未完成な6人の男たち

2021年11月1日、26年間第一線を走り続けてきたアイドルグループが「完結」を迎える。

V6が本日をもって解散する。
あの日、発表を聴いてから今日という日が来るのを覚悟していた。
発表当時、233日もあった時間は、今やもう1週間もない。
雑誌で今までのインタビュー記事が再掲されたり、特番を組まれたり、出演する番組には「最後の」と冠言葉が付くようになった頃、いよいよかと来たるその日にさみしさと覚悟を募らせた。
実は、あれからV6の曲をほとんど聴いていない。聴けなかった。
明日からそれぞれ別の道を分かつことになる。

各種番組を見て、感じたのは「「V6」は最後まで「V6」だった」こと。
ファン以外の方でもたくさんの人が最後の出演を見届けてくれた。
こんな輝かしい存在感を放ち、一般の方を含め、たくさんの人が愛してくれた彼らを失ってしまうんだと気付いてしまったこと。
惜しいなんてものじゃない。
私達にとって彼らは、唯一無二で最高のアイドルグループだと、胸を張って誇りを持って言える立派な6人だと断言出来る。

26年、彼らの人生の半分以上はこのグループで活動していたことになる。
最初は、大人と子供のぶつかり合いだったが、次第に肩を組み、足並み揃えて誰1人欠けることなく歩き続けてきた。
さらに言えば、それぞれ料理番組や司会業、手話や舞台・ミュージカルや映画等様々な番組に引っ張りだこな地位を築いてきた。
「V6」を1軒の「家」に例えると、26年と住み慣れた家から名残惜しく「引っ越し」をする感覚だ。
この記事を書いている現時点では、その準備も大詰めに入っている頃だろう。

彼らは、長い活動の中で何を得たのだろう。
V6に出会って、興味を持ったり好きになった人達や物がたくさんある。
料理もしてみたいし、最近では大好きな女優さん俳優さんの舞台も見るようになった。

もっと早く戻ってこれれば、6人の姿を生で見れたのだろうと思うと、辺鄙な田舎に住んでいる自分と未曾有のウイルスを呪いたくなる。
新規入会受付終了間際にFCに入れたし、20th Centuryと三宅さん、岡田さんのFCにも入会手続を終えたものの、彼女と一緒に生で見てみたかった。
それだけが心残りだ。

「1番綺麗な形で大切な箱にしまいたい」。
発表直後のラジオで三宅さんが発した言葉だ。
はじまりと終わりは必ずセットで存在する。ずっとV6が続くとは限らないとは分かっていたけど、いざ突き付けられるとさみしくなる。
その言葉通り、「未完成で」終えようとしている。
それでも、1つの門出を迎える今日を「6人で」迎えられて良かった。
そして、笑顔ではなく泣き顔であっても次なる「STEP」へ進む彼らを送り出せるファンの1人になれて良かった。

明日からもう「6人」揃った姿は見られない。
次なる目標と決意を宿した目には、歩きはじめる道が見えているのだろう。
しかし、未完成な彼らに今日までいとおしさを感じ、愛し続けた事実は変わらない。むしろこれからも続いていく。
彼らそれぞれの未来にしあわせと光があることを願うように、私達も人生という平坦ではない長い道に足跡を刻み続けなければいけない。
彼らにまた、生で出会うために。

拝啓 親愛なるV6の皆様へ
26年間おつかれさまでした。
明日から別々の道を歩むことになるけど、26年という長い時間で築いた絆、刻んできた時間も浮かべた表情も世に送り出した名曲達も格好良いダンスもそれぞれの個性があふれた声も言葉もずっと見守ってきました。
そしてその事実はこれからも変わらないし、「忘れられない」存在です。
さよならじゃないけど、皆様にとっては1つの区切りなので言わせて下さい。
出会えて良かった。これからも大好きです。愛しています。
本日の正真正銘最後のlive、必ず最後まで見届けます。