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Music × English なエッセイ 【16】

今回の動画


未来予知なんてできない。

レディオヘッドのボーカル、トム・ヨークが別プロジェクトとして結成したザ・スマイル。

シニシズムやペシミズムの色が濃厚な彼が、微笑みってバンドを結成するからには猛毒が入ってそうですよね。

We Don't Know What Tomorrow Brings

歌詞

[Verse 1]
It's a terrible shame
It's a terrible shame, I know
It's a brutal game
Gonna have to let you go

I'm stuck in a rut and I can't find my way out
And the sides
Are closing in

[Chorus]
We don't know what tomorrow brings

[Verse 2]
It's a terrible shame
And the grass is always green
Get it while you can
Or get sad and then get mean

I'm stuck in a rut, in a flatland drainage ditch
And I'm drowning
In irrelevance

[Chorus]
We don't know what tomorrow brings

We Don't Know What Tomorrow Brings
by The Smile

試訳

残念至極
大層お気の毒、わかるよ
残酷なゲームだしね
君を解放してやらないと
僕はマンネリ化の泥沼
そして両サイドが(訳者注…左右の陣営?善悪正邪の?)
僕に迫ってきやがる

明日の命運など誰にもわからない

全くお気の毒
隣の芝生は常に青く見える
可能なうちに分捕れ
さもなきゃ泣きを見て意地悪な人間になるだけ
僕は平地の排水溝にどん詰まっている
しかも無関係なことで溺れ死にそうだ

明日何が起こるかなど予測は不能だ
明日が僕らに何をもたらすかなど…

訳出にあたり考えたこと


訳の該当箇所に、慣用句などについて辞書サイトへのリンクなどを張ってみました。

トム・ヨークが名門大学を出てるからというわけじゃないでしょうが、抽象的ですよね。

もちろん、アートなのだから、解釈を聴き手に委ねるという手法は可能なんですけど。

ただ、2020年代に格差が開いていく中、非道いゲームが展開されているという批判は、歌詞の外の世界の現状とリンクするものに思えます。

話者の人生はマンネリ、膠着状態で一か所にとどまってしまっている。

注も付したのですが、彼に迫ってくる両サイドというのは、突然現れるわけで、何の寓意だろうと。

政治的に左右のどっちかに立てということなのか、倫理的道義的に善悪や正邪のどっちを選ぶのかということか…。楽曲の緊迫感からすると、中道や中庸は許してくれなさそうな。

いわゆる立場を決めろというやつなのか。
そう強いてくると。

バース2においては、持たざる者から持てる者になれとでも言わんばかり(隣の芝生云々、というくだり)。

しかし、レディオヘッド時代から一貫して、トムは資本主義の暴走を非難したり、皮肉ってきたはず。

だとすると、整合的に解そうとする場合、無関係に溺れていくというのは、合理性とか効率性とか、功利主義的な競争の土俵(リングでもフィールドでもよいが)の、慈悲とか友情愛情、効率を落とすような(しかしヒューマニティーには値するような)事柄で苦しんで、競争に負けていくさまなのだろうか?

そうすると、何が起こるかわからないから備えようというような、例えば「日本人は保険大好き(無駄含む)」みたいな話になりかねない気もします(苦笑)。

ただ、一方で、メシア待望論じゃないけれども、生き永らえれば、救いがあるかもしれない。次があるかもしれないだろ?という臥薪嘗胆のメッセージにもとれるかもしれません。

徐々にフェイドアウトしていく締めくくり方からすると、悲壮感が強いけど…。それでもなお?無理筋ですかね…(汗)。


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