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【バイエルン考察】もう限界やて 第27節デアクラシカーを考える

18/19シーズン、ドルトムントホームで行われた第11節ドルトムント対バイエルン通称デアクラシカーは3-2でドルトムントが勝利を収めた。バイエルンが2度のリードを守りきれず、逆転負けを喫した試合である。この年のドルトムントはバイエルン一強だったブンデスリーガに一石を投じ、優勝まであと一歩まで迫っていた。
デアクラシカーで最後にドルトムントが勝利をしたのはこの日までさかのぼる。さらにアリエンツアレーナでの勝利は2014年が最後だ。伝統の一戦とは名ばかりでバイエルンが圧倒しているのが実際のところだ。


先手を取ったドルトムント

バイエルンはノイアーとパブロヴィッチを欠く中、ウルライヒとライマーが先発となった。
前半早々、ミュラーのパスミスからドルトムントのカウンター、最後はアデイェミが抜け出して先制。
この失点は今のバイエルンのすべてが詰まった失点といえる。
まずミュラーのパスミス、ミュラーにしては珍しい判断ミスだ。もっと押し込んだ状態もしくはカウンターならまだしもパスをしたタイミングは相手の陣形が整っていて通せる場所はなかったはずだ。また、出す相手も適切とは言えない。オープンに開いたキミッヒではなくムシアラに送った。仮にケインに通ったとしてもケインは孤立、奪われるのは時間の問題だ。失ってすぐにプレスを掛けられる状況ではなかったのでやはり出す相手はキミッヒが適当だった。
次にプレス強度の低さ、ブラントにボールが渡ったタイミングでライマー、ミュラー、サネの3人で囲みにかかるが、サネのプレスがやや遅れ、そのためミュラーは左にポジションをとらざるを得なくなった。ミュラーが左にそれたことによりブラントが後ろにボールを落とすための隙間が空いた。
そして、ゴレツカがジャンにプレスをかけたところでダイアーはヒュルクルクについていかないといけなかった。それによって再びブラントにボールが渡り、最終的にはアデイェミ。フィニッシュは見事だった。

決定機が無い

今季のバイエルンは負けるべくして負ける試合が多い。それはやはり決定機の少なさに帰属する。ボールの動きのしろ、選手の動き出しにしてもそうだ。負けた試合はないよう踏まえても全く面白くない。唯一の決定機らしきものはオフサイドによって取り消されたケインのゴールだ。どうすればボールの動きが出るのか。それは選手たちのオフボールにかかっている。前線まで押し込むと当然相手のラインは下がりスペースがなくなる。狭いエリアでボールを動かすのは難しい。一人で局面を変えられるほどのミドルシュートの名手がいれば話は別だが、バイエルンには圧倒的個人技を持った選手はいない。では、どうすれば良いのか。相手の陣形にずれを引き起こすのだ。相手の最終ラインを揺さぶれば、ラインにずれが起き、オフサイドとオンサイドの狭間ができて抜け出しやすくなりボールが動かせるようになる。この動きが極めて少ないのが負けるときのバイエルンなのだ。
普段は守備的戦術を取らないチームもバイエルンが相手になると守備のチームに生まれ変わることは多々あるがそれを剝がすための戦術は考えければ来季以降勝てる保証はどこにもないだろう。

この日のドルトムントは世界一

ここまでバイエルンの話をしてきたが、この日のドルトムントの集中力、戦術、個人技は世界屈指といえるだろう。全員が共通認識を持ち、ボール奪取からのカウンターや守備の最終局面に至るまで素晴らしい試合を見せた。確かに今のバイエルンに負かされても困るが、それでもよくやったとバイエルンファンながら思うところである。これほどの高い集中力と戦術を兼ね備えれば来たるCLアトレティコ戦やその次に待ち構える相手も倒せるのではないかとも思うほどこの日のドルトムントの完成度は高かった。
CLを前に大きな収穫を得たドルトムントと課題が山積みなバイエルン、明暗が分かれた両者の今後に注目である。


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