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出井信之著(2022)『人生の経営』小学館

会社も個人も「個」を生かす

出井さんが残した言葉を噛みしめるように読ませていただきました。

わたしももうすぐ定年退職時期ということもあり、本書を読むにはちょうど良い頃合いかと感じました。

特にソニーから見ると、パナソニックは偉大に見えていたことを本書で知りましたし、盛田さんや井深さん、大賀さんなど、ソニーの全盛期のころ(今でも全盛期だと思いますが…)のお名前と、出井さんの関わりなどが良くわかりました。

そして多くのサラリーマンが経験する成長と挫折(左遷)も、本書で触れられており、なんとなく分野や組織が異なっても、経験することは似ているような感じがして、とても親しみを覚えてしまいました。

さらにソニーでは、若い人たちの可能性を引き出し「個」を大切にしている企業風土のようなものも感じ取ることができ、貴重な経験を課している分だけ、きちんと人材が育っているのだと理解することができました。そして中途採用者が多い中で、各々が能力を発揮することを求められる、その要因は「個」の大切さが共有されているということなのかも知れない。

出井氏の「退職金をやめよう」「定年制度をやめよう」「一律をやめよう」という提言には賛成です。個人的には、特に退職金は日本企業から撤廃するくらいにした方が私も良いと思います。退職金は正当な賃金の後払いですので、それが無くなるだけでも、日本企業において従業員の雇用に関して流動性が高くなると思います。また若い時から将来計画を真剣に考えることにつながるのではないかとも思います。

ソニーを卒業されても若々しく、そして多くの企業や若者を支えてこられた出井氏の志は、それに想いを込めて、後世に継がれていくのだろう。

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