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金春湯のサウナってどういうサウナ?


金春湯の旧男性サウナ

金春湯にサウナが出来た

金春湯がビル型銭湯になった昭和末期から平成初期には、まだ金春湯にはサウナがありませんでした。それは当時、組合内で「サービスは横並びでやっていこう」という雰囲気があったからなのですが、先代は「いつかはサービス面でサウナが必要になるときがくる」と考え、サウナのスペースをとって建物を建てていたのです。

そして金春湯も燃料を重油からガスに変えるときが訪れました。私は「この機会にサウナを作ろう」と決めました。ガスの燃焼設備ですが、二通りあります。一つは業務用の給湯器ともいえる、ボイラー内で水をお湯に沸かすもの。もう一つは、ボイラー内で高温の蒸気を作り、貯湯槽内の水にその蒸気をぶち込み、貯湯槽内でお湯を沸かすものです。金春湯では後者を選択しました。「三浦の蒸気ボイラー」というやつです。

サウナは私の好みに従って作ろうと決めました。私の好みのサウナといえば、
⓵直射熱ではなく、サウナ室が均一に温まったサウナ室。
②湿度が高すぎない、本物の汗(結露による水滴ではない)がかけるサウナ室。
③静かで落ち着いた雰囲気のサウナ室。
です。

⓵の条件を満たすためには「ボナサウナ」という様式が適しています。サウナストーブから直接受ける熱ではなく、格納されたストーブから発せられる熱が室内を循環します。ですから、ストーブに向いた体の正面だけが焼かれるように熱いのではなく、体全体が温まるサウナ。これに適したボイラーが蒸気ボイラーでした。ボイラーで作られた蒸気がサウナ室内のラジエターに送られ、室内を温めてくれるのです。(室内に火器がないので、消防法ではサウナではありません。)

しかも、私は「ロウリュウ」はあまり好きではありません。なぜかというと「セルフロウリュウ」は他人に気を使い、なかなか好みのロウリュウが出来ません。「オートロウリュウ」は急激に室内のコンディションが変わるため、私の好みではありません。できれば一定のコンディションでサウナを味わいたいのです。一人ぼっちのサウナで「セルフロウリュウ」をするのは好きです。

②の条件を満たすには、室内を木で作ることです。木は湿気を吸ったり、湿気を供給したりしてくれます。メンテナンスのコストを考えると、石やタイル張りの方が安くなる可能性が高いのですが、やはり木の湿度調整機能は譲れません。また新しいときだけではありますが、木の香りは落ち着きます。

③については②と共通するところですが、木の落ち着いた雰囲気は譲れません。タイル張りの部屋の中にいるのと、木の部屋の中にいるのとの違いを想像すると、私はやはり木の部屋の中にいたいと思うのです。最初はテレビくらいはつけようかとも思ったのですが、テレビがないままオープンしてみたら、お客さんの「テレビがなくて落ち着く」という声により、テレビもつけないことにしました。

でも、残念だったのは、サウナ新設当初、水風呂がなかったことです。

水風呂が出来た

金春湯に水風呂が出来たのは、サウナが出来てから3~4年後の事です。それは重要な設備の故障により、浴室を地面から掘り起こして作り直さなくてはならなくなったからです。そのような機会ですので、浴槽などのレイアウトも大胆に変え、水風呂を新設することにしました。もちろんチラー(冷却器)も備えました。しかし、真夏の猛暑日には冷却が追い付かず、水風呂の温度が25度くらいになってしまうこともありました。ただ、サウナを利用しないお客さんにとってはこのくらいが好評ではありました。

サウナブームがやってくる

金春湯にサウナが出来、水風呂が出来、でもそれほどサウナ利用者が多かったわけではありません。私自身も、金春湯のサウナがどれほどのものか知りませんでした。ただ自分の好みのサウナというだけでしたから。

しかし「サウナブーム」というものが訪れたのも、私は気づかずにいたのですが、巷で「金春湯のサウナがいい」といううわさが外から入るようになり、ちょうどそのころ、私の長男が店を継ぐことを考え始め、このチャンスを活かすことになりました。(どうやったのかは説明できませんが)

するとサウナ目当てのお客さんがどっと増え始め、サウナは混雑し始めます。夏は水風呂の温度が急上昇。課題が残ります。

水風呂強化

何とかして水風呂の温度を安定させたい。そこで考えたのが「サブタンク&サブチラー」です。これは前の記事で詳しく説明しています。多分この方法は金春湯独自の方法ではないかと思います。ざっくり説明すると、人が入って水があふれる。そこに補われる水をあらかじめ冷やしておく、という方法です。前例がない設備なので、うまくいくのかわかりませんでしたが、大成功でした。

新形コロナの到来

そんな中、あの「新型コロナウィルス」がやってきます。銭湯自体は休業せずに済みましたが、緊急事態宣言中にはサウナの営業を停止していました。コロナ禍ではサウナ営業中も、人数制限、利用時間制限を導入しました。人数制限により「密」にならないようにしながらも、時間制限により、多くの方に利用してもらえるようにしました。

そして「新型コロナ」が第5類になってからも、制限人数は増やしましたが、人数制限と時間制限は残しています。それはコロナで分かったことなのですが、やはりこの設備に対する適正な利用人数というものがあると気が付いたからです。満員で順番待ちをして頂くこともありますが、入ってしまえばストレスなくリラックスして入れるという状況は維持したいと考えるからです。

順番待ちの時間もあまり長くしたくないので、相変わらず時間制限も残しています。あと30分くらいは伸ばしたいなと考えつつ。

男湯サウナが2段から3段になりました

つい最近ですが、男湯のサウナの板の痛み(シャレ?)がひどくなったので、板を張り替えました。ついでに2段だったものを3段にしました。その結果、人数制限を7人から8人に増やせました。今だけかもしれませんが、木のいい香りがします。女性のアルバイトに体験してもらいましたが「男性がうらやましい」ということでした。女性側もそのうち良い改装が出来るときが来るかもしれません。

次回は「金春湯の流し場のレイアウトの秘密」です。

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