HIDDEN JIUJITSU -Ultimate Choke Escape-

1 BJJ関連のYOUTUBE動画を見ると、「サブミッション」テクニックを扱った動画が非常に多い。また、MMAクラスに来る若い子達と接していると、異口同音に「ギロチン」「ダース」「三角」と言った「サブミッション」を教えて欲しい、と皆頼んでくる。
 確かに、「ディフェンス」や「エスケープ」の技術は、見た目に映えるものではないし、習得に時間も掛かる。これに対して、個別の「サブミッション」テクニックは、ドリルの回数をこなしさえすれば、比較的短期間で形を覚えることが出来るし、それによる達成感、平たく言えば、自分が上手くなったという成果を実感しやすいのかもしれない。
 グレイシー柔術には、「Position Before Submission」という言葉がある。相手をサブミットするためには、その前提として、マウントやバックといった相手をコントロールできる良いポジションをまず確保しなければならない、という思想である。
 この点、かつて紹介したサウロ・ヒベイロの『柔術大学』においても、「Position Before Submission」の思想は徹底していて、同書の各章は前から、「ディフェンス」「エスケープ」「ガード」「パスガード」「サブミッション」の順に配列され、「サブミッション」の章には全体の1割程度の頁数しか割かれていない(注1)。

注1)

 相手をサブミットするためには、まず良いポジションを確保し、それをキープしなけれなならないという「Position Before Submission」をベースに考えると、やみくもに「サブミッション」の手数を増やすよりも、サイド→マウント→バックといったより良いポジションへの「トランジッション」(移行)や、確保した良いポジションを「キープ」して、相手をきちんと抑え込む技術を習得する練習に多くの時間を費やすべきだという事になるのだろう。そして、相手を良いポジションに捉えて、彼を抑え込むことが出来るようになれば、個別の「サブミッション」テクニックの数は基本的なものだけで十分だし、相手を仕留めるチャンスが訪れた時に「サブミッション」テクニックで確実にタップが取れるようようになるためには、手数を絞ってひとつひとつの「サブミッション」テクニックの精度を上げるべきだというのがサウロ・ヒベイロやグレイシー柔術の考えなのだと思う。

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