感 揺 句。

第5話『道草を食う』

 小さい頃から早起きが苦手で、学生時代は遅刻魔だった私は、未だに朝に弱く、会社へもギリギリだ。

 大音量の目覚まし時計。それも3個。これらを毎朝、必死に止める。1個目の枕元の物は軽い目覚めを。一瞬の目覚めの後、再び眠る。3分後くらいに2個目が激しい音で、クローゼットでけたたましく騒ぐ。そして3個目はキッチンで私を呼ぶ。早く起きろと私を呼ぶ。

 3個目が鳴ると、ようやく私は布団という基地から出て活動を始める。諦めて渋々。

 キッチンの目覚まし時計を止めたら歯磨きだ。食後も磨くが、起きたらまず、歯磨きがしたいのだ。

 朝食はだいたいシリアルとコーヒー。小学生の頃、アメリカのドラマに憧れて、母にシリアルをねだって以来、朝食はシリアルだ。コーヒーメーカーはタイマーをセットしているから、起きると飲み頃になっている。

 眠い目はだんだん覚めて来るが、シリアルを食べ終わるまではまだ眠さが残っている。

 ここまでは何とかスムーズに準備できている。さて、また歯を磨くこととするか。

 歯を磨いたら、洗顔する。水だと皮膚が引き締まる感じがするから、水を使う。冬は寒いんだよなぁ...。

 出勤用の服に着替える。だいたいパンツにしているし、会社に着けば制服に着替えるから、あまり服装は気にしていない。強いて言えば、動きやすい服装を大事にしている。今日はコットンのパンツに薄目のニットを着る。少し風が冷たくなってきたからちょうどいい。

 簡単にメイクをし、スニーカーを履く。左右の色がわざと違うものだ。

 ドアを閉め、鍵をかける。出発準備OK。

 乗り込んで、さて出発。

 今日は天気も良いから、通勤日和だ。空が高く、雲もあまりない。紫外線に注意しなきゃ。

 しばらく風を感じながら走る。心地いい。

 私は、交通手段のほとんどない田舎に住んでいるから、自分で操作することは必要不可欠。私の家から近い路線バスは、1日に2本だ。今は、こうやって自分で操作できることが嬉しいし、とても楽しい。維持費はかかるが、とてもカワイイ。

 操作が難しくて、急にゆっくりになったり、思わぬ方へ進んだりするが、私がもっと技術を身に着ければいいだけの話。

 しかし、今日もゆったりペースになってしまった。また遅刻するかも。焦る。

 定刻より30分遅れて出社。申し訳なくて...。

 あ、課長‼️

 「馬での出勤は認めるけれど、遅刻はしないようにね。」


 



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