まだ青春を諦めないひと

長谷川愛。26歳。人間。

彼女は青春の世界観が好きだ。特に、制汗剤のCMがお気に入りらしい。

彼女は、パンを咥えて走り、曲がり角で運命の人に出会う夢がある。青春の教科書1ページ目のそれだ。

そんな彼女と現実主義の友人と私でランチにいった。新しい青春ドラマを見つけて、舞い上がっている、青春夢中彼女。
そこで、現実主義の友人が青春夢中彼女に、「もう、学生ちゃうで、愛が誰かとぶつかって、会社で再会なんてない」と言いだした。

現実主義の友人は続けて、「ほんで、たまたま同じ部署になることもない」、「なんで、お前と残業しなあかんねんと言われることもない」と畳み掛ける。ズキュン。

しかし、青春夢中彼女は強い。青春夢中彼女は「え、ばりばり、社会人版にしてくれてるやん。そんなん、すぐ思い付く?もう、楽になんな~」と返した。ズキュン。

現実主義の友人は黙った、顔が赤くなった。ほんのちょっと。ズキュン。

これは面白くなる予感がした。私は、一言一句覚えて、会社の同期に話そうと思い、カフェでエナジードリンクを頼んだ。

彼女は青春を諦めない。



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