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石川明著(2022)『Deep Skill』ダイヤモンド社

世の中の「不」の解消のために

本書では最初に、不安や不満、不快などに共通する「不」というものを解消して、人々に喜んでもらうことが仕事の本質なのであり、その喜びに応じた対価をいただくことが仕事だと捉え定義している。その世の中の「不」を解消するために会社のヒト・モノ・カネというリソースを活用できるのが会社員としての強みであると説いている。そして、それを叶えるための深い洞察に基づいたヒューマンスキルをDeep Skillと称している。

その上で、著者の経験に基づく様々なシーンでのDeep Skillの考え方が織り込まれているが、それらは著者がリクルートという特殊性を持つ企業だからというわけではなく、わたしたちが一般的な組織でも経験するような内容に落とし込まれた章立てのもとに、わかりやすい事例やストーリーをもとに展開されていくことで、自然に著者から重要な要点を理解できる構成になっている。

上司の「梯子外し」や「頭の中の言語化」など、多くの人はそこまで考える前に諦めているのが実情かと思う。その意味では、組織の中で如何に立ち居振舞うかということに関して、もう一歩深く考察し自分の頭で考えその摂理を感じ取り、愚直に目的に進んでく、そのシンプルかつ重要な考えをスキルとして学べる本書は、特に社内で色々なプロジェクトに関わっている人には率先して読んでもらいたい書でもある。

本書でも「やり切った」上での失敗に価値を置いているけれど、例えば考えること一つでも、単に考えるだけでなく「考え抜く」ことはビジネスの上では重要で、その突き抜ける能力を持つことが社会人として、企業人として、そして一人の人間としても重要であるとわたしは思っている。その意味でも、多くのビジネスマンたちにお勧めしたい一冊である。

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