いまの自民党は酷い状況だ。政治倫理審査会会を開くか、開かないがニュースになる。国民から見れば、開催して裏金疑惑の議員の出席は当たり前なのに、それすら出来ない。むしろそれすら出来ない事情を考察したほうが政治がよくわかる。
ニュースでは詳しく伝えていないが、その裏には出席する側(二階派、安倍派)、出席を促す側(首相、自民党執行部)、それぞれの政治的思惑がある。まず、当の出席する側だが、派閥を解散し、主を亡くし、派閥に属していた個々の議員はいま間違いなく彷徨っている。しかしいままであれば、派閥の親分が右向けば右、左向けば左に従っていたのが従う必要は全くなくなり、総理の言うことに従う必要がないのだ。一方、促す側は、裏金疑惑の議員を審査会に出席させなければ、世論の支持は下がり(実際に現在過去最低の支持率)、次の選挙や岸田総理最大の関心事である次の総裁選で勝利することは出来ない。
この状況を考えればどちらに分があるかと考えれば、出席する側である。だから、首相は強く言えないし、自分自身が政倫審に出席するパフォーマンスをすることで、安倍、二階派の裏金議員を引き摺り出すという荒技に出ざえなかった。
　しかし、いまの岸田総理を取り巻く環境は益々厳しくなっている。自身が政倫審に出席したにも、かかわらず支持率は過去最低、正直、打つ手が総理には無い。
一方で、以前からポスト岸田で名前が上がっている面々はどうかと言えば、派閥単位で総裁選で勝利できると考えていた茂木幹事長は次期総裁選には出れても、議員の支持も党員の支持も非常に厳しい状況である。次の総理になってほしいランキングで一位の石破茂議員だが、ポスト岸田へは1番近くなったが、自民党議員の間で評判が悪く、支持が低い。その理由は、平気で仲間を後ろから撃つ、理論的で理屈をこねくるが、仲間作りが下手。この点は初の女性宰相に1番近いと言われる高市早苗議員も同じである。政策通は仲間作りが下手である。簡単に次期総裁選の構図を言えば、茂木は派閥ありきでの総理候補。各派閥の支持がなければ出られない。石破、高市は派閥には嫌われて、政策通で国民受けは良いが仲間内からは支持無し　である。
では、残る一人、河野太郎議員が現状では最有力候補か、と思いきや、河野氏もまた、石破、高市と同じ分類である。
国民にも一定程度支持され、かつ自民党内でも支持があり、派閥の色が無く、バランス感覚のあるポスト岸田が居ないのである。
一体、次期総裁は誰か…
今のところは、可もなく不可もなくで、岸田総理の再選か、はたまた、無派閥で党内、国民からも一定の支持が得られる菅元総理か(総裁選に出る確率は10%も無い)
私は上記の候補ではなく、第三の候補が誕生すると思っている。ダークホースである。
自民党総裁選は総選挙と違い、選挙権を持つ国民が誰でも投票できる仕組みではない。あくまでも、自民党員の選挙である。そのため、世論の支持よりも、党内の支持率できまる。正直、現在の情勢では誰が次期首相かは政治評論家でも政治記者でも答えられないだろう。
一体、女神は誰に微笑むのか、楽しみでもある。