スーちゃんに思う

朝ドラの再放送で「ちゅらさん」が始まりました。
久しぶりにみるドラマに主人公のお母さん役で出演していた田中好子さん
改めて見て、お母さん役になっても可愛くて、自然で、魅力あふれる人でした。
彼女がその55歳の生涯を閉じたのは、東日本大震災の起こった1ヶ月と10日後
そして告別式で流された彼女のメッセージは心に突き刺さるようだったのを思い出します。

あの日感じたことを書いた文章をここに、、、

スーちゃんの告別式の報道に釘付けになってしまいました。
なぜなのか、、まず訃報を聞いた時点で、普段ニュースで耳にする芸能人の訃報とは違うショックがありました。
それはもちろん同世代でキャンディーズ全盛期が私自身の青春の思い出だったことはありますが、中でも私はスーちゃんが好きで、男でもないのに彼女の姿につい見とれてしまうことがありました。
中学の後輩が
「キャンディーズのファイナルコンサートで一番最初にバックネットによじ登ってきました~」
と熱く語っていたのを思い出します

日本中を熱狂させるほどのアイドルグループが
「普通の女の子に戻りたい」
という名言を残して去って行き、また数年後彼女が女優として再びテレビ画面に登場した時も、同じように少し成長した自分とパラレルな存在として、以後彼女の美しい年のとり方にあこがれ、励まされいつしかテレビの中の友達のような意識を持っていたのかもしれません。

告別式で流された彼女の最後のメッセージ
その声のはかなさ、スピードからは、消えてゆく灯火を思わせ、それでもなおかつ美しく、心から発信される一つ一つの言葉が切々と胸を打ちました。
数々のテレビ番組でメッセージにこめられた震災被害者の方への気持ちに、心を打たれたというコメントがありました。私も同様に感動しましたが、何よりも、震災で誰にも何も言葉を伝えられず、自分の死を予測することもなく無念に亡くなられた方たちのことを思うと、死期を感じ始めた彼女が言葉を残せるうちに残そうと考えたのではないかと思うのです。もっと演じ続けたかったという正直な無念の思い、大好きな人たちへの感謝の言葉、今生きている人間として同じように感じる被災者への思い、最後に声を振り絞って呼びかけたご主人への言葉。
そのすべてが死にゆく人のお手本のようにも感じられました。
彼女は女優であったけれど、「普通の女の子」に戻ったことを裏切ることなく、いつも普通の人の目線で演じていたし、普通の生活の中にある喜びや悲しみを彼女が表現してくれたからこそ、その出演作品は共感されました。
そしてさらには、そのスタンスを55歳まで貫き通したからこそ、病床にあっても、実際に被災地へ言って「がんばれ、がんばれ」と言うばかりの有名人でも成し得なかった、心の支援を届かせることができたのだと思います。

巨大な電力会社も国家でさえ動かせない日本人の心に、たった一人の普通の女性が遺してくれた最後のメッセージは、私たちに生きることの真実を教えてくれたと思います
彼女の笑顔を私もずっと心に刻んで、いつか自分の死が訪れる日に向かって懸命に生きなければと思いました。

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