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産後女性のエクササイズ開始基準はこの2つ

昨今、産前産後の身体ケアに関するニーズが高まっており整体・整骨院などでは骨盤矯正、ボディワーク系でも妊産婦さんを対象としたサービスが増えています。

◆ 産前から運動習慣を取り入れること
◆ 産後に身体をケアすること


どちらもとても大切なのですが、妊娠出産で大きく変化した身体には負荷の強すぎるエクササイズも散見します。


エクササイズの指導を開始する前に、
対象としている方が「そのエクササイズを開始できる状態にあるか」を確認しておくことはクライアントの身体を守る上で見落とせないポイントです。


今日はその2つのポイントについて詳しくご説明します。


ボディワークで身体を壊す人は案外多い

外来に勤務されている方ならお分かりだと思いますが、ヨガなどのボディワークで身体を壊し受診される方は多いです。

特に、集団で行うボディワークは「ポーズを取らないと」「みんなと同じようにしできないと」という思いから無意識に無理をしがちです。

それゆえ、身体をケアしているはずがトラブルが起こってしまい、続かない、やめてしまうという悪循環に陥ってしまいます。


そういった方にリハビリで関わらせていただくと「そのボディワークの効果を最大限に得られる状態にない」ということがほとんど。

要するに、過負荷なんです。


ヨガであってもピラティスであっても、対集団で指導される場合には対象者が「運動に耐えられる身体であるか」を事前に確認しておくことで故障を防ぎ、運動の効果を最大限まで引き出すことができます。


産後女性のエクササイズ開始基準


1つ目は、骨盤を中間位で保持できるか

妊娠中swayback postureへの姿勢変化が多いとされており、産後も赤ちゃんの抱っこなどでSwayback postureを呈しやすいとされています。

それに加え、妊娠中〜産後は腹筋群が薄く伸ばされ腹筋群の筋力低下が起こり、腹直筋離開や会陰切開などの影響でインナーユニットの活動が低下してしまいます。

そのため、骨盤を中間位で保つ筋力すらない状態の方が多いのが産後女性。

インナーユニットを上手に使えない状態で、体幹を保つ、体幹のスタビリティをキープしながら四肢を動かすなどといったエクササイズは過負荷なのです。


骨盤を中間位に保持しながら座位を保ち食事ができる
骨盤を中間位に保持しながら足踏みができる

といった内容の問診、動作確認で体幹の筋力が最低限戻っているか確認することができます。


2つ目は、骨盤底筋群の収縮ができるか

妊娠中〜出産で骨盤底筋群はダメージを受けます。
会陰切開、会陰裂傷を経験された方はもちろん、帝王切開の方や自然分娩で会陰切開をしなかった方でも、妊娠中に胎児の重さが骨盤底にかかることで骨盤底筋群への負担はかかります。

腰痛や尿失禁を呈しクリニックに来られる女性は年齢に関わらず「骨盤底筋群の収縮感覚が分からない」状態にある方が多いです。

会陰切開・裂傷では神経の損傷が起こり収縮感覚の低下が起こります。
そうでなくても、収縮させる感覚そのものが自分では分からないという方も多いです。

そんな状態で腹筋を使うエクササイズや腹圧コントロールの必要なエクササイズ、骨盤底に負荷のかかるエクササイズ(ジャンプやトランポリンなど)を行うと尿失禁につながってしまいます。


また、「骨盤底筋エクササイズ」と称してHip Liftやスクワット、股関節内転筋群のエクササイズが紹介されているのをよく見かけますが、これらも「骨盤底筋群の収縮感覚がわかる」という最低条件をクリアしている場合のみ実施可能です。

そもそも収縮ができない状態では、これらのエクササイズは過負荷であり骨盤底筋エクササイズとは言えません。


◆ 骨盤底筋“だけ”の収縮を持続的に10秒行える
◆ 収縮⇆弛緩を繰り返し行える
(弛緩できるから収縮できるということをお忘れなく‼︎)


ができるようになってから
足を使う、全身を使うエクササイズに移行していくのがベストです。


個別対応できるのであればやっておくべき評価項目

ボディワークでも個別セッションであれば、セッション開始前にしておきたい評価項目をご紹介します。

①問診

  • 出産方法(会陰切開・裂傷の有無、帝王切開、鉗子分娩、吸引分娩)

  • 出産回数(出産回数と下部尿路障害の発症は関連あり)

  • 尿失禁や腰痛の有無

②腹直筋離開の有無

①膝を立てた仰向けになる
②肩甲骨の下角が浮くまで頭部を床から持ち上げる
③検者は片手を臍の位置で腹部正中線をまたいで垂直に当てる
④離開があると左右腹直筋の間に指が入り込む(横指測定)

左右の腹直筋間距離が

剣状突起ー臍 の中点 1.0cm
臍直上 2.7cm
臍ー恥骨結合 の中点 0.9cm

を超えると腹直筋離開と判断されます。
(臨床では指が2横指以上入るかで評価します)

③体幹の安定性評価

私の臨床ではかなりの頻度で使用しているこの評価方法。
こちらのnoteでも何度も登場していますが…

■ Active SLRテスト

下肢挙上の際の

・体幹や骨盤の動揺
・下肢の重さや努力感
・腹部の膨隆

を評価します。

これらの所見があれば
体幹の安定性が低下している原因があるということです。




私たち理学療法士は、基本マンツーマンでの施術なので集団セッションと比べその方の身体の状態に応じた運動内容を提供することができます。

しかし、ボディワークを通して健康増進すること、予防することはとても重要なことです。


そんなボディワークでかえって身体を壊してしまう方が1人でも減るように。
ボディワークを通して1人でも多くのママが笑顔になれるように。


運動を指導される方はぜひ取り入れてみてください。



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ではまた来週お会いしましょう♡ʾʾ
ライター:徳嶋美希


理学療法士。整形外科クリニックで産前産後のママのリハビリをしています!体は硬いし運動は苦手な私だからこそ「本当に必要な運動を必要なだけ」お届けしていきます。「すべての女性が産後のからだケアを受けられる世の中に」をスローガンに掲げ正しい情報でママの体を守るために活動しています。YouTube10万回再生超。妊娠出産で変化した体を守り正しく整える方法をお伝えします!





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