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【バイエルン考察】どうしちゃったんだバイエルンCLラツィオ戦を考える

本当はこういう記事が書きたかった。ここにきて今シーズン最高の試合が観られた。全員が高いインテンシティで試合に臨み、相手に得点の機会を与えなかった。そんなラツィオ戦2ndレグを振り返るとしよう。


1stレグでの敗戦

1stレグは相手の堅い守備をなかなか崩すことができず、0-1で敗戦した。レヴァークーゼン戦での敗戦もあり、選手たちのモチベーションはかなり低かった。点が入る雰囲気がせず、枠内シュートは0でさらにウパメカノが退場した。
1stレグを振り返ると、2ndレグも点が入らないのではないか。守備陣がまたPKを与えてしまうのではないか。そんな不安が筆者を襲い夜も寝られなかった。

立ち上がりから漂う得点の雰囲気

キックオフされるとバイエルンはかなり高い位置からプレスをかける動きがみられ、今までにない良い意味で異様な雰囲気が流れた。ここまではラツィオの読み通りだったかもしてない。後方にブロックを張ってバイエルンを迎え撃った。バイエルンはロストからのカウンタープレスで幾度となくボールを奪取し、多くのチャンスを作った。これこそバイエルンだという試合展開が続いた。もっと早い時間から点を取るのが目標だったかもしれないが、それでも集中を切らすことなくプレーした。それが前半終了間際の2点につながったのだろう。
あまりにも前半のペースが速さいため、逆に前半点が取れなかったら負けてしまうのではないか、と不安に感じてしまうほどだった。だが、このハイリスクハイリターンさがバイエルンなのだ。負うべきリスクをしっかり負った結果が2点という大きなリターンなのだ。

守りに入らなかった後半

2点を取り、アグリゲートスコアでリードして前半を終えた。カギになるのは後半の立ち上がりだ。ここで相手に流れをつかまれなければかなり勝ちを手繰り寄せることになる。後半立ち上がり、サネのカットインからのシュートはキーパーにはじかれるがケインが押し込み3-0。これで勝利は限りなく近づいた。この点はそれだけ大きかった。
後は、パスで相手をいなしつつ高い集中を保って無失点で試合を終えた。

改善されたトゥヘルフットボール

あくまで筆者の憶測だが、今日の戦術はおそらくトゥヘルの独断ではないだろう。これまでトゥヘルがこだわってきた守備の形や組み立てではなく、組み立てはナーゲルスマンの時代に近く、守備と攻撃はフリック時代に近いものであった。すなわち、中盤の1枚が最終ラインに降りてから組み立てはナーゲルスマンが多く用いていたやり方であり、失った後にげーげんプレスをかける点や、守備陣形として外を捨てて中央を固めるやり方はフリック時代(ナーゲルスマン時代にもあった)のものにかなり近かった。また、プレスがはまった後に大外の選手にすぐにボールを渡すのは正しくフリック時代を彷彿させた。
いずれにしても今までのトゥヘルフットボールとはかけ離れており、選手達と綿密に練った策なのではないか。ライプツィヒ戦もそうだったが、もしかして解任が決まったトゥヘルは自身のこだわりを捨てたのではないか。
ブンデスの優勝がほぼなくなり、トゥヘル自身も退任が決まり状況的にかなり難しいはずではあるが、むしろそれで開き直れたというか本来の姿を取り戻したというのか、いいバイエルンを少しずつ取り戻しつつある。選手とコーチの関係性にある種割り切りのようなものができたのだろう。
今日のような采配が続けば来期以降もとは思うが、それとこれとは話が違うのだろう。

改善点

完璧に近い試合であえて改善点を挙げるとするならば試合の締め方くらいだろう。相手をいなすパス回しも悪くはないが、最後まで点を狙いに行くというのでも良かっただろう。もちろん多くのエネルギーを使うことにはなるが、これは選手たちの自信を取り戻すいい機会でもあった。自分たちが本気になれば何点でもとれるぞという姿勢をみせるのは今後のトーナメントを考えても悪い話ではない。特に今は失うものはないのでそれだけのことをやっても良かっただろう。
それでも全体的にデザインされた試合展開でうまくいったと言えるだろう。ここにコマンやマズラウィが戻ってくる上、パブロヴィッチがかなり成長していること、デリフト・ダイアーのCBコンビも組み合わせ(これは本当に良かった)という発見を踏まえると次の抽選次第ではかなりいい状況だろう。今後のバイエルンに期待である。

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