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「小さな声をカタチに。誰も排除しないまちを目指して」【福井県・鯖江市】西野ゆかさんに政治に挑戦する思いを聞いてみた!

『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー#29

「なぜ政治に挑戦しようと思ったの?」「どんな議員を目指しているの?」
福井県鯖江市西野ゆかさんに気になることをインタビューしました。

西野さんポートレート

政治に関心を持ったきっかけは?

 まちづくりに目が向いたのは母親になってからです。子どもが生まれて子育てに悩むようになり、鯖江市が主催する子育てサポーターの養成講座に参加したことが最初の市民活動でした。それ以降いろいろな活動に参加するようになり、そのなかで自分たちにできることがある一方で、まちにしかできないこともあるということを実感しました。
 例えば私は、地域の親たちから「未就学児と就学児が一緒に遊べる場がない」「雨や雪の日が多い北陸で子どもたちの遊び場がほしい」といった声を聞くようになり、みんなが気軽に遊びに来られるおもちゃの図書館プティを起業し、たくさんの親子に利用していただいているのですが、個人でやっている小さなスペースや予算では限界があると感じました。また、有志の市民で、鯖江市の「子どもの権利条例」を制定しようと動いているんですけど、叩き台までは作れても、議論や制定となると、議会や行政でないとできないんですよね。
 そのほか、女性活躍の事業に関わったことも、政治に関心を持つきっかけになりました。鯖江市は女性活躍を推進していて、私の所属する団体主催で「全国OCサミットin鯖江」という女性の情報交換イベントを開催したんです。

2016年から4回に渡って開催された全国OCサミットin鯖江。
2020年の最終回、西野さんが実行委員長を務めた際の集合写真。

 そこで、「女性のリーダーを増やそう!」「政策決定の場に女性を送り出そう!」という宣言をしたのですが、「じゃあ、女性議員やリーダーを増やすにはどうしたら良いんだろう?」と考えた時、主催者側にも分からない世界だったので、女性議員を養成して支援するパリテアカデミーに参加することに決めたのが2019年でした。

立候補を考えるようになったきっかけは?

 最初は、私自身「女性リーダーを増やそう」「どんなふうに応援したら良いかな」といったスタンスでパリテアカデミーに参加していました。でも、実際に勉強しても、市議が議会以外で何をしてるのか、立候補にどんなプロセスがあるのか、分からないことが多かったんです。自分が分からない世界に、「誰か行きなよ」「応援するから行ってきて」とは言えないと思って、まずは自分が政治の世界に入ってみることにしたんです。
 以前から私は、保育園を知るために保育補助として働いたり、学校教育を知るために教育委員会に入ったり、その場所に身を置いて現場を体感するやり方で生きてきました。どんな苦労や喜びがあって、どんなふうに進めていくのか、自分が実際に体験して、次の世代にバトンタッチしていきたいと思ったんです。

 もうひとつのきっかけは、「声をあげることで世の中を変えられる」という実感を得てきたことです。私の子どもは一人遊びが好きなタイプだったので、ほかのママたちに声をかけられなかったんです。でも、勇気を出して「みんなでイベントをやってみたら楽しそうだよね」とママたちのコミュニティに声をかけて、親子で楽しめるイベントを企画するようになりました。焼き芋会、流しソーメン会、ハロウィンのトリックオアトリート大作戦などのイベントを企画していたら、参加したいという声や、地域のお店や施設、交番や110番の家、各種団体の皆さんが協力してくれるという声も集まってきました。こうしてまちの方が共感してくれたり、協力してくれたりして新しいイベントが開催できたことが、とても嬉しかったです。

ハロウィン・トリックオアトリート大作戦。
子どもたちが集まっている様子。

 また、公園の遊具が壊れていて私の子どもが怪我をしたことがありました。SNSで注意喚起をしたところ、子育て家族にシェアしてもらえただけではなく、行政にも声が届き、後に遊具を修繕してもらえたことがありました。実は、それまで私は受け身のタイプだったのですが、こうしたことが成功体験となり、自分から地域政策に入っていこうと思うようになっていったんです。

政治活動をするなかで困難なことは?

 最初に悩んだのは、家族の理解を得ることでした。私には中学3年生と小学5年生の子どもがいます。今までは、仕事をしながらも家事は基本的に私が担当していました。でも、いざ活動が本格的に始まると今より忙しくなり、買い物に行ったり、夕ごはんを作ったりするのが難しくなってしまいます。親子で過ごす時間も減ってしまうので、葛藤がありましたね。
 また、資金面も悩みどころでした。鯖江市は古いやり方の選挙活動が主流で、供託金の30万円に加えてさらに200〜300万円かかると言われています。これから子育てでお金が必要になる我が家にとっては、大きな金額です。夫とは喧嘩しながらも話し合い、活動期間中の家事は夫に協力して行ってもらい、食事はすべて夫が作ってくれることになりました。子どもたちとの時間もちゃんと確保したいと思っています。今後の活動も、工夫しながら新しいやり方を模索していきたいです。
 政治に挑戦することが、私だけでなく家族にとって納得できるものにしていきたいと思っています。

実現したいことは?

 子どもが安心して育つまちづくりです。子どもに優しいまちはすべての人に優しいまちだと考えているので、これを軸に活動していきたいです。今までいろいろなコミュニティに関わってきましたが、こういった繋がりは災害時にも必ず役立つと思っているので、コミュニティを育てやすいまちにもしていきたいですね。

焼き芋会での集合写真。
地域コミュニティの大切さを感じながら暮らしてきた。

 また、子どもがいると働きたくても条件に合った仕事がないという話も聞いているので、いろんな働き方を選択できる政策も行っていきたいです。語り始めたらキリがないのですが、今掲げている政策はすべて、私が今まで携わってきた市民活動の中で拾いあげてきたみなさんの声から生まれています。表面的な言葉を並べた政策ではないということをお伝えしたいです!
 子どもたちを取り巻く環境整備も、コミュニティ活動も、働き方も、誰も排除しないまちにしたい。遠く感じる政治の世界ですが、みんなに分かりやすく、インクルーシブにというところがどの政策にも共通しているのかなと思います。いろいろな方の後押しをしていきたいですね。

西野さんだからこその強みは?

 私は本当に「そこらへんにいる人」なんですよね(笑)
 市民のみなさんと距離が近いことや、いろいろな声を聴いて形にすることができるのが強みです。まちのママたちと関わるようになり、そこで聞いた悩みを解決するために始めたおもちゃの図書館には、昨年は延べ3,600人の親子が来てくれました。親たちには「安心できる場所だ」と言ってもらえていますし、「ただいま~」と言って入ってくるお子さんもいて、みんなに必要としてもらえてすごく嬉しいですね。一方、ほかの市民活動では、自分の親世代の方と活動していますし、子育て世代から高齢者の世代まで幅広い人たちと関係を築いてきたことは、強みだと思ってます。

これからの活動、どんな活動にしていきたい?

 鯖江市は選挙にアツくなる市民性なのですが、地区対抗の陣取り合戦のようになる傾向があるんです。でも、若い世代に興味をもってもらうためには、陣取り合戦というよりは、いかに選挙が楽しいものかを伝えることが大事だなって思っていて。お祭りのように盛り上げていきたいんです。昔からの選挙のやり方をされてる方々を否定したくはないので、これからのやり方と今までの当たり前のやり方を重ね合わせて選挙のあり方を変えていきたいです。
 私のサポーターには若いママさんもいたり、おじいちゃんおばあちゃんもいたりするのですが、みんなでうまくやり取りができたらいいなって。活動の負担を少なく、いらない当たり前はなくして、「選挙に楽しく関わりたいな」と思っている方々と進んでいけたらいいなと思います。

最後に伝えたいことはありますか?

 政治活動は市民活動の延長であるということを大事にしたいです。今までは、政治が特別な世界のように思われていたと思いますが、そうではなくて、政治家もただのひとりの市民だよ、全然みんなと変わらない存在なんだよってことを伝えていきたいです。そうすることで、次の世代にも選択肢を増やしていきたいと思っていますね。

インタビューを終えて
「女性リーダーを増やすために、まずは自分が政治の世界に入りたい」という西野さんの言葉が印象的でした。他人まかせにせずに、行動しつづける西野さんの姿は、町の人々の共感を生み、町を変えていくエネルギーになるのではないかと思いました。(やまくぼ)
実際に現場で経験して知っていくという姿勢だからこそ、西野さんには様々な現場の声や期待が届くのだなと、お話を聴きながら思いました。きっとその声を政治に届けてくれそうだなと、とても希望を感じるお話でした。応援しています!(あおい)
取材・執筆:やまくぼ&あおい
取材日:2023年5月26日

西野ゆか(基本情報)
1983年生まれ(39歳)/福井県鯖江市出身
住みたいまちづくりを考える会「SABA LABO」代表
おもちゃの図書館&雑貨カフェ プティを運営
社会教育士や防災士としても活躍
パリテアカデミーに2期生として参加し、女性リーダー輩出のために活動

西野さんについてもっと知るには?✨
・Lit. link:SABA LABO 西野ゆか
公式WEBサイト
・Twitter:@nishino_yuka124
・Instagram:nishino_yuka124
・facebook:西野ゆか

『推しを見つけて応援しよう!』FIFTYS PROJECTインタビュー#29、いかがでしたか?生活の中で様々な人々と関わりながら活動をされてきた西野さんの、まちへの想いが伝わったでしょうか?
ぜひ西野さんの発信も覗いてみてくださいね〜👀✨

FIFTYS PROJECTとは?
私たちは政治分野のジェンダー不平等の解消を目指し、20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方に対して2023年4月統一地方選をはじめとした地方議会議員選挙への立候補を呼びかけ、一緒に支援するムーブメントをつくろうと活動しています。

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