新しい詩「呪文」
『呪文』
小さな金庫のなかに
生ゴミを入れ
鍵をかけたまま
ずっときた
今、その生ゴミが
腐って ぐちゃぐちゃになって
分厚い金庫の扉ごしに
臭いがもれだし
緑色の液体が
ぽとり ぽとり
金庫の下から
したたりはじめた
私は知っている
今、その鍵を開けてはならないことを
あまりにも あまりにも
腐敗が激しすぎ
開けたが最後
収拾がつかなくなる
こんなときは
外側から
そっと
呪文を唱えるしかない
「ごめんよ
ごめんよ
つらかったときの
自分」
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