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【認知症介護メモ】見えるものを少なく

我が家の取り決め

「デイサービスのバッグは、母の目の前から消す」ー。
父から妻、小学生の娘まで、
我が家で守っている取り決めの一つである。

バッグには、主に、デイサービスで入浴するときに使うタオル、
着替えの下着、歯磨きセット、施設からの連絡帳が入っている。

期待外れがきっかけに

同居開始間もないころ、母の認知状態もしっかり把握しておらず、
デイサービスから帰宅した母に
「バッグの中身をかたづけておいて」と頼んだが、
何度言っても、任せても、教えても、
こちらが満足のいく結果に一度もならなかった。

例えば、使用済みのぬれたタオルと、
洗濯後のタオルが棚に一緒に積まれてしまったり、
連絡帳に書かれている、
施設で過ごした時の様子の報告を指さしながら
「だれがこんな評価を言っているのか」と怒り出し、
連絡帳を隠してしまったりと。

忘れる+効率よく動けない

結局、短期記憶に障害のある母のいろいろな行動と、
その結果から分析すると、
高次脳機能障害
(2つのことを同時に考えて同時にこなせないなど)のため、
目の前にいろいろやることがあると、
あれこれ考えられず、
うまくできなくなっている
(本人も混乱し始める)という特徴があることに気づいた。

バッグの例に挙げるならば、
バッグから取り出した使用済みタオルや下着を手に持つ
→洗濯機に入れようと立ち上がる
→タオルのおいてある棚が視界に入る
→(短期記憶障害や混乱)
→手に持っているタオルなどが
 使用済みであることを忘れて、棚に置く
・・・という具合。
目に入る情報と、やることが多すぎて、
うまく処理できないのである。

ミニマリストを目指す

なので、デイサービスから帰ってきたら、
母の視界からバッグを消すというルールができた。
バッグの整頓は家族でやる。
その方が、結果的に清潔に保たれるからだ。
汚れたタオルと洗ったタオルが
混在してしまった棚の整頓をするより、
よっぽど楽である。

母は「バッグはどこへ?」と心配になって聞いてくるが、
「施設から大事なお手紙が入っているから、
 こちらで預かりました」と言えば、
納得して、しばらくすると聞いてこなくなる。

目の前にいろいろあると混乱する傾向もみられたので、
母の部屋は〝ミニマリスト〟といえるほど、
必要最低限のもので整えている。

もちろん、本人ができる、「そのほか」のことはさせている。
洗って乾いた洗濯物をたたみ、棚に置くという単純作業はできている。

結果は100点でなくてもいい。
50点とか30点のときもあるが、
本人が落ち着くなら、
それでいい。


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