2022年、格闘技史に語り継がれる伝説の1戦を演じてくれた2人英雄。

1人は、伝説の1戦の勝利で無敗神話を確立し、次なるステージ〝ボクシング〟で新たな神話を作りに動き出した。
このことについては下記URLの記事を見て欲しい。

さて、今回の記事ではもう1人の英雄〝武尊〟の復帰戦についてだ。

世間の声を誹謗中傷から賛辞へ

「天心から逃げている」
いくら世界の強豪を倒そうが、K-1で複数階級を制覇しようが付き纏うこのフレーズ。

裏で何が行われどんな話し合いがされているかなど、全く知る由もない世間の声は簡単に天心の名前を出し批判や誹謗中傷をする日々が続いていた訳だが、武尊本人が天心の存在を示唆する発言を徐々にし始めて、天心の前に姿を見せ、対戦が発表され、試合を行い、この武尊天心物語が完結した今では武尊には賞賛と賛辞しか贈られぬ英雄となっている。

〝団体間の壁を壊した〟
〝格闘技で稼ぎ出すことの夢を与えた〟

今回の復帰に伴う破格のPPV専属契約も然り、武尊が今の格闘技界に残してきたこととして様々なことがあるわけだが、私は格闘技だけに限ったことではない最も大事なことを武尊は残してくれたと思っている。

それは誹謗中傷を無くす。誹謗中傷がない世界がどれだけ明るいか。

数年前までは誹謗中傷が溢れていた武尊の周り。自らの有言実行でその声を無くし、現在では武尊を応援し見ている格闘技ファンは、今回の復帰戦の発表は勿論のこと、武尊の動向などを素直に応援できる。当時アンチであった人間もファンとなっているなどもあるだろう。

誹謗中傷がないだけで、明るくポジティブな世界が築かれることを示した事が武尊が残した最も大きく意味のある世間への功績だと私は思う。

天心戦で考えさせられた進退　現役続行の決断で武尊がやるべき事とは

武尊がモチベーションを保ってこれた最大の原動力であった天心戦を終え、引退の文字も見えていたであろう武尊。
その武尊の復帰戦が発表され、現役続行でまだ格闘家武尊の姿が見れることにファンとしては嬉しいの一言だ。

そんな武尊がこれ以上無いほどの大勝負を終えてもなお、現役続行に踏み切った理由とは。
武尊が口にしていることは大きく2つ。

• 応援してくれている人たちに負けた姿を見せて終わるのは違う。勝った姿を見せたい。
• 日本人格闘家たちと一緒に世界と戦いたい。

2つとも武尊らしい試合をすることへのモチベーションだなと。

是非とも世界を驚かせるようなパフォーマンスをしてきて欲しい。
そして武尊自身のために勝って欲しい。

復帰戦はいきなりのISKA世界タイトル戦

どんな舞台で、どのような相手と。
復帰戦をやるにしてもあそこまで偉大になってしまうとそれを組むことすら難しいのかもしれないが、決定したのはISKAタイトル戦。
コロナウイルスが原因で流れてしまったタイトル戦ということで、武尊にとっても全く興味のないタイトルでは無いはずで丁度良いところをついてきたなと。

そして相手はベイリー•サグデンというイギリスの選手。
武尊が返上したK-1スーパーフェザー級王座を争ったトーナメントに参戦予定だった選手で、当トーナメント参戦外国人選手の中では最も危険な選手と評価されていた選手。

来日が困難になり未だその実力は我々日本のファンにとっては未知数なだけに少し不気味だが、相手云々よりも〝武尊の試合〟であることに変わりはない。

復帰戦を勝ったその先に　ファン待望のあの試合実現へ

前の項目でどんな舞台で、どんな相手とという表現をしたが、この表現で全格闘技ファンが武尊に求めてみたいものとはズバリ、〝ONE Championship でロッタンと〟だろう。

那須川と死闘を演じ、ロッタンが勝ったのではという声もある選手。那須川に敗戦後はONEに移籍し、DJとのMIXルールでの試合を除けばONE無敗という圧倒的に強いタイ人。

タイ人といえばテクニックで翻弄し、首相撲で相手を削り、勝っていると思えば最終ラウンドは流し運転で判定勝ち。
KOや派手な試合をみたいとする多くの日本のファンはタイ人のそのスタイルを好まない方もいるかもしれないが、ロッタンは違う。日本のファンが大好物な試合をしてくれる選手で、だからこそ武尊との噛み合わせを見たいと思う訳だ。

両者共に対戦相手を探すのにも一苦労というレベルの選手。試合を組むプロモーターからしてもだが、本人同士も戦いたくてしょうがないと対戦を熱望しているだけに、武尊が勝てば試合決定はストレートに決まる気がするわけで、ファンとして今からウズウズワクワクしているのだ。

ONEへの通行手形としてISKAタイトルを今回サクッと獲り、ロッタン戦へと繋げてほしい。

復帰戦と共に発表された破格契約　格闘家の夢を体現

復帰戦の発表と共に、武尊とAbemaTVの契約が発表された。

〝Abemaとの専属PPV契約。武尊が1試合することに対してAbemaTVから1億円〟

それに加えて団体から出る純粋なファイトマネー、PPV売上の分配金、チケット収益、スポンサー収益で、単純計算1試合2億ほどは稼ぎ出す計算だろう。

旧K-1が消滅し格闘技1本では食べていけないという業界だった時代から、自らの試合だけで豊かな生活が送れる程の富を得れるほどにした武尊。この格闘技業界にまた夢があることを証明してくれた。

「この契約は格闘技界の未来を変える契約になる」という武尊のコメント。

K-1時代から地上波ゴールデンタイムでの生放送にこだわり続け、その夢が目前まで現実化していたTHE MATCHでも直前で放送なし。
代わりにPPVという新たな在り方で魅せてくれ、それが今回のAbemaTVとの契約に繋がったのだろうが、そんな格闘技の在り方や見せ方、稼ぎ方の現在進行形を行くという堂々の宣言に私には思えた。

地上波に夢とこだわりを持ち続け、言い方を変えれば地上波放送されていた時代の選手を羨んでいたともいえる武尊。
地上波放送という形では報われなかったがPPVでの大型契約を勝ち取った武尊を羨む人間は多く、旧K-1で試合をすれば地上波が必ずといってついていた魔裟斗氏も自身のYouTubeで羨ましいという声をあげている。

今後は世界を舞台に活躍し日本だけには留まらないスポーツ選手として、更に大きなことを成し遂げ富と名声を築き上げ、格闘技の価値を高めていってくれるとファンとして武尊を信じている。