藤田 正和

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藤田 正和

「武術」にまつわる話をメインに記事を書いています。 執筆のモチベーション維持のために、いわゆる「投げ銭」として、「クリエイター支援」や「記事購入」をして頂けると嬉しいです。

マガジン

  • 「Solo BJJ Training Drills」

    ジョン・ダナハーの「Self Mastery: Solo BJJ Training Drills」について解説した記事を集めてみました。

  • 2024年(前半)

    2024年前半に執筆した記事をまとめたモノです。

  • 柔術を武術的に再生する

    「柔術を武術的に再生する」とはどういうことか?に関する私の考え方を具体例を挙げて紹介しています。

  • BJJ覚書

    ブラジリアン柔術の各種テクニックについて、クラス用に作成したメニューを文章化した記事を集めています

  • 読書感想文・書評

    読んだ本に対する雑感を書き留めたモノです。

最近の記事

All Four(2)

はじめに  今回は、ジョン・ダナハーのSelf Mastery: Solo BJJ Training Drills(注1) から「Sit out 」「Rolling」「Inside Leg Stand up」「Sit Back」という4つのソロドリルを取り上げて、これについて解説したいと思う。 注1)Self Mastery: Solo BJJ Training Drillsについては、入手方法も含めて次の記事を参照して欲しい。  本稿で扱う4つのソロドリルは、いずれも

    • MMAでプロになるには?

      1 結論から先に言うと、「グラップリング」をする子である。  ちなみに、私自身はMMA未経験者であり、普段プロMMAの試合を見ることもほとんどない。  したがって、私には「MMAでプロになるためには何が必要か?」という問いに対して、技術的な回答をする資格(だけでなく能力も)がない。  ウチの道場には、MMAクラスも併設されている。  そのため、MMAクラスに来る子達とも「グラップリング」クラスで交流があるのだが、彼らと接していると、プロになれそうな子とそうでない子の違いと

      • 爆弾岩

        1 ある道場主の人(「Hさん」としておこう)が、私について次のように評していたらしい。  曰く、「いつも試合でマウント取られてじっとしている人ですよね。(マウント取られたままの状態で)試合終了まで(そこから)逃げられなかったら、恥ずかしくないんでしょうか?」と。  厳密に言えば、Hさんが私をそのように「評していた」ではなく、「「評していた」と人づてに聞いた」だけなので、Hさんのコメントの真偽は分からない。  しかし、本稿でわざわざHさんのコメント(らしきモノ)を取り上げた

        • 「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」を読む

          1 LGBTの権利を擁護する人は「リベラル」なのだろうか?  今の日本では、反原発を唱える人々や自衛隊を違憲だと主張する人も一緒くたに、なんとなく「左翼」≒「リベラル」という意味で、この言葉が用いられている。  だが、「リベラルとは何か?」と聞かれて、「リベラル」言説を批判する人だけでなく、当の「リベラル」本人達も、その問いに答えられる人はほとんどいないように思う。  ある概念を巡ってその当否を議論するのであれば、まずはその概念の意味内容を確定する作業が必要である(議論の

        All Four(2)

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        • 「Solo BJJ Training Drills」
          10本
        • 2024年(前半)
          44本
        • 柔術を武術的に再生する
          7本
        • BJJ覚書
          13本
        • 読書感想文・書評
          8本
        • HIDDEN JIUJITSU
          11本

        記事

          ときめきメモリアル

          1 私が10代の時に「ときめきメモリアル」というゲームがリリースされた。  今回はこのゲームにハマった高校時代の友人の話から始めたいと思う。  「ときめきメモリアル」というのは恋愛SLG(シミュレーションゲーム)の嚆矢で、かなりヒットしたらしいから、それなりに面白かったのだろう。  だから、彼がこのゲームにハマったとしても不思議ではない。  問題なのは、そのハマり方である。     ゲームにハマって学校をサボるのも問題だと思ったが、それよりも彼が「ときめきメモリアル」の公式

          ときめきメモリアル

          何故私はWNOを見るのか?

          1 アメリカのプロ・グラップリングにおいて、今最も人気を集めているのがWNO(Who's Number One)だろう。  WNOは2019年に始まったので、イベントとしての歴史は浅いが、コロナ禍で飛躍的に成長し、今では(ADCCを別格とすれば)プロ・グラップリングにおける世界最高峰の大会になっている。  私がWNOを見るようになったのは、ちょうどこのイベントが耳目を集め始めた頃だったが、他のプロ・グラップリングや柔術イベントとは比べモノにならないくらいよく出来ていると思う

          何故私はWNOを見るのか?

          All Four(1)

          Turtle or All Four  私は亀が嫌いだった。  ちなみに、ここで言う「亀」とは、ブラジリアン柔術(BJJ)における「亀ポジション」(以下、「亀ポジション」の意味で「亀」という単語を用いる)を意味している(注1)。 注1)亀は、今現在英語でturtle positionと呼ばれているが、一昔前の英語では、All Four(「四つん這い」)という名前が付いていた。  MMAの「4点ポジション」もAll Fourから来たのだろう。  理由は二つある。  ひ

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          All Four(1)

          「もっと言ってはいけない」を読む

          1 今朝(3月23日付)の日経新聞に次のような記事が掲載されていた。  「国民の4割が肥満という米国で特効薬ともいえる新薬が広まっている。自分で注射を打つだけで食欲を抑えられる肥満症治療薬(「ウゴービ」)が2021年に承認され、手軽なやせ薬として世代を超えたブームとなっている。  「ウゴービ」の注射は週1回のみ、保険適用なら月25ドル(約3800円)ほどで利用できるという手軽さがウケているかららしい。  その反面で、医師が簡単に肥満症薬を処方し過ぎるため、副作用(吐き気や脱

          「もっと言ってはいけない」を読む

          盲点

          1 MMAクラスの子が、グラップリングで私と初めてスパーリングをする時は、しばしば次のような展開になる。  開始直後にタックルに来たはいいが、私からカウンターで「ギロチンチョーク」でタップを取られる。  私が一度「ギロチンチョーク」を見せれば、頭のいい子ほど警戒してタックルに入って来なくなる。  「相手からタップを取るために、何が何でもテイクダウンをしなければならない」と考えて無謀な頭突っ込みを繰り返すくらいなら、頭を切り替えて、タップを取られないよう不用意なタックルを控え

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          1 武術に関する記事(と言っても、ほとんど柔術に関する内容ばかりだが)を書き上げると、それが読者の方にとっても「面白い」か否かはさておき、それなりの達成感を得ることが出来る。  これに対して、武術以外の記事を書いても、今ひとつスッキリとしない。後日それらの記事を読み返してみると、私自身が「つまらない」と思うモノばかりである。  私の書いた記事がなぜこんなに「つまらない」のか?自分でもその原因がよく分からなかったので、数少ない友人に助言を求めてみた。  友人からは、「君の(柔

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          下からの抑え込み

          1 BJJ(ブラジリアン柔術)やMMAにおいて、「クローズドガード」はアタックポジションとされているが、本当にそうだろうか?  BJJの稽古を始めた当時、周囲の先達と比べて(私が)余りにも弱かったので、そもそもスパーリング中に「クローズドガード」に入るチャンスすら訪れなかった。稀に先達が手加減して「クローズドガード」に入れてくれる事があったとしても、簡単に割られて「パスガード」されていたのを覚えている。  「クローズドガード」を割られないようにするだけでも一苦労なのに、どう

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          下からの抑え込み

          ハレとケ

          1 正月になると、毎年のように芸能人を格付けするTV番組が放映されている。  普段TVを見ない私でも、年が改まる度に新聞のテレビ欄に目を通せば、「まだやっているのか・・・」と思ってしまう。    私は「目を閉じると、赤ワインか白ワインかの区別しか出来ない」程のワイン通である。ワインを飲み始めてかれこれ20年以上になるが、その私がワインの飲み比べをすると、今現在次のような状況である。 ①AC「ブルゴーニュ」(3~4千円・「ピノノワール」というブドウ品種のみで造られている赤ワイ

          モノは言いよう

           もし私が「全日本マスター2位・アジア選手権2位・ワールドマスター3位」という実績を持っているとしたら、貴方はどう思うだろうか?  さらに、「〇帯になってから、銀メダル5つ。金メダルが遠い・・・」という内容で試合の奮闘記を書けば、かなりの閲覧者を獲得できるかもしれない。  だが、〇帯に昇格してから出場した試合は全てワンマッチ(もしくは3人巴戦)のみで、試合には一度も勝ったことがない、というのが冒頭に掲げた戦績の実態だと知れば、ほとんどの読者は私の実績と実態の落差に愕然とする

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          「上級国民/下級国民」を読む

           橘玲『上級国民/下級国民』を読む。 1 本書では、「上級国民/下級国民」の区別が、個人の努力によって移動(=上昇)可能な「上層/下層」とは異なり、固定化された一種の社会的身分として捉えられており、現代社会が「上級国民=持てる者=リア充」と「下級国民=持たざる者=リア終」に分断されている様が描かれている。    本書の中で私にとって一番印象に残った箇所を挙げるとすれば、次の一文になろう。  「団塊の世代は政治家にとって最大の票田です。彼らの死活的な利害が「会社(日本的雇用

          「上級国民/下級国民」を読む

          一番搾り

          1 先日出稽古に来られた方とスパーリングをした際の話である。  私から引き込んで「ハーフガード」に入っていると、彼はトップから対角に私の襟を掴んできた。「ベースボールバットチョーク」かとも思ったがグリップが逆で、どうも狙いは別のところにあるらしい。こちらから潜ろうと身体を丸めると、彼は空いた方の手で私の背中を掴んで、襟を掴んだ手を引いて絞め上げて来た。  絞めそのものは浅かったが、このままでは危ないと思って、背筋を伸ばして姿勢を元に戻したら、何とか絞めから逃れる事が出来た

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          道場を経営する(三)

          1 他のスポーツ格闘技と比較した場合、BJJ(ブラジリアン柔術)の特徴のひとつとして、「サークル(団体)」の数が非常に多い点を挙げる事が出来る。  「常設」の道場における道場主と会員の関係は、指導というサービスの対価として会員から月謝を徴収する、という契約関係にあるのに対して、「サークル」の場合、サークルの代表はメンバーから(公共施設の利用料金等の必要経費を除いて)会費を徴収しない。つまり、「サークル」においては、代表とメンバーの間が契約関係に立っていない。  この事を指導(

          道場を経営する(三)