルゼンチンが、オーストラリアを翻弄する攻撃をどんどんお披露目。

バランスの整った配置でボールの狙いどころが定まらない。ハマった!と思った瞬間顔を出すメッシによって全て水の泡に。

それでもオーストラリアは辛抱強く、その後は追加点を奪われずに希望を残した状態でハーフタイムへ。

◾️一瞬の隙を突いたアルゼンチン

アルゼンチンはボールを持った時の破壊力、そして奪われてからのトランジションの鋭さはあった。

しかししっかりオーストラリアがボールを保持した局面でのプレッシングやどうボール奪うのか?という振る舞いはチームとして整備されていたとは決して言えなかった。

オーストラリアはボールを保持すると4バックが横にボールを動かし、そこへGKと中盤の1人もボールに関わり丁寧にボールを動かす。

アルゼンチンのプレッシングは整備されていないのでオーストラリアが悠々とボールを保持するシーンも前半見られた。

しかしこれが悪い意味での安心感に?余裕に?

後半11分アルゼンチンが大きな追加点を奪う。

オーストラリアが自陣でアルゼンチンのボールをとりあげる。GKがボールをキャッチしオーストラリアのボール保持の局面となり、自陣からビルドアップを開始。

しかしアルゼンチンのデ・パウルが左サイドに出たアルゼンチンのボールへ前に出る。それにびっくりしたのか思わずバックパス。そこにアルバレスも続いて一気にバックパスを受けたGKにプレッシングを見せて、最後はアルバレスがゴールへ流し込んで点差を広げたアルゼンチン。

またアルゼンチンは後半早々に、前線のパプ・ゴメスに変えてDFのリサンドロ・マルティネスを投入。後方の枚数を一枚増やして5バックで攻撃を待ち構えるシーンも。

後方の枚数が一枚増えたことで、アルゼンチンの前線の選手たちは思いっきり前に出れる!という決心がついたのかもしれない。

色んな思惑、心理状態がプレーに影響されて生まれたようなアルゼンチンの2点目だった。

◾️攻めの手を緩めなかった両チーム

後半は2点目を奪ったアルゼンチンの独壇場に。オーストラリアの選手たちからは疲労感は見られ、為す術なしという感じでアルゼンチンの猛攻をただただ凌ぐ展開へと。

それでもオーストラリアは少ないチャンスが訪れた時には、懸命に人数をかけてアルゼンチンのゴールへ向かっていった。そして30分オーストラリアが息を吹き返すゴール1点を返す。

アルゼンチンは先ほど少し触れたが、後半の頭から守備の陣形を後方を5バックにした5-3-2に。そうするとオーストラリアの幅をとるSBが比較的フリーになる。

そのプレスの届きにくいSBを起点にアルゼンチンのゴールへ迫ったオーストラリア。オーストラリアの1点目もサイドに張るSBが起点。そして迎えてた絶好の同点チャンスもSBが起点に。

左SBへビッチは自分がフリーで前向きになると勇気をドリブルで切り込む。35分彼が決定的なシーンを作り出すも、アルゼンチンの懸命なブロックの前にゴールならず!

オーストラリアが全力で同点を狙いにいく。それに応えるようにアルゼンチンも攻めの手を緩めない。残り時間を考えて、点差を感上げてもアルゼンチンは試合をクローズさせる選択をすべきだったかもしれない。しかし彼はオーストラリアとのオープンな殴り合いを選択。

そしてここから際立ったのはやはりあの男だった。残り10分からのメッシのプレーは本当に圧巻だった。必死に向かってくるオーストラリア の選手たちを何度も剥がす。そして追加点こそ奪えなかったが、アルゼンチンに決定的なお膳立てを何度も演出して見せた。

そして試合はオーストラリアの最後の向こうをGKマルティネスがセーブし、アルゼンチンがこの死闘を制しラウンド8へ駒を進めた。

◾️おわり

まさに死闘。最後はオープンな殴り合いとなり、非常にハラハラドキドキの見応えのある試合を見せてくれた両チーム。本当に心を打たれる好ゲームを見せてくれた。

アルゼンチンの次の相手はオランダ。好ゲーム必須だろう。
試合を重ねるごとに団結力を増すアルゼンチンの快進撃はいつまで続くのか?そしてメッシ最後のW杯のエンディングはどうなるのか?目が離せない。

気になった選手

A・べヒッチ(オーストラリア)

オーストラリア代表の左SBを務めた31歳のベテラン。
守備では分厚いアルゼンチンに臆することなく闘志むき出しで身体を張り続ける。そして後半終盤では左サイドから何度もドリブルで切り裂き決定機を演出。攻守で奮闘したアグレッシブな選手だった。

解放された2人(アルゼンチン)

メッシの相方に躍り出てきたフリアン・アルバレス。IHへとポジションを上げたデ・パウル。この2人がメッシの分まで、そしてチームの為にピッチを走りまくる。

デ・パウルは中盤の底にドシッ!っと立っているよりも、IHで動き回ったほうが彼の良さが出ている印象。アルバレスは相変わらず走りまくり。メッシとの相性も抜群で、2試合連続でゴールを奪う活躍も見せている。

解放された2人がオランダ戦でも大いに暴れてくれるはずだ!


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