【ご利用は】奨学金という名の借金【計画的に】

先月、日本銀行がマイナス金利を解除した。
それに伴い、メガバンクを中心に、銀行の普通預金金利が0.001%から0.02%へ引き上げるなどの動きが目立った。


そんな中で心配されるのが各種ローンであろうか。特に住宅ローンとか。
住宅ローンに関しては、短期のプライムレート(銀行が融資する際の金利)は変わらないとした事で、とりあえずは一安心となったようだが、奨学金のほうはどうなのか。



■日本の大学数

文部科学省が公表している調査に「学校基本調査 / 年次統計」というものがある。その内容を見てみると、、、

◎国立大学
 ⇒平成16年に100校から87校に減少し、平成20年以降は86校で横這い。

◎公立大学
 ⇒平成20年以降は増減を繰り返しながら、現在は100校超え。

◎私立大学
 ⇒年々増加傾向である。



■少子化社会と大学数

総務省統計局の人口推計調査を見てもわかる通り、若者の数は年々減少している事は疑う余地が無い。
しかし、上記e-Statのデータにある通り、国立大学こそ横這いだが、公立大学は微増傾向にあり、私立大学も増加傾向にある。


実に不思議な現象である。

大学を受験する高校生らの数はメッキリ減っているという少子化社会にも関わらず、受け皿となる公立や私立の大学は増えているのだから。

大学側が、年々減少している受験生を獲得するために定員数を年々変えずに受け入れようとすれば、受験生の競争倍率は年々低下するし、大学によっては定員割れも起こす。定員割れが増えているのも納得の結果である。


ランクや国公私さえ選ばなければ、誰もが大学に入れる可能性があるという事で、まさに「大学全入時代」となっている。

かつての「受験戦争時代」は、大学側が受験生を篩にかける側だった。
「高校受験は入れるためにあり、大学受験は落とすためにある。」と、高校時代の化学の先生に言われた事を今でもハッキリ覚えているが、一昔前の大学入学の難易度はそれだけ高かったという事。

しかし、「大学全入時代」では、受験生が大学を幅広く選べるようになり、複数合格する受験生も多数いる。

まさに、両者は天と地ほどの違いである。


これは就職活動においても同様の現象が見られる。
1990年代後半の「超就職氷河期時代」は、100社分のエントリーシートを書いても、書類選考さえも通過できず、履歴書用の写真を何枚も焼き増しし、やっと面接に漕ぎ付けたかと思えば圧迫パワハラセクハラ面接が待ち受け、トドメに「お祈りメール」が届く、と。
その話を国会議事堂内の参議院本会議の壇上に上がって披露すると「100社はむごい」「オレ全部受かった」などと嘲笑される。
しかし、少子化社会で「大学全入時代」の現在は、完全なる売り手市場(就活生有利)であり、何社も内定を貰う就活生も多数いる。




■大学の授業料と入学料

文部科学省が公表している調査に「国公私立大学の授業料等の推移」というものがある。その内容を見てみると、、、

◎国立大学
 ⇒平成17年以降は、授業料・入学料ともに横這い。

◎公立大学
 ⇒平成17年以降は、授業料・入学料ともにほぼ横這い。

◎私立大学
 ⇒授業料は年々増額、入学料は年々微減傾向にある。



■奨学金制度

経済的困難により進学を断念する事がないよう、奨学金制度というものが用意されている。

奨学金には「貸与型」と「給付型」の二つある。

「貸与型」は、卒業または修了後から返済義務が生じる。
無利子の「第一種奨学金」と、有利子の「第二種奨学金」がある。
「利率見直し方式」と「利率固定方式」の2タイプあり、前者は日銀の金融政策に左右され、後者のほうが金利は高め。

「給付型」は、返済する必要はないが、一定の条件(学業成績・世帯収入・金融資産)を満たしている必要があるため、得るためのハードルが極めて高い。

・奨学金
 ・貸与型(返済義務あり)
  ・第一種奨学金(無利子)
  ・第二種奨学金(有利子)
   ・利率見直し方式(5年毎に利率を見直し)
   ・利率固定方式(返済終了まで利率は不変)
 ・給付型(返済する必要なし)

奨学金を利用している学生の大半は「貸与型」である。



■奨学金という名の借金

今回のタイトルにも採用したが、貸与型の奨学金とは借金そのものである。
JASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)は「返還」という表現で誤魔化そうとしているようだが、
現実は「返還という名の返済」であり、「奨学金という名の借金」である。

教育ローンは、両親等の生計維持者が契約者となって返済義務を負うが、
奨学金は、学生本人が契約者となって返済義務を負う事になるため、
社会人になったら「奨学金という名の借金」の返済地獄が待っている。
「第二種奨学金」の場合は利率があるため、最終的には一括払いよりも多くの額を返済する事になるから余計に大変だ。利率見直し方式となると、日銀の金融政策によって変動する可能性があるので、当初の見積もりより増えるかもしれないし、減るかもしれない。

それが特に20代の社会人を経済的に苦しめているとも言える。
ただでさえ平均給与額よりも少ない給与の中から、社会保険料・所得税・生活費そして奨学金返済分を同時に捻出しなければならないのだから。

そうなると、手元には殆ど残らなくなるだろうし、預金も消費も投資もデートも結婚もマトモにできやしない。
守りに入るために、貯蓄・節約・安物が大好きになるという最低最悪の『デフレ脳』に陥ってしまっても不思議ではない。

しかも、奨学金返済の滞納が続くと、信用情報機関(JICC・CIC・KSC)に延滞者として情報登録されてしまい、各種ローンやクレジットカードの審査に秒で落とされたり利用停止されてしまうため、注意が必要だ。



■奨学金は有利で好条件な融資でもある

何かとネガティブな印象ばかりの貸与型奨学金であるが、違う見方をすれば、これほど有利で好条件の融資は他にはないとも考えられる。

なぜなら、利率があるにしても0点台の超低金利で、収入もバイト代が精一杯の学生に対して、殆ど無審査で何百万円も貸し出してくれるのだから。

安定した収入を求められる住宅ローン・マイカーローン・キャッシングローンなんかと比べたら遥かに易しい融資の仕組みで、審査通過の難易度もかなり低い。

しかし、有利で好条件の融資と言えど、借金は借金。



■大学全入時代だからこそ奨学金制度をしっかり考えるべき

良くも悪くも「借金」という性質を持つ奨学金であるがゆえに、奨学金制度を利用した学生の親は寂しく悲しい思いをしてしまうのかもしれない。自分さえしっかりした稼ぎがあれば、娘や息子にこんなに辛い思いをさせなくて済んだはずなのに、と。

そんな奨学金だからこそ、受験生は進学して何をしたくて何を学びたいのか、本当に「奨学金という名の借金」を背負ってまで進学する必要があるのか、そこんところをもっと真剣に考えるべきだ。

本来、奨学金制度とは、成績優秀者なのに経済的理由で進学が困難な者が一時的にお金を借り入れるための制度であって、特に何の目的もない者が遊び半分で進学するためにあるわけではない。

大学の授業料や入学料を親が支払ってくれると思ったら大間違いよ。
大学生になったら遊べるというのも盛大な勘違いだ。

キミたちは「まだ18歳」ではなく『もう18歳』。
今では選挙権を有した成人なのだよ。
それくらいの事を考えられるだけの脳ミソくらいあるやろ。

お金が無いなら無いで、学費の安い国立大学への進学を検討し、努力をすればよいのではないか。
で、国立へ行くお金さえ無い時に、はじめて奨学金制度を利用する事を視野に入れればいい。

何も考えずにお気楽な気持ちで遊んでいいのは、お金持ちのおぼっちゃんやお嬢ちゃんくらいだよ。知らんけど。


あと、社会人になって奨学金返済で苦労しないためにも、マネーリテラシーも身に付けておいたほうがいい。
幸い、マネーリテラシーについては、高校の授業で行われているようだ。
金融庁のサイトに載っている基礎基本さえ理解できれば大丈夫! 何も難しい事ではないし、お金の事を見つめられる良い機会だ。

社会的信用を失わないためにも、奨学金のご利用は計画的に!



■高等学校や大学に無償化は必要ない!

日本維新の会を中心に、教育無償化を考える会(国民民主党から逃げた残党)やバカ野党らの中には「高等学校や大学(私立を含む)を無償化するべきだ!」という意見が多くある。
某メロリンさんなんて、「奨学金のようなサラ金をやるのはヤメロ!チャラにしろ!」などとムチャな事を言っている。



だが、筆者は大反対です!

「無償化」などと簡単に言ってくれるが、授業料そのものはタダではなく、そこには"他の誰か"が納めた税金が突っ込まれている。
本当の無償化なんてしようものなら、財政は持ち堪えられないし、そうなれば「増税」という事にもなりかねないし、国民の税負担はますます増えるだろう。

そして、大学を無償化するという事は、奨学金制度も消滅するわけで、ただでさえ親に授業料を支払ってもらっていると勘違いして遊び目的の気楽な気持ちでやって来る者が更に増えてしまうのは目に見えている。
意図せずにFランやゾンビ校を延命する事にも繋がってしまうだろう。

「大学を無償化して皆が大学に行けるようにしよう~☆」というと聞こえは良いのかもしれないが、現実はそんなに甘くない。

日本は社会主義国ではないんだよ。
お金は天から降って来ないんだよ。
無償化や奨学金チャラなんてやれるわけないやろ!


コチラの杉田議員の意見に賛成です。
受け入れを広げすぎて、生産性の無い連中を量産することなどないのです。


教育無償化が通用するのは、幼児教育と義務教育まで!
高等学校や大学は義務教育ではない!
私立大学は、お金持ちのおぼっちゃんやお嬢ちゃんが行くトコロ!
社会人として本当に必要なのは、コミュ力とストレス耐性!



一応、参考程度に、あえて東洋経済の記事もココに載せておきます。
珍しく普通の記事だと思ったのでね。

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