栃木リンチ殺人事件

1999年12月4日に栃木県で発覚した事件。
無抵抗な一人の被害少年に対し、複数の少年らが67日間連れまわし、拉致・監禁・暴行・恐喝・殺人・死体遺棄をした凶悪かつ凄惨な事件である。
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事件発覚後、暴走族の仲間割れの事件と報道されたが、被害者は寮に住みながら日産自動車で働くまじめな少年だった。
被害者の両親から9回もの捜索依頼を受けながらも、拒絶し続けた栃木県警の不手際も問題となった。
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なぜ少年が被害者になってしまったのか…
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早い段階で異変を感じた被害者両親が警察に訴えたにも関わらず、なぶり殺されてしまったのはなぜなのか…。

被害者    須藤正和さん（当時19歳）
主犯格 　萩原克彦📷中央（当時19歳）
加害者　 梅沢昭博📷左（当時19歳）
加害者　 村上博紀📷右（当時19歳）
加害者　 高橋（当時16歳）
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主犯格少年の荻原克彦について語る際、荻原の父親について言及する必要がある。
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父親である荻原考昭は県警捜査一課の外国人犯罪対策室を経て、栃木県氏家警察の交通課に勤務する警察官であった。
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息子の克彦は幼い頃から素行が悪く、通信制の高校を退学後は暴走族に入り、恐喝や傷害事件を度々起こす。
その度に警察官である父親が被害額を弁済し、示談になるよう取り計らっていた。
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そのため今回の事件は息子の犯行が荒立つ事を恐れ対応せず、母親に関しては息子の犯行を全く信じなかった。

出会い

主犯格の萩原克彦は自分にやくざの知り合いがいると脅し、後に共犯となる梅沢昭博と村上博紀から金を巻き上げていた。
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金のなくなった二人は萩原に対して、「もう勘弁してください」と泣きつき、萩原は「金ズルを探してこい」と身代わりを立てる事で見逃す事を認める。
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その身代わりになってしまったのが、梅沢と同じ職場で働く須藤正和さんだった。

正和さんと梅沢は日産自動車栃木工場の同期で、ロッカーが近いというだけの関係だった。

梅沢は正和さんを職場近くのコンビニに呼び出し、萩原を紹介する。
「暴力団の車と衝突事故を起こし、修理代を要求されているから貸してほしい」との嘘で、7万円を口座から引き出させた。
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この日から3人は、正和さんをホテル等に監禁するようになり、無人の消費者金融から数十万単位で借りさせ、巻き上げた金は自分たちの遊興費にあてた。
借入限度額を超えると今度は、知人や同僚から借金させるようになった。
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正和さんから巻き上げた金は総額728万円に及ぶという。

熱湯コマーシャル

無欠勤だった正和さんは少年達に連れまわされ仕事を休みがちになり、やがて日常的な監禁と暴力により全く出社する事ができなくなる。
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更には正和さんの家族への脅迫もされており、心身ともに衰弱し助けを求める事も困難となった。
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そしてある日を境に、殴る蹴るの暴行にとどまらず凄惨なリンチを受けることになる。
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きっかけは宇都宮市内のスナックで、梅沢からストレートの焼酎の一気飲みを強制された。その後、ホテルで酔いつぶれた正和さんは失禁してしまう。
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梅沢が浴室に連れていき最高温度のシャワーを浴びせた。あまりの熱さに目を覚ましてのたうち回る正和さんの姿に3人は面白がった。
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この日から、テレビ番組のコーナーから名前をとった「熱湯コマーシャル」という名の壮絶なリンチが始まる。

凄惨なリンチ

3人は正和さんを連れてホテルなどの宿泊施設を転々とし、最高温度のシャワーをかける「熱湯コマーシャル」を連日行うようになる。
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次第に熱湯シャワーより温度の高い湯沸し器の熱湯を、何杯も浴びせかけるというリンチにエスカレートしていく。
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無理やり大量のピザを食べさせたり、焼けただれた正和さんの頭や背中を靴べらで殴り、その靴べらが折れるまで殴打し、正和さんが泣き叫びもがき苦しむ姿を見て笑った。
時には殺虫スプレーにライターで火をつけ浴びせかけ、抵抗すると殴る蹴るのリンチを加え散々にいたぶった。
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その間、萩原が六本木で知り合った当時16歳の都内高校に通う高橋も犯人グループの一員として加わる。
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正和さんの人間としての尊厳をも蹂躙する、信じがたいリンチが行われたのは、梅沢の熱湯コマーシャルが終わった直後の事だった。
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熱湯を浴びせられ背中から湯気が立ち昇る正和さんの前に、コップを持った村上が立っていた。
中身はオレンジジュースだったが、一目で白いドロドロした精液が混じっているのがわかった。村上が命令した。「俺の精子が飲めないのかよ…」
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リンチはこの瞬間に一線を越える。
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正和さんが精液の入ったオレンジジュースを飲んだ後、萩原は梅沢と高橋に「お前らもオナニーしろ。3分で出せなかったら正和にフェラチオさせる。それでも出せなかったら罰金10万だ。」と命じ、射精できなかった高橋が被害者にフェラチオさせ、その写真を撮るという異常な事態に発展した。
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一方、梅沢はコップの中に射精していたが、そこに小便をして正和さんに「一気に飲め」と突き付けた。それが終わると再び被害者を浴室へ連れていき、羽交い絞めにし胸から下腹部にかけて熱湯シャワーを浴びせた。
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被害者の皮膚は剥がれ落ち、膿が滴り落ちる状態であった。
死体を検視した段階では皮膚の8割が火傷を負い、肌は焼けただれ顔は腫れあがっていたという。