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パルプ小説:West Side Stream 7

第7話

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ドンキまで歩く。
駅のビルの隙間に太陽が沈む。
ビルの日陰を歩く。焼き鳥屋からドンキまで目と鼻の先だが、タバコに火をつける。
自販機のゴミ箱は溢れかえっている。タバコを捨てて、ドンキに入店。
ドンキの広告が、目に刺さる。2階に上がり、階段の左を曲がり、金麦(ロング)を持つ。
待ち合わせするには、ショート缶では短い。

金麦の缶を開けて再びタバコに火をつける。
「おにーぁん、あーあっえん?(お兄さん、何やってるん?)」
なんて?
タバコに火をつけようとしたら、小汚いおじさんが目の前に立って、自分に話しかけてきた。
「金麦飲んでます。」
ギリギリ聞き取れる単語で、おじさんに向かって答えた。
「勝者!勝者!(そうか!そうか!)」
おじさんがニコニコして答える。
なんかあってるっぽいな。
いろんな人がいるなーと思い、金麦を一口。
気づいたら、おじさんはいなくなっていた。

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ペタペタ。
サンダルの音がなる。
出勤する途中である。
背後からヒタヒタと人影が。
慌てて、歩いてる女性はは歩くスピードを早める。
すると、男のスピードも早くなる。
日暮れによる逆光で、嘘ろから追うものを見ることができない。
後ろを振り返る。
誰もいない。
ホッとする女の子。
振り返ると、男の姿が。
「っ!!」
女の子は、男性に襲われる。

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パトカーの中。
スマホを操作する。
「今日もバクラ行くべ!」
LINEのチャットを送信する。
「ふー。」
駅前のロータリーを回り、交番に向かう。
「さて、今日も平和でした。」
中国人の子供がフラフープをしながら、親と喧嘩している。

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ドンキ前。
友人がくる。
「おーい。お疲れー。」
「お疲れ。」
「おっ!もう飲んでるじゃん。」
「すまんね。もう始めてるわ。」
「ちょっ。待ってて。俺もヤるわ。」
友人はそのままの流れで、ドンキの中に吸い込まれた。

「お待たせ。」
友人の手には、金麦のロング缶がある。
「話変わるけど、まじで、最近。セブンにあるロング缶はまってるわ。」
「話、始まってもねぇよ。何?ビール。」
「そう!いや違う。」
「なんやねん。」
「あれよ。第三のビール。」
「あー。まぁそんな変わらんけど。」
「多分、金麦よりうまいわ。」
「本当に!?じゃぁ、これ飲んだら、買いに行こうよ。」
「いや、そこまでではない。」
「なんやねん。」
「まぁ、とりあえず、セブンイレブンは最高ってことよ。」
「まぁ、確かにね。」
「まじで、セブンとユーチューブとサイゼリヤがあれば、生きていける。」
「本当に?俺は、Netflixないとしんどいわ。」
「あっっ!それずるい。Netflixも追加で。」
「いや、もうダメ。それは反則。」
「まじかー。おまけでっていうことにしてほしい。」
「なんだよ。おまけって?そもそも、その縛り何よ?」
「ヒーヒヒっ。」
友人は爆笑する。
中国人が怪訝そうな顔で通りすぎる。
中国人が持っていそうなバッグにドンキで買った化粧品がパンパンに詰められている。
「なんで?ユーチューブよ。全然みてなかったやん。」
「いや、最近、ユーチューブにハマってて。」
「そうなん?」
「いやもう、ユーチューバーになりてぇなって。」
「ははは。」
「なんだよ。その乾いた笑い。」
「いや、いいんじゃない笑」
「めっちゃ笑ってるじゃん。」
「笑。」
「お前バカにしてるけど、ユーチューバーってすげぇからな。なんか色々、企画考えたり、なんか照明とか、色々さ。」
「それだけじゃ、凄さわかんねぇよ。」
「あと、小学生がなりたい職業ランキング一位だよ。それ、はじめに聞いたときは、日本終わりだねって、思ったよ。正直。」
「うん。」
「だけど、今、30代に差し掛かろうとしている俺がさ、ユーチューバ目指しているってんだからさ。やっぱ。」
「うん。」
「日本は終わっていると思うよ。」
「ガハハハは。」二人で爆笑する。
「今日も金麦がうめぇな。」
「だなぁ。」

交差点を見ると、女の子が歩いてくる。
「あれ、この前のバクラの子じゃない?」
「LINEのときから聞きたかったんだけど、バクラって何よ?」
「バクラだよ。バクラ。」
無視して女の子に声をかける。
「おーい。」
女の子もこっちに気づく。やっぱり、キャバクラで出会ったもも子だった。
「あー、怖かった。」
「どうかしたの?」
「なんか変な人に追われてて、、」
「まじかよ。俺も今日見たわ。」
「本当に!?」
「まぁていうか、変な人しかいないんだけどね。この辺りは。」
「確かに笑」
「まぁ、俺が、変な人がいたら、逮捕するから大丈夫?」
友人が答える。
「こんなんで、捕まえられないでしょ笑」
もも子は金麦を指差す。
「ふふ。」
私は笑う。
「何よー。今日はくるの?」
「多分笑」

【続く】

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