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お客様インタビュー・原朋直さん(ジャズトランぺッター)完結編その3「もわーんと(笑)、空気を変える」

この記事だけでも面白いですが、その1、その2と続けて読むとより深く楽しめるかも…


お二人はジャズのライブもよく知ってるちょっと特殊な人達だけど(笑)。
普段ライブハウスに行くことのない人達は、ジャズってどういうイメージなのかな?
クラシックと違ってアドリブがあるとかいうイメージ?

女将
いろいろな方がいらっしゃるとは思いますが…
例えば私の両親は自分からライブに行くことがない人達ですが、ジャズはちよっと心地よい音楽、でも難しいことを言う人もいるから少し怖い、みたいなイメージでしょうか…


難しいことを言う人というのは、ジャズ評論家とか?

女将
評論家に限らずですね。
母は、ジャズ喫茶というのはしかめ面の人達が集う場所だと思っているようです。

賢也

難しいものだと思っている人はいますね。楽しむには知性や教養が必要とか…。


うすうす気づいてはいたけど…やっぱり気楽に聴くという感じじゃなくて、垣根というか、ハードルがあるんだね。

僕が今ひそかに進行させているプロジェクトがあってね…
この「ジャズはなんかよく分かんない、怖い」という空気を変えたいの
ジャズを取り巻く雰囲気を、もわーんと、ゆるゆるっと、じわじわっと変えたいのね。

ジャズを難しく解説したりして偉そうにしてる人達がいるのは確かなんだけど、
そういう人はまあ仕方ないな…ということで、
その考えは間違ってる!!
と言ったりして、ケンカはしない。
戦うと犠牲者が出るし、抵抗する人もいるし、無駄に傷つけあうでしょ。
挙句、結局はそれほど空気が変わらなかったりする。

だから僕は気づかないくらい少しずつ、時間をかけて、でも確実に雰囲気が変化するように…
もわーんと活動する(笑)。

お二人はレナード・バーンスタインのYoung People’s Consertsっていうレクチャー、知ってる?
「ウエストサイド物語」で有名なレナード・バーンスタインが、子供向けに音楽の素晴らしさを教えてるんだけど、
これが本当に素晴らしくて、
僕はレーザーディスクで50枚くらいあるのを全部見たんだよね。
(現在Blue-rayで入手可能)
教えるっていってもニューヨークフィルがバックにいて、演奏を交えつつやるの。
ルイ・アームストロングをゲストで呼んだり、とにかく面白い。

ここで教えるのが、音楽を楽しむ方法。
バーンスタインにはどういう風に音楽が聴こえているのか?
オーケストラは何をしているのか?
ジャズって一体何が起こっているのか?

自分は音楽に夢中だけど、それはこういう風に音楽を聴いているからなんだよ、
こういう意図をもって演奏しているんだ、
そういう耳で聴くと、音楽ってすごくない?

…という楽しみの「分かち合い」

単にうんちくが増えるということではなくて、耳と心が成長するような、
これからの音楽とのつきあいが格段に楽しくなる講義なんだよね。

中にはマニアックなこともあるけど、分かりやすく説明するし、
何より本当の面白さってマニアックなことの中にあって、実際子供達も面白がって聞いてる。
だって、音楽家と同じ目線で、同じレベルで音楽を楽しめたらすごいよね?

これのジャズバージョンをやりたいの。
ジャズの楽しみを分かりやすくプレゼンして、
みんなで楽しめるようにする。

今日もいろいろ話したけど、こうしてジャズや音楽全般の誤解を解いたり、
面白がれるきっかけを作りたい。

僕は
「ジャズEMP」
(東京証券取引所を会場とし、「音楽と金融の融合」「若手ミュージシャンの育成」をコンセプトに、未来のジャズシーンを担う実力派若手ミュージシャンが集結し、演奏を披露するライブイベント)
の音楽監督をしているんだけど、これは日本の最先端を行く若手のジャズを紹介しつつ、いまのジャズについて知ってもらうためのプレゼンの要素を含んだコンサートイベントなの。

女将
プレゼン?


コンサートだけど、ただジャズを演奏するだけでなくジャズについて語って、ジャズを面白がってもらう。親近感を抱いてもらえるようなトーク(プレゼン)も聞けるイベント。
東京証券取引所で演奏するから経済界の人達が見に来てくれて、そういう人に良いプレゼンをすると、中にはジャズに興味を持ってくれる人がいたりする。
興味を持ってくれるだけでも嬉しいけど、それだけじゃなくて、その人が株主総会にジャズミュージシャンを呼んでくれる。株主総会って、株主の皆さんにその企業のグッズやお菓子を配るのが慣例らしいんだけど、グッズやお菓子の替わりにジャズの演奏やプレゼンという「体験」を株主に贈るわけ。
つまりその株主総会に行くと「日本最先端のジャズと、ジャズを楽しむ秘訣」が手に入る。

僕はこれを以前やったことがあってすごく好評だったので、今いろいろなところで「やってみませんか?」って言っている。
さっきのバーンスタインみたいに、楽しくジャズについてお話しながら、日本の最高レベルのジャズが聴けますよ、って。

お菓子もいいけど、こういう体験ってレアだし、他人に話したくなって話題になるし、これからジャズを聴く時に何倍も楽しめるからすごくお得だよね。
ミュージシャンにお金も入るから、日本の文化にも貢献できる。

女将
いろいろな人を巻き込んで良い循環が生まれますね。
最近は「アート思考」などビジネスに効くアートに注目も集まっていますし。


世界的に活躍するビジネスマンはアートの造詣も深いよね。
だからこういう創造的なイベントをどんどんやっていきたい。
賛同する方には出資もしてほしい。

他にも例えば、BLUE NOTE PLACE(恵比寿)という、チャージ1000円くらいで若いミュージシャンの演奏が聴けるお店があって、ライブハウスみたいに真剣に音楽と向き合う…というよりは、美味しく食べたり飲んだりしつつ、カジュアルにジャズを楽しむ。
ミュージシャンは若くて才能のある人たちを厳選して、最先端のジャズを届けるみたいなことも、いいよね?

兜町でも同じ様な試みのライブがスタートしていて、僕も応援している。
今後こういう場所が増えていくといいなと思っているの。

そうして、少しずつ少しずつジャズが好きな人が増えて行って、
怖いとか難しいとか思わなくなって、
もわーんと、じわじわっと、空気が変わっていく。

店主
このインタビューを読んで、
音楽の聴き方に決まりはないんだ、
好きなように聴くことも創造的なんだ、
と知ることだけでも、随分違うと思います。


そうそう。音楽については、本当に誤解が多いんだよね。
教育のせいでもあるんだけど…。
音楽の本質的なことを理解してない人が音楽を教えると、面白くないの(笑)。
自分が得意なことを使ってマウントをとる人ってすごく多いんだけど、そういう人からは、やんわり逃げてね。

本当に得意というか、そのジャンルが好きな人は
「俺みたいにしろ」
なんて言わないし、
むしろ
「こういう風にするともっと面白いよ」
「一緒に愉しもう!」
「共にクリエイトしよう!!」
という姿勢になる。
そうすると仲間が増えて、アイディアがどんどん出て、その分野が栄える。豊かになる。

僕は今50代も後半で、ここまでくると
人生って終わるんだな
と先が見えてくる感じがあるけど、
やりたいことは沢山あるの。具体的な計画もある。
最高の曲を創りたい、演奏したい、そして
創造的に、もわーん(笑)と
日本のジャズの空気を変えていきたいと思います。
興味がある方は一緒に楽しんでいきましょう!!
以上です(笑)。


(おわり)
※2023年初夏

原朋直 
ジャズトランペット奏者/作曲家/バンドリーダー/洗足学園音楽大学教授。
1966年生、co-leader作品も含め、現在まで20枚以上のリーダー・アルバムを発表する。
東京証券取引所を中心に展開する金融とジャズの融合イベント『Jazz EMP』音楽監督。

Official site: https://tomonaohara.com
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