となみお

日本の片隅でひっそりと。 読むこと、書くことが好き。 活字の海にたゆたい、あれこれ妄想…

となみお

日本の片隅でひっそりと。 読むこと、書くことが好き。 活字の海にたゆたい、あれこれ妄想します。

最近の記事

ビリジアン

今日は〈ビリジアン〉について。 JIS慣用色名によると「くすんだ青みの緑」 絵具にこの色がありますね。 緑ではなくビリジアン。 なんでビリジアンなの? なんか言いづらいし。 子どもの頃、絵具を使う度にそんなふうに思ったものでした。 まああれだ、ビリジアンって「緑」のおしゃれな言い方なんだろう。 そう解釈していた私でした。 絵を描くのが好きだし、得意な子どもでした。 絵具の12色の中で、減りも早く何度も買い足した色がビリジアン。 他に、白・青・茶あたりでしょうか。 山や空や

    • つつじいろ

      今日は〈躑躅色/つつじいろ〉について。 JIS慣用色名によると「鮮やかな紫みの赤」 自分の背丈より少しだけ高い赤やピンクや白のトンネルは、鮮やかで華やかで眩しい。 私は目を細めてぐるりと見回す。 視界いっぱいに広がるつつじは、どこまでも続いていた。 ここを抜けたら違う世界に行けるのかも。 淡い期待に胸躍らせながら、私はゆっくりと歩いた。 いちばん古いつつじの花の記憶です。 幼い日、つつじが名所の公園に連れて行ってもらいました。 季節はゴールデンウィークの頃。 公園はお祭り

      • みるいろ

        今日は〈海松色/みるいろ〉です。 JIS慣用色名によると「暗い灰みの黄緑」 海松とはミル科の海藻で、万葉の時代から親しまれていたのだとか。 画像を検索すると……。 うわ、ほんと松みたい。 昔の人はうまいこと言ったなぁ。 宮内庁雅楽部の楽人の装束には、この色が使われているそうです。 見に行きました。 もちろん、検索で。 ほうほう、なるほど。 うん、渋いねぇ。 この色名を初めて知ったのは、田辺聖子さんの『むかし・あけぼの/小説 枕草子』です。 主人公・清少納言が〈海松子〉と

        • みずいろ

          今日は〈水色〉について。 JIS慣用色名によると「薄い緑みの青」 子どもの頃からこの色が大好きでした。 女の子の友達がみんなピンク色を選んでいても、私は水色一択。 「なんでピンクを選ばないの? 水色なんて男の子の色だよ」 ――こういう価値観の時代でした。 私はそれに何と答えていただろう。 はっきり覚えていませんが、「だって好きなんだもん」くらいの返事をしていたでしょうか。 人生で出合った水色で一番美しいと思っているのは、幼稚園のおやつで出た〈ねりあめ〉の色です。 窓から差

        ビリジアン

          いまよういろ

          今日は〈今様色/いまよういろ〉について。 JIS慣用色名によると「強い紫みの赤」 今様とは、平安時代の「今、流行りの」という意味です。 あの時代のトレンドカラーだったというわけですね。 男女関係なく流行ったのでしょうか? 男性の衣装にこういう色を使っていたら、オシャレでいいと思います。 『源氏物語』の「玉鬘」の巻にこの色名が使われているというので調べました。 歳末、源氏は世話をしている女君たちに「これを元旦に着てね」と衣装を配ります。 (さすが源氏の財力!) 『紅梅のいと

          いまよういろ

          かめのぞき

          色には興味関心があります。 読書のように「好きだー!」とアピールするほどではないけれど、なんとなくふんわりと好き。 気づけば、関連する本もけっこうな数を集めていました。 世界は色彩にあふれていますね。 心に及ぼす影響は少なくないでしょう。 色について、つらつらと綴っていきたいと思います。 この分野においてはまったくの素人なので、知識より感じたことを。 ---------- 初っ端は〈甕覗/かめのぞき〉を取りあげてみます。 JIS慣用色名によると「やわらかい灰みの青」

          かめのぞき

          再び

          noteを新規登録したのは5カ月前。 いくつか記事を書いたきり放置状態でした。 「あるある」かしら? 人生何が起こるか分からない、脱皮して新しい自分を生きよう。 そう決意してnoteを始めたよね、私。 新年度も始まったことだし、仕切り直しだー。 毎日投稿は無理でも、せめて週2、3回くらいは書きたい。 最初からハードルを高くすると挫けてしまうタイプなので、そこはマイペースで。 ---------- noteを始めた時は読書・本に関するエッセイが多くなると書きましたが、

          文明の利器よ、ありがとう

          所用で、およそ1,500キロの旅をしてきた。 思いがけない雪でスケジュールが大幅に変更となり、キツキツの強行軍。 ヘロヘロになって帰宅した。 やっと愛する我が家でゆっくりできる。 と思ったのもつかの間、なんとコロナに感染してしまった。 発熱、咽頭通、頭痛、鼻づまり、倦怠感。 具合の悪さにイライラ感は募るけれど、どうにもならない。 ベッドの中でひたすら忍耐の一週間を過ごした。 とは言え、熱が下がってくると目が覚めている間は暇である。 本を読みたくなる。 けれど、寝ている

          文明の利器よ、ありがとう

          人生の課題図書

          今では読書家を自認している私だが、子どもの頃は本を読むことが大嫌いだった。 家で静かに遊ぶより、野山を駆け回っているほうが性に合っていた。 当然、夏休みの宿題に出される読書感想文は毎回手こずった。 薄ーい本を選んで、あらすじを書いて最後の2行ほどで感想を述べる。 やる気のなさ全開である。 そんなわけだから、〈課題図書〉は読んだことがない。 あれからン十年。 毎日何かしらの本を読む日々を送るようになった。 読みたい本がたくさんある。 名著と言われる本、新しく世に出た本、話

          人生の課題図書

          これに色気を感じる自分て……

          アートが好き。 特に西洋絵画は、年に何度か展覧会に行くくらいには好きだ。 レオナルド・ダ・ヴィンチ? ええ、好きですよ。 【レオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿A」 人体の秘密にメスを入れた天才のデッサン】 本書は解剖の研究に関する手稿で、オリジナルはイギリスの王立図書館に所蔵されているそう。 解剖学? まったくの門外漢ですよ。 でもね、なぜか惹かれてしまった。 最初は図書館で借りたのだけれど、手元に置いておきたくなって後日お買い上げ。 解剖がテーマなので、素描は人

          これに色気を感じる自分て……

          再読はあまりしないけれど

          月に15冊ほどの本を読む。 書店で。 図書館で。 読みたい本が視界にどっと押し寄せてくるのを遮れない。 だからというわけではないけれど、再読はあまりしない。 しないのだが、例外もある。 諸田玲子『楠の実が熟すまで』 江戸時代、公家の不正を幕府が摘発した”安永の御所騒動”に材を取った小説だ。 ヒロインは、不正を暴くためスパイとして公家の屋敷に乗り込む。 嫁として体を張っての隠密御用である。 きな臭い殺人事件もあれば、切ないロマンスもあり、最後は……。 くーっ。 琴線に触れ

          再読はあまりしないけれど

          【初投稿】脱皮するぞ、のささやかな誓い

          久しぶりに本屋へ行ったら、永井路子の『この世をば』(朝日文庫)が平積みされているのを発見。 藤原道長の生涯を描いた小説だ。 来年の大河ドラマは紫式部だもんね、関連本がいろいろ出るよね。 うーん、欲しいな。 でも、持ってるんだよね、新潮文庫版で。 なになに、今回出たのは解説が澤田瞳子さんとな。 あー、欲しい! いや待て、この前、あの本とあの本とあれも買ったじゃないか。 脳内に、ZARDの『揺れる想い』が響き渡る。 よーし、よしよし、とりあえず落ち着こう。 棚の前で一人問

          【初投稿】脱皮するぞ、のささやかな誓い