見出し画像

2024開幕3連戦 F短評

 金村のリリーフ転向についての記事の後編を書く筆が進まないうちに今季も開幕してしまったので、4年ぶりの開幕カード勝ち越しとなった開幕3連戦をデータとともに振り返りたい。

1 高速化

 まず、チームとしての大きな変化を感じたのは、リリーフ投手の球速アップだ。

 過去2シーズンの開幕カードでのリリーフ投手のストレートの平均球速が145キロ台だったところから、今季は150キロ台まで大きくアップ。

 選手別で見ても、河野を除く6投手の最高球速が150キロ以上を記録。7人のうち平均球速が最も遅い北浦の平均球速でも、過去2年の開幕カードのチーム全体のリリーフ平均球速は上回っている。もう一人のベンチ入りのリリーバーである生田目も常時150キロ近いツーシームを投げ込むことを考えると、バファローズやホークスに3年ほど前から来ていた速球の高速化の波がファイターズにもようやく到来したと言っていいだろう(これに加えて、二軍では福島、達、柳川の3選手を筆頭に150キロを超えるストレートを投げる若手投手が着実に成長中。)。

 田中正義、金村、マーフィー、河野、山本、杉浦の6人の間であれば、現状1イニングを任した際のパフォーマンス(失点のリスク)にそこまで大きな差を感じないため、僅差の試合が続く際には、勝ちパターンのリリーバーの負担の軽減のために選手名に囚われない柔軟な起用に期待したい。

2 台頭

 この三連戦、スタメン出場した捕手、二塁手、遊撃手の成績は以下のとおり。

 彼らは7-9番で出場したわけだが、彼らの活躍がなければ1勝もできなかったと言っても過言ではない。
 捕手、二塁手、遊撃手の3ポジションは一般的にも守備の負担が大きいとされており、データとしてもポジション別の打撃成績がそれ以外のポジションに比べて低い。ファイターズも5年以上もの間貧打に苦しんでいたポジションだ。
 その分伸びしろも大きく、他のチームに対する強みになりうるのも事実。彼らは一軍で通年活躍した経験はないため、捕手は伏見、アリエルを含めた3選手で、二遊間は上川畑、石井を含めた5選手で上手くパフォーマンスを維持できるよう管理してあげてほしい。

3 J

 この3連戦スタメン出場しながらヒットが出なかった選手は、アリエル、野村、郡司の3選手だが、アリエルは佐々木朗希との対戦を見る限り今季も安定したアプローチを続けられており、エスコンで早いうちに一本出るはずだ。郡司も朗希に対して結果は出せなかったが、フェンス目前という大飛球もあった。
 問題は、野村だ。

 まずは、このデータを見てほしい。

 これは昨季の野村の打球方向別の長打の本数だ。
 ハードヒットできる方向はセンターから引っ張り方向であり、反対方向の長打は少ない。

 この3連戦の打球は、低めのボール球を当てに行っての併殺打2本と、真ん中付近のボールを打ってのセンターからライト方向へのフライ3本の計5本。
 特に気になったのは、2戦目の7回、西村との対戦。カウント3-1と有利なカウントからど真ん中のストレートを打って平凡なライトフライ。
 野村本人がホームランにこだわるか否かは関係ない。強い打球が飛ぶのが引っ張り方向であり、ホームランが出やすいもちろん、インプレーの打球であっても強い打球を打つことが運の要素を小さくし、安打になる確率を上げる一番の方法であることは事実だ。
 そんな中で、カウント有利の中、ストレートに振り遅れたような形で平凡なライトフライに終わってしまうのは寂しすぎる。
 ケースや相手投手によって変わることを承知の上だが、極端なことをいうと、カウント有利で変化球が来ることを考える必要があるは、カウント有利で来たストレートを数えきれないほど痛打してきた一流の打者か、下位打線で制限をかけられている打者だけでいい。

 現状の野村は相手バッテリーからカウント不利でストレートを投げられないというところまで恐れられていない。本来はもっともっとスケールの大きな打者だったはずだ。

 清宮が戦線に復帰するまでが一つの区切りであり、そこまでが勝負。
 エスコンでの5連戦、バウンスバックに期待したい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?