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ミツバチのささやき

あらすじ
1946年頃のスペイン、カスティーリャ地方
姉イザベルと共に村の巡回上映の映画フランケンシュタインを観た6歳の少女アナは、イザベルにフランケンシュタインと出会う事が出来ると村の外れの空き家に案内される 学校終わりにひとりでそこに通うようになるアナ
ある日アナは空き家に身を潜める脱走兵の男と出会い、家族に見つからないように食料や衣服を届けるようになるが…

(物語の重要な箇所に触れています)

幼少期が遠いものとなった我々大人がこの映画を観る時に、アナの父フェルナンド、母テレサ、そして子供達であるイザベル、そしてアナと、様々な視点を通してこの映画を観る事になります
スペイン内戦後の傷跡を感じさせるテレサの言動や寡黙で孤独な父フェルナンドの姿 そして子供らしい残酷さの象徴でもあるようなイザベルと純粋さの権化のようなアナ それぞれを通して自分自身の歩んできた人生の風景をありありと思い出すのです

この映画の素晴らしさは多くの人が語っており重複してしまいますが、アナを演じていたアナトレントが撮影当時映画と現実の区別がついていなかった、と後年語っているように、それによってもたらされた驚くほど自然なアナの姿がやはり大きいと思います
それこそがこの映画を観た人が自分自身が失ってしまったと思っていたものの一部が、自分自身の中に残っていた事を感じる事が出来る全ての答えだと思います

昨今で言うところのイマジナリーフレンド、という言葉の遥か遥か先にアナの瞳は真っ直ぐに向けられており、その瞳は鏡のように幼かった頃の我々をもしっかり映し出してくれるのです

名作です


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