『ドラゴンボール EVOLUTION』って……

こんにちは。
鴨井奨平です。

アマプラにオススメされたので、『ドラゴンボール EVOLUTION』を観ました。
この映画は私が高校時代に公開された作品で、その当時WOWOWか何かで断片的に観たのみでした。「そういえば、ちゃんと観たこと無かったな」と思い、これは良い機会と考えて視聴しました。

『ドラゴンボール EVOLUTION』の世間的な評価といえば、「実写化映画の駄作代表」みたいに言われてて、この作品の脚本を担当した当の本人も『ドラゴンボール』ファンに対して映画の出来について謝罪したようで。映画のレビューサイトの星の数も少なく、内からも外からも散々に言われている始末。
私も公開当初はそんなに好意的な印象を抱いていなかったのですが、今となって私は仕事として脚本を書き、自分で映画も撮るようになり。昔よりも映画に対する知見も深まりました。「今この映画を俺が観直したらどういう感想を抱くのだろうか」という興味も一助となり、『ドラゴンボール EVOLUTION』を「真剣に」観直しました。
その結果、「『ドラゴンボール EVOLUTION』って、これはこれで面白いんじゃね?」と思い至りました。

「カモイの奴、何言ってるんだよ」と思われるかもしれません。
確かにこの映画、脚本や演出も上手くないし、アクションシーンは『ドラゴンボール』っぽくないし(これだったらまだ『マトリックス レボリューションズ』の最後のバトルの方が『ドラゴンボール』っぽい)、出演俳優はパッとしないし、作品のスケールは小さいし(これらの問題はそもそも制作費が少ないということに起因していると思いますが)。それに加えて「作品テーマ」のようなものもあまり見出しづらい。
確かに、「世界的な大ヒット漫画『ドラゴンボール』の実写化映画」と考えれば、「何だコレ?」って感じの作品です。
でも、そういった文脈をあえて無視して、『ドラゴンボール EVOLUTION』を独立した一つの作品と考えると、けっこう楽しめて観れるんじゃないかと思います。
『ドラゴンボール EVOLUTION』、これはこれで結構おもしろいです。

『ドラゴンボール EVOLUTION』を「世界的な大ヒット漫画の実写化映画」と捉えれば「駄作」ですが、「トンデモB級カンフーアクション映画」と捉えれば結構イケます。
『ドラゴンボール EVOLUTION』、その物語冒頭から私は心を奪われました。主人公の少年がおじいちゃん師匠に修行をつけてもらっているシーンから物語は始まるのですが、なんかいいですよねこういう展開。私は「実は強い爺ちゃん、婆ちゃん」のキャラクターが大好きで、「このじいちゃんカッコいい!」と心踊らされました。
最初の「アメリカの学園モノ」的なノリもまた良い。ベタだけどそれがまたいい。『スパイダーマン』みたいな。チチも学園モノのヒロインのようです。
その後、悟空は亀仙人に修行をつけてもらうのだけど、その内容が「かめはめ波で蝋燭に火をつけろ」というもの。この胡散臭いよくわかんない修行メニューがまたいい(まぁ往往にして、『少年ジャンプ』漫画の修行ってよくわかんないことさせられますよね。木登りとか水風船とか石蹴りとか)。
最後に神龍が出て来るけど、この神龍の造形もチャチでまたいい。いい味出してます。
そしてピッコロ大魔王の造形もいい。その部下の謎の女もいい。
作品全体がカオスで良き。
そして作品時間が「85分」というのもまた素晴らしい(これ大事)。

総じて、『ドラゴンボール EVOLUTION』は愛すべき「トンデモB級カンフーアクション映画」です。
なんかこの映画を観てると、「きっと、撮影前も、撮影現場も、撮影後も、アクシデントが立て続けに起こったんだろうな、大変だったんだろうな」と、スタッフが右往左往していたのが想像できて、どうも憎めません。
この映画は多くの人々に文句を言われているけど、だったら私はあえてこの映画を愛する立場に身を置こうと思います。
「大丈夫、これはこれで結構楽しい映画だよ」

今回はこのへんで筆を擱きます。

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