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今宵あなたとシガレッツ


昔、喫茶店といえばタバコのイメージがあった。「喫」はものを口に入れる、という意味の漢字。そういえばお茶も煙草も「のむ」という。

お茶を喫する店=喫茶店、煙を喫する場所=喫煙所

自分の職場は渋谷なのでカフェには困らない。いつも行くのはマークシティ下にある。カウンター4席のちいさなカフェで、禁煙。手前から奥に向かって2m近くの水槽が壁全面を覆っており、ひとを連れて行くと大抵びっくりされる。休憩時間や会社帰りに立ち寄り、20分くらいゆったり過ごすのがお気に入り。この店舗、道路を挟んで反対側には2件喫煙可のカフェがある。場所柄なのか、どちらも繫盛している。喫煙者は日本全体の20%のはずなんだが、中国、韓国、欧米からの海外旅行者を含めると喫煙率はあがるのかも。



1年半前に全面禁煙にしたというBar Bossaの記事を読んだ。マスターの人柄でリピータも多い店だけれど、ルール変更後やはり客足は遠のいたそうな。
バーのお客様がエンターテイメント業界であれば、どうしたって飲酒・喫煙率は高いもの。コアな客層が変わらなければ、売り上げも必然的に下がるのでしょう。。


こんなことを書いているが私も20代の時は吸っていた。つきあってたひとに持ち方がセクシーだとか褒められてはじめたくち(ちょろい)お気に入りの銘柄はダンヒルの赤。白地の箱に細い赤と金のラインが好きだった。当時海外でインターンしてたころはすぐ手に入ったけれど、日本ではまったくみかけなかった。こちらではマルボロの赤。ソフトじゃなくてボックス。喘息と帯状疱疹が悪化して禁煙したけれどたまに喜怒哀楽スパーンと抜けたときに限ってほしくなる。たぶん年に3、4回。翌日は眠気がすごいし肌荒れするし、体にはよくないんだけどね。

先日見た映画「あゝ荒野」の余韻がすごくて、そのまま舞台になった新宿ゴールデン街にいき、マルボロの赤を買った。Bar Greyのカウンターでママと映画の感想おしゃべりしながら、ちょっとだけ。3分の1箱も吸わなかったけれど家には持ち帰らず捨てた。いつだって一夜きりのおつきあい。学生の時であったプレヴェールの詩が強烈で、ずっとマッチを持ち歩いている。久々の燐の香りに包まれてもう少しで泣きそうになった。


「夜のパリ」

闇の中でひとつずつ擦る三本のマッチ
はじめのはあなたの顔をいちどに見るため
次のはあなたの眼を見るため
最後のはあなたの唇を見るため
そしてあとの暗闇はそれらすべてを想い出すため
きみを抱きしめながら

 ジャック・プレヴェール 


以上です!



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