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地震の揺れは2回目の方が怖い。揺れに耐えられない消防署。

今回は消防署庁舎のこと。
地震の揺れに対しての強さについてです。
消防署の建物は耐震設計された建物です。
大きな地震に対しての一定程度の強さが保証されています。

しかし消防署は
「倒れさえしなければ良い」
という建物であってはなりません。

消防庁舎は大地震が起きたときの防災拠点になります。
そのため震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない耐震性のある建物として設計されています。

しかし、現行の耐震基準は一度の揺れに対して建物内に空間を残し人命を守る目的であって

2度目の揺れは想定していません

つまり、余震や誘発地震といわれる揺れに対しての強さを想定していないのです。

2回目の揺れの被害


地震には余震や誘発地震と言われる「2回目の揺れ」があることがほとんどです。熊本地震でも震度7の揺れが2回起きています。

ほかにも2回目の揺れで大きな被害が出た地震として
1944年12月7日の東南海地震とその37日後に起きた三河地震があります。

当時は戦時中で、報道管制がされ、被害が報道されませんでした。そのため詳細な記録がなく、あまり知られていない地震です。

はじめに起きた東南海地震の規模は小さく、マグニチュード7.9で、死者は総計1223人でした。
37日後の1945年1月13日に起きた愛知県東部の三河地方を震源とする三河地震はマグニチュード6.8と初めの地震よりも規模は小さかったものの、死者は2306人。はじめにおきた東南海地震の倍近かったのです。

三河地震は東南海地震の誘発地震ともいえ、被害が大きくなった原因の一つに1度目の地震により被害を受け、弱くなった建物が補修できていなかったことが挙げられます。

継続使用できないこともある


いまの消防庁舎は耐震性能さえあれば問題はないとされています。たしかに、震度7の地震が起きても一度は耐えることができるかもしれません。

しかし、庁舎を継続使用できないことがあることは知っておかなければなりません。
倒壊はしなくても、ひびが入れば庁舎全体が使えず、災害拠点の建物としては使えません。
特に1階部分が車庫として使用されている消防庁舎は注意が必要です。
正面は壁がなく大きく開いているので、揺れには弱いはずです。
指令室がある庁舎は、設備が損傷しなくても職員が建物に入ることができず119番は受けられません。

強い庁舎に建て替える


最近は官庁施設の長寿命化計画に基づき、消防庁舎の建て替えが進められている自治体が散見され、強度型設計の消防庁舎が建てられています。

どこの自治体も財政状況が厳しいとは思いますが、計画的にすべての消防庁舎を
地震の後も使える強い庁舎
に建て替えや改修を進めてほしいと思います。

強い消防庁舎を作ることは、消防職員の命を守ることはもちろん、市民の命を守ることにもなります。

参考文献 福和伸夫著 必ずくる震災で日本を終わらせないために。


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