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ヴァルド派とその料理

ヴァルド派とは

当店のコース料理の根幹はヴァルド派の料理。

それはカトリック教会から異端とされ迫害を受けた、悲しい歴史が残るキリスト教の一派の郷土料理である・・・


1200年ごろにフランスの商人から始まった「聖書に基づき質素に生きるべき」と唱えるキリスト教のヴァルド派は、当時のカトリック教会から異端とされ様々な迫害を受け続けた。ヴァルド派はプロテスタントの先駆ともされ、イギリスのピューリタンなどの支援、その後はオランダなどのプロテスタントの支援を受けながら生き残った。後期にはナポレオンの宗教の自由の理念から解放されたが、ナポレオン流刑によりヴァルド派はまた山中に押し戻される。
トリノの王、カルロ・アルベルトによるカトリックと同等の市民権が得られたのは19世紀であり、ヴァルド派の悲しい歴史は6世紀にも及んだとされている。


僕とヴァルド派の料理との出会い

大まかな説明であることはご割愛いただくとして、僕はこのヴァルド派の料理をトッレ・ペッリチェという村にあるリストランテ・フリッポーのオーナーシェフであるワルテル・エイナルド氏から教わった。
その村はヴァルド派が隠れ住んでいたピエモンテの山岳地帯の麓に位置し、現在もヴァルド派の教会などが残る貴重な村であり、そしてワルテル氏は正にそのヴァルド派の末裔である。

ワルテル氏はミシュラン二つ星を獲得し、料理を通じて県外からの多くの人々にヴァルド派の歴史を伝えていた。
そんな料理人の姿勢に感銘を受けた僕は、現在でもその時に教わった料理を大切にしている。
またワルテル氏は「お前の料理はお前の心の中にある」と教しえて頂いた僕にとっては恩師の一人だ。

現在では現地の料理を僕なりのフィルターにかけて料理をしているのだが、現地の郷土料理をそのまま作るイベントの機会もある。

次はその現地で作っていたヴァルド派の郷土料理をご紹介したい。


ヴァルド派隠れ住んでいた谷

現地での修行時代、友人とその山に登り撮影した。


ワルテル・エイナルド氏


修行したリストランテ・フリッポー

綺麗な大きな庭を眺める客間




著者ワルテル氏の本

レシピを通じてヴァルド派の歴史やその地の背景や風土が書かれている。


本文の参考文献:「ヴァルド派の谷へ」 著者 西川杉子先生





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