臨床で腰痛のママを担当することになったらあなたはどうする?
皆さんは妊娠中・産後の女性のリハビリを担当したことはありますか?
または身内や友人が出産し、自分も何か力になってあげたい!と感じたことはありませんか?
私が勤務している整形外科クリニックには、
多くの妊産婦さんが来院されます。
そのためリハビリを担当する機会も多々あります。
今日はそんな経験をもとに
「ママの体の変化から考える腰痛」
についてお話しします。
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(参考)現代の妊婦のマイナートラブルの種類、発症率及び発症頻度に関する実態調査
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjam/23/1/23_1_48/_pdf
これを見ると、
8割以上の方が妊婦さんが腰痛を抱えています。
妊産婦さんの腰痛が起こる主な原因は、妊娠出産での体の変化。
この体の変化を知っておくことは臨床上とても大切になります。
では、解説していきます!
妊娠中に体にどんな変化が起きている?
妊娠中ってめちゃくちゃ体が変化します。
ほぼ全身変わるんじゃないかってくらい。
ざっと挙げるとこんな感じです。
などなど循環器の部分も含めるとここに書ききれないほどあります。
ここから腰痛に関わる項目だけをまとめて解釈していきます!
妊産婦さんが腰痛になりやすいのはなぜ?
今までお話しした内容から、
腰痛になる原因をPTっぽく考えていきます!
これに加えて、出産時には
以上のことを一言でまとめると
妊娠出産を経験した体は、体幹を保つのに必要なインナーユニットが上手く機能し難い状態になる。
腰痛が起こる原因の多くはこれです。
ママの腰痛を評価する
これらを頭に入れた状態でママの体を見ていきます。
評価の内容は
①インナーユニットの機能評価
②いわゆる腰痛の評価
③妊娠出産の経過をヒアリング
④結果を統合して腰痛の原因考える
ざっくりいうとこんな感じです。
① インナーユニットの機能評価
いろいろな方法があるとは思いますが、わたしが臨床でよく使うのはこれ。
Active SLRテスト:下肢挙上の際の体幹動揺や内省を評価します。
圧迫することで各筋の働きを補助し、どこの機能低下が原因で不安定性が起きているかを評価します。
② いわゆる腰痛の評価
診断名から必要と考える検査測定を行います。
それに加えて、産後の女性には仙腸関節障害の可能性を考えて評価を行います。
妊娠出産時に仙腸関節周囲の結合組織が弛緩し、仙腸関節の動きが起こるからです。
わたしが普段行っている検査はこれ。
この4つのうち2つが陽性であれば仙腸関節障害がある可能性が高いと判断します。
③ 妊娠出産の経過をヒアリング
このヒアリングも大事です。
「3人目の出産だったけど、赤ちゃんが骨盤にハマって陣痛が長引いたから緊急帝王切開になったの〜。」って方はインナーユニットへのダメージがさらに大きそうだなと推測できるので!
ヒアリングする内容はこんな感じ!
最後に
④ 結果を統合して腰痛の原因を考える
をして、アプローチに移っていきます。
運動療法に関しては、産後のママの場合「手首の腱鞘炎」を患っている場合があるので、四つ這いなどで手のひらに荷重する時は配慮しましょう!
育児動作が疼痛の原因となっていることも多いので実際の育児動作を観察することも大切なポイントです。
まとめ
・妊娠、出産を経験するとインナーユニットが機能しにくくなる
・妊娠、出産の経過によってはさらにインナーユニットへのダメージが加わる
・ヒアリングと客観的評価が大事
参考文献
理学療法Vol,34 No,12 2017
病気がみえる 産科
PTジャーナル 第47巻 第10回
ウィメンズヘルスリハビリテーション
井原成男:妊婦の腰痛,産科と婦人科 1992,59
Teasdale,1988
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ライター:徳嶋美希
わたしについてさらに詳しく知りたい方は
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1人でも多く、痛みを抱えるママを救えますように。
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