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早春賦とクロッカスと子鬼めら❤️💛💙

もうすぐ立春。この時季になると「早春賦」の歌を歌いたくなります。「春は名のみの風の寒さや〜」で始まる唱歌です。春とは言っても風が寒くてウグイスも歌おうと思うがまだ声も立てずにいる。春と聞いてしまったからには胸が急かされるこの頃‥。
寒い地域で春を待つ想いがじんわり伝わる歌です。

この歌は、長野県大町市や安曇野市の一帯の早春の情景を歌ったもので、安曇野市にある吉丸一昌氏の歌碑を見に行ったことがあります。白く美しい山々に囲まれて、しんと静まり返った安曇野の早春の景色が、瞼の裏に焼きついています。

私はこの歌の2番の歌詞が特に好きです。「氷解け去り葦は角ぐむ」というところ。子供の頃は気づきませんでしたが、「角ぐむ」という言葉のなんて可愛いらしいことでしょう。葦などの芽が角のように出始めることだそうです。平安時代にはもう使われていたようで、若い鹿などの初々しい角のイメージなのかなと思いました。とっても素敵な表現です。

家の庭の片隅に、毎年2月になるとクロッカスが咲きます。その芽が、ちょうど角ぐむという感じでちょこんと出てくるのです。私はそれを見ると、動物の角ではなく、子鬼の角のようだと思ってしまいます。おじゃる丸が、「子鬼めら〜!」と呼ぶあの可愛い子鬼達のような、賑やかで明るい子鬼達が、春の準備を整えて待っているみたいに見えてしまうのです。

春と聞いても、嬉しい人ばかりではないかもしれませんし、感じ方もそれぞれです。でも、春が来たら
とりあえず寒くなくなる、暖かくなるということで、心も身体も救われる人がたくさんいることでしょう。「早春賦」の2番の歌詞の続きは、「さては時ぞと思うあやにく、今日も昨日も雪の空」です。
さあ春だ!思ってもあいにくまた雪の空だ。というため息を繰り返すうちに、少しずつ春が近づいてくるんですね。

どうか今年は、その少しずつのスピードを早めて欲しいものです。可愛い子鬼達も、土の下に並び始めるのを早めにして、暖かな春の喜びをいつもより多めに、賑やかに撒き散らして欲しいものです。
谷のウグイスが気持ちよく歌う暖かい春は、きっともうすぐそこです。🪻




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